【短編】薔薇色の人生を夢みていた私は、なぜか薔薇好きの幼馴染に求婚される!!
主人公のセフィナ・メルベスは薔薇色の人生を夢みていたが……。
薔薇色の人生。そんな幻想を夢見ていたこともあった。そんなものは只の妄想でしかない。今になってそう思う。
現在、私の目の前には数体のゴブリンが居てヨダレを垂らしながら近づいてくる。それをみて私は、もう駄目だと思い諦めていた。
一体のゴブリンが私に飛びかかってくる。
「キャーッ!!」
余りにも怖くて、ありったけの声を張りあげて叫んだ。もう駄目だと思った。
怖くて目を閉じる。それと同時に眩しいほどの光を感じ恐る恐る瞼を開いた。
そこには恥ずかしくもなく薔薇の刺繍の青服と薔薇の剣を持ちゴブリンと戦っている幼馴染のロイフィル・ハルローズがいる。
「セフィナ、大丈夫か?」
「ええ……ロイ、ありがとう」
「それなら良かった。何処かに避難しててくれ」
そう言われ私は危険が及ばない場所へ移動した。勿論ロイがみえる位置によ。
ロイは薔薇の飾りの付いた剣を振り植物系の魔法と組み合わせながらゴブリンを倒していった。
正直なところロイが、ここまで強いと思っていなかったため驚いている。
ロイは城の騎士だけど、まだ十八歳で見習いだ。
因みに私もロイと同じ歳で一応これでも女騎士部隊に所属している見習い騎士で名前はセフィナ・メルベスと云います。
私は今ショックを受けていた。多くのゴブリンを目の前に足がすくんでしまったからだ。
護られていたら騎士なんて務まらない。そう思い私はゴブリンを見据えると氷刃の魔法を放った。
魔法陣がゴブリン達の真上に展開される。魔法陣から氷の刃が現れ放たれゴブリン達へ降り注いだ。
ゴブリン達は奇妙な叫び声をあげながら、バタバタと倒れていった。
それをみてかロイは私の方を向くなり呆れた顔をしている。
「セフィナ、なんで見せ場を持っていくんだよ」
眉をハの字にし困った表情をしながらロイは私の方へ近づいてきた。
「そう言っても……ロイに迷惑をかける訳にもいかないもの」
「迷惑? オレはそんな風に思っていない。それよりもセフィナを護りたいんだ」
何時の間にかロイは手に指輪を持っている。指輪の飾りには赤色の薔薇が装飾されていた。その指輪をロイは私の目の前に差しだす。
「まだオレは見習い騎士だ。今すぐじゃなくていい。騎士になってからでも……セフィナ、オレと結婚してくれないか?」
「……」
私なんて答えたらいいのか言葉に詰まる。そう薔薇色の人生を送りたいとは思っていた。だけれど薔薇ずきのロイに求婚されるとは思わなかったからだ。
これでは薔薇色の人生ではなくて薔薇まみれの人生になりそう。でも嬉しくないわけではない。私もロイのことが好きだったから。
「……嬉しい。でも私なんかでいいの?」
「ああ、勿論……オレは君だから好きなんだ。それに何時この気持ちを伝えようか……中々切り出せずにいた」
「じゃあ、ずっと指輪を持っていたのね」
ロイの持つ指輪を私は受け取ろうとする。
「ずっと持っていた。君にあげたくて……」
何時になく優しい笑みを浮かべロイは私の手を取り指輪をはめてくれた。
私は手の甲を自分に向けはめられている指輪に魅入る。
「ありがとう、ロイ。これは婚約指輪ね」
「そうなる。だけど、あとは親に言わないとな」
「そうね……多分ウチの親は大丈夫よ」
私がそう言うとロイは頷いた。
「ウチの親には言ってあるから問題ない」
なるほど……既に手を打っていたのね。でも、それだけ私を好きでいてくれてるってことだもの……嬉しくて涙が出そう。
その後、私はロイと町でデートをした。
この日から私の人生は薔薇色ならぬ薔薇づくしの日々を送る。
そして一年後、ロイは正式に騎士となった。
そのため私とロイは思ったよりも早く結婚することができて喜んだ。
それが幸せかって? そうね……好きな人と結婚できて凄く幸せです!!
……――――♡完♡
読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)
連載の予定はありませんが、もしするとすれば新たに設定を考えて書こうと思います(*^▽^*)