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仮面勇装マスクド・ブレイブ ~異世界でヒーローやらされてます~  作者: 白峰レイ


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第24話「炎の意地」

もう立つのもやっとの体に鞭を打った。


体が冷たい。

指先が痺れる。

血が、足りてない。


(……やべぇな。マジで死にかけだ)


目の前で、ゴブリンジェネラルが煙を上げながら斧を構える。


よく見れば――あいつもボロボロだった。

鎧の継ぎ目は焼け、腕や肩は焦げ、呼吸のたびに黒い息が漏れている。


(へっ……てめぇもギリギリじゃねえか)


少しだけ心が戻る。


勝てるかもしれねえ――じゃない。

勝つ。


絶対に。


周りを見れば、ゴブリンの数もかなり減っていた。

吹き飛び、焼け、潰れた。戦いの余波だけで死んだやつも多い。


だが、残ったゴブリンたちは――

今の俺を見て「勝てる」と判断したらしい。


じり、じり、と距離を詰めてくる。

弱った獲物に群がる、汚い目。


(ちっ……こんなヤツらに殺られてたまるかよ)


最後に、もう一回。


一瞬だけでいい。


俺は震える指でベルトを叩いた。


カン。


弱々しく、光った――気がした。


(まだ……いけるよな)


俺はジェネラルだけを見る。

他は見ない。見たら心が折れる。


「おいらの意地……見せてやるぜぇ!」


(最後までこの口調かよ……!)


俺は叫ぶ。


「火炎の舞!!」


『必殺技:火炎の舞 発動』


――身体が燃え上がる。


「っ!!」


熱い。

熱いのに、今さら止まれない。


本来なら勝手に回転して炎を撒き散らす技だ。

だが今は――撒くんじゃない。

自分の意思を強く持つ。


全部、足に乗せる。


(来い……!)


炎が回転しながら足へ集まっていく。

足が焼ける。


俺は最後の力を振り絞って跳んだ。


炎が尾を引く。


「ブレイブキイーーック!!」


炎が強くなる。

炎が意思を持っているかのように、身体の周りをグルグル回る。


ジェネラルが斧を振りかぶる。

赤い目が、俺を切り裂く未来を描いている。


斧と、俺の足が――ぶつかる。


次の瞬間。


火の粉と衝撃波が爆ぜた。


ドンッ!!


周囲のゴブリンたちがまとめて吹っ飛ぶ。

土が舞い、熱風が森を裂く。


俺は痛みすら感じない。

感じる余裕がない。


ただ、蹴りに“全部”を込める。


(折れろ……!)


斧に――ヒビが走った。


(いける――!)


そして――


バキッ!!


斧が折れた。


砕けた刃の向こうで、蹴りがジェネラルの胸へ突き刺さる。


ドンッ!!


鎧が割れる。

無防備になった胸の中心へ。


そこへ、炎が叩き込まれた。


ジェネラルが吹き飛んでいく。


赤い目の光が、すっと消えた。


ジェネラルは崩れ落ちる。

巨体が倒れる音が、やけに遠い。


そして――何も言ってないのに、


『変身』が解除された。


『警告:生命維持限界。強制解除します』


俺は、その場に倒れ込んだ。


(……やった……ぞ……)


息が入らない。

まぶたが重い。


(でも、もう……)


ゴブリンジェネラルも。

ホブゴブリンも。

潰した。


――なのに。


生き残ったゴブリンが数十体。


まだ残っている。


足音が近づく。

嫌な鳴き声が聞こえる。

錆びた刃が光る。

用心深く、俺を囲む。


(……指一本、動かねえ)


(くそっ……こんな終わり方かよ……)


笑いたいのに、口が動かない。


(ヒーローなんざ……こんなもんだよな……)


ゴブリンが、錆びたナイフを振り上げた。


――その瞬間。


ゴブリンの首が、飛んだ。


シュパッ。


遅れて、爆発音。


ドォンッ!!


別のゴブリンが吹っ飛び、木に叩きつけられる。


「無理してゴブリンの群れに突っ込んじゃダメじゃないっすか! アニキ!!」


聞き慣れた声。

見慣れた、能天気な笑顔。


レオンだ。


「ちっ……前と逆になっ……ちまった…な」


視界の端に、次々と影が入る。


「ユウヤさん!……酷い……」


ミーナの回復の光が包みこんでくる。


少し離れたところに、カイルの爆発する魔法。

ガイが必死に剣を振り回している。

ゴンズのおっさんまでいる。


――そして、街に残ったハンターたちが、勢揃いしていた。


「ユウヤさん!!」


「一匹も逃すな!! いくぞ!!」


残ったゴブリンが、狩られていく。

あっという間に数が減っていく。


(……来たのか)


(結構派手にやり合ったからか……)


透明なウィンドウが浮かぶ。


『クエスト達成:ゴブリン軍第一陣を撃退せよ』

『ヒーローポイント20を獲得しました』

『現在のヒーローポイント:21』


(……21……)


笑いたいのに、笑えない。


視界が暗くなる。


最後に聞こえたのは、誰かの叫びだった。


「ユウヤさん!! しっかり!!」


――そこで、意識が落ちた。


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