あきそら
月見が青年二人を朝食後に紹介する。
「娘の息子である秋と、息子の息子である空。赤毛が空。黒毛が秋」
「どうもです」
黒い髪の毛の青年が頭を下げ赤毛の青年は笑うだけ。
「月見秋空」
北斗がメモ用紙を向けてくる。
「今日は北斗とピクニックだろ」
空が北斗を羽交い締めにしながら言えば北斗は両足をばたつかせる。
「一日安静な、空」
「えー」
北斗は解放されて月見の背後へと避難。
「結婚なさってたんですね」
アトロールが驚いたように見て、エンリィも頷く。
「婿養子でな。妻は二年前に死んだ」
「へぇ」
「これの親も事故でなくなってな。俺らが引き取った」
「北斗君は?」
「床下に忍び込んでたんだよ。それから手当てして一緒にいるんだ」
秋が北斗の首根っこを掴み、月見の隣に座らせる。
「いくつなんですか?二人は」
「俺も秋も二十二歳。大学生。ちなみにそっち獣医」
「え!」
エンリィは落ち着きなく北斗にちょっかいを出している秋を見る。
「じゃあ貴方は?」
「弁護士」
「お二人とも頭良いのね」
「家庭教師が良いから」
秋が北斗を示せば北斗は首を捻り、そして帯をはずそうとしている空の腹部に裏拳を食らわす。
「く、食ったものが、でそう」
「しかし意外だな。結婚しているなんて。仏壇とかないし」
「此処の家は仏壇じゃないからな」
「へぇ。じゃあ写真は?」
「寝込んだときに北斗に全部物置に」
「それはよくやった!」
空が北斗の頭を撫でれば月見が拳骨を入れる。
「ぎゃふ!」
被害は北斗にまで及び、涙目で月見を見る。
「あ、悪い」
「いいじゃん。じいちゃん元気なほうがいいしさ」
痛そうにしながら北斗は不機嫌そうに空を見ている。
「あー。そんな不機嫌なるなって。お土産のまんじゅうやるから」
北斗の口がへの字に曲がるが素直に受けとる。
「よしよし」
「空君は秋君にしないの?」
「え?怖いし」
「俺にやったらそのあとの仕返しを一杯してきたから」
秋の言葉に北斗は慌てて秋の隣に座る。
「ちょ!」
「俺に被害が来たら本気で怒る」
「すごい子ですね」
「空はものすごく楽だった。怒ってくれるし妻の手伝いもしてくれるから」
「奥さん人ですか?」
「そ。あいつが十歳の時にあいつとあって、それから家族ぐるみで俺はくっ付けられて結婚した」
「仲良かった」
北斗が秋の言葉に頷く。
「あんな幸せな家庭築きたいって思うよな」
空も言えば、月見は溜め息。
「まぁ、人とは年の差があって当然なところもありますしね」
エンリィは慌てて言い繕う。
「にしても戦闘の妖魔が本当にいるなんてな」
面白そうに空が近づき、アトロールは無言。
「解剖したい」
再び空が月見の一撃を食らう。




