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再び交わる僕らの思い  作者: ほっとけぇき
一章:途切れ行く流れ
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異質なクルイモノ達

信じたくない。でも、己の中にある情報がこのクルイモノたちは、一緒にこの場所の調査にあたるはずの陰陽師たちだったという事実を突きつけてくる。


 そのクルイモノたちが紫の肌に窪んだ赤い瞳を持っているという人間との相違点は確かに存在する。しかし、それ以上に彼らとの共通点が明確にみられる。


 欠けてしまった陰陽師の階級を表す階級章、ところどころ破れてはいるが陰陽師の戦闘のために作られた戦闘服。極めつけは僕が持っているものと同じ通信機が壊れた状態で身に付けている。紫に変色した肌だってさっき死んでいってしまった残り3人と似たような色味をしている。


 「――‼」


 彼らは明確な攻撃意思を持って僕を攻撃してくる。それは戦闘経験に裏打ちされたものであり、こちらが少しでも隙を見せると確実に仕留めようとしてくる。


 かと思えば、こちらが攻撃を仕掛けても相手に攻撃が効きにくい。陰陽師の戦闘服は特殊な素材で作られているから、効果的な一撃を与えることは難しい。それは相手からしても同様である。


 せせらぎの方を見ると、彼女の攻撃は効いていないどころか、そもそも彼らに対して術を発動させることができないようだ。つまるところ、彼らが変異した人間であることは真実に近いのかもしれない。


 通信機を使って、支援要請をしようとしても本部とは繋がらなかった。それならば、本当は使うつもりはなかったけれど、ここで()()()を切るしかないみたいだ。


 「せせらぎ、()()を使ってもいいか?」

 「いいですよ、そう言うと思っていましたし、今の状況を見るにそうしないと対処できませんから。()()()()()()()()()()()。目の前の敵を正しき道へと導いてあげなさい。」


 せせらぎがそう僕に対し唱えると、彼女は体を水に変化させた。その水が僕の体を包み込み、それは僕と一体化し装甲になった。


 せせらぎに限った話ではないが、神は直接的な方法で人間を殺すことはできない。それが例え、人間だったものが変異したものだとしても、不可能なのだ。これについてはなぜだかまだ分かっていない。


 それならば、なぜ「神による祟り」だなんて起こるのか?それは間接的な方法、すなわち()()()()ではなく、()()()()()()()()いるからだ。


 今、僕が使っている≪加護武装≫も、せせらぎに()()()()()()()()()()いるが、あくまでも()()()()()()()()()()だから、彼らに対し攻撃することも可能なのだ。


 僕が放った矢は彼らの脳天を貫通し、体がボロボロと崩れ去っていく。通常ならこれだけでもとどめを刺せるはずだが、どうやらそうそう話はうまくできてないらしい。


 「嘘だろ、確かに()は破壊したはず……だよな?」

 「はい、確かに粉々に壊れていったのがよく見えます。でも、崩壊が止まったように感じますね。」

 「もしかして、()()()()()()()っていうのか?!」


 クルイモノの弱点である霊力で構成されている核を確実に破壊した。それなのにも関わらず、彼らの体がボロボロと崩れ去っていくどころか、3人集まって1つの獣に合体したのだ。その姿は様々な獣の特徴を持った人間の姿からはかけ離れたものだった。


 「――‼」


 キィィイイン‼


 その口から出る咆哮が頭に響き渡る。もし今、加護武装の状態でなかったとしたら地面に突っ伏していた自信がある。それぐらい、この目の前にいるものは強い実力を持っているのがよくわかる。


 「頭、が……痛い‼でも、動かな、いと……死ぬ‼」

 「光希君、全力で霊力を体に巡らせて‼武装に流れている私の魔力に合わせて‼」


 彼女が言った通りに霊力を丁寧に循環させると、少しだけ息がしやすくなったように感じる。五感を感じ取る余裕が出てきたからか、誰かの悲痛な声が聞こえてきた。


 「コロシテ、コロシテクレ……コロシテ」


 よく声を聴いてみると一人の声ではなく、複数の声が重なっているように聞こえる。目の前の獣は体を搔きむしり、叫んでいた。その叫び声はとても痛々しかった。


 どうやら、獣の核は3つあるようだった。頭に2つと心臓付近に1つあるようだ。恐らく、同時に破壊しないと、残った核が体の再生を行おうとするのだろう。


 僕は持っていた弓に3本の矢をつがえた。相手は痛みから解放されようと必死にもがいていた。相手が僕らに向かって腕を思いっきり振り落とそうとした。その瞬間、彼らに明確な隙が生まれた。僕はその時、核がある場所に向かって矢を放った。

 

 今度こそ、核が完全に破壊され、体がボロボロと崩れ去っていく。完全に崩れ去ったあと、そこには3人の人間が倒れていた。


 彼らの顔は非常に穏やかだったのは幸いなことだったのかもしれない。


 「あ、あぁ、……なんで、こうなったんだろう。何なんだ、何なんだ、なんでなんだ。」


 僕は悔しさに打ちひしがれた。彼らがクルイモノになってしまう前に何もできなかったこと、せせらぎがいなかったら何もできなかった自分に対して、非常に腹が立った。


 「光希君、あれが()()()()()()()()から、彼らは()()()()()ではなく()()としてその生を終わらせることができたんですよ。」

 「だから、自分に対して腹を立てないでください。まだ、あなたは子供です。だから失敗してもいいんですよ。」

 

 自分の無力さにただただ歯を食いしばっていたら、いつの間にかいつもの姿に戻ったせせらぎが僕のことを抱きしめていた。


 今はただもう少しだけこの優しさに浸っていたいと思った。けど、クルイモノ達はそれを許してはくれない。


 「――‼」


 僕らの戦闘音に気づいたクルイモノ達が次々と現れた。倒しても、倒しても本当にきりがない。


 「いやぁ、これは本当に驚いた。」


 クルイモノ達の後ろから一人の人影が現れた。その人物の足取りは実に軽やかでこの場において一際異質であった。


 「まさか、僕が改造したなかでも最高傑作のうちのひとつがこうもまぁあっけなく倒されるとは......フフフ、実に素晴らしい!!」


 よく見ればクルイモノ達は皆、彼に道を譲っていた。彼を王と讃えんとばかりに。


 「だから、もっとワタシを楽しませてくれ!!......()()()


 そう、うっとりと嗤うその顔は僕の隣にいたせせらぎと酷似していた。

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