校庭
アトロールが深い深い溜め息を吐く。
「天照創立の学校か」
妖魔でありながら見るのは二度目の学校を見る。
「ところで。あんたら何?」
殺意を持って立つ魔術師と今にも妖魔の王に飛びかかりそうな妖魔。飛びかかったところで返り討ちが目に見えてわかる。
「妖魔王の信念に反対するものだ!人との共存なんて出来るわけがない!お前が人を嫌っているのに」
妖魔の王は無表情で妖魔を見つめる。
「操り人形のままでいれば戦闘のが死ぬことはなかった」
「魔術師だって皆生きていた。だからお前を殺す!」
妖魔の王が叫ぼうとした息子二人を止める。
「俺を殺せば、再び魔術師も妖魔も死ぬだろう。確かに人は嫌いだ。だがこの際、人の好き嫌いはおいておこう。言っておくが、俺は人嫌いであり、妖魔嫌いだ。子供も勝手に女を宛がられて生まれたものだ」
「うわぁ。子供の前で堂々と言うなよ」
「同じ腹なのは俺と兄貴だけ」
目を細めて月見が言えばアトロールは知っていたことに驚き、そして謝る。
「後感情的なガキに後を継がせたいとも思わないが、継がせるならば、俺のガキからだろう?そうなると誰を選ぶ気だ?未だ未熟な操りやすい長男か?人との暮らしに浸っている人である次男か?研究に没頭する研究にしか興味がない長女か?妖魔討伐部隊で活躍する脳筋の三男か?それとも」
「んなことはどうでもいいんだよ!無情なやつよりはな!」
「言っておこう!俺は操り人形として生きていた。だが人が好きな、妖魔が好きな一族が俺の前から姿を消した事態を許せなく思った。だから全てを終わらせたに過ぎない!では聞くがお前らが何をした!無情であるのはお前らの望みだ」
「え?」
月見は妖魔の王を見る。
「え?とはなんだ。えとは」
「いや。そういう性格なのかと」
「それはおかしな話だ。俺にもガキは大事にすべきだと言う情はあり、しかし妖魔の王として求められるのは人を先導しなければならない冷静と冷酷さであろうに、それを無情と言うのはどういう了見だ?こっちだってストレスがたまる上に、大暴れしてお前らを殺したいと思う。だがな、そんなことをして許さないのもお前らだろうが。なんでもかんでも俺のせいにしてくるんだろう?お前ら、何様のつもりだ」
「どうでもいい!お前さえ殺せば!皆、喜んでくれる!」
「喜ぶのか。お前は死者との対話ができるモノか?驚きだな。そんな奴は始めてみたぞ。研究者のあいつに付き出すか」
「俺は雷と召喚の魔術師だ!」
「では聞くがトーゼアという名を聞いたことは?」
「ねぇよ」
「ではお前に用はない。帰るぞ」
「やっぱそういう性格だよ。親父様は」
「同感」
妖魔の王は二人に拳骨を入れる。
「黙れ!どっちにしても此処から帰すわけにはいかないんだ!落ちろイカズチ!雷鳴とどろけ!」
「っ!」
アトロールが耳を塞ぐが意識は途切れそうになる。




