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再び交わる僕らの思い  作者: ほっとけぇき
一章:途切れ行く流れ
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追憶に浸る 前 ≪光希視点≫

この話は前編と後編、光希とせせらぎで4話で構成されています。今日は光希編を投稿します。

≪光希視点≫

「いつも、面倒な私を放っておかないでくれてありがとうございます。」

「……いきなり、どうしたんだ?」


 これから、任務へと行くというのにいきなりせせらぎがそんなことを言い出した。いつもなら任務に行くときは「怖いぃ、任務行きたくないぃ。本当に私達が行かなきゃダメなんですかぁ?」とか、怖がって文句垂れながらもついてくる。

 

 そんな印象でしかないから、任務前にも関わらずひどく落ち着いた口調でそう話していることにひどく違和感を覚えた。まるで、死期を悟った()()のように穏やかな笑顔で言うものだから、彼女が消えてしまいそうだと感じた。


 「なんとなくそう言いたくなっただけですよ。本当に、なんとなく……。そ、それに私、いつもあなたに迷惑かけてばかりですしぃ、だから見捨てないでいてくれるのがうれしいから。」

 「なんだ、そういうことか。別に迷惑をかけているのはお前だけじゃないし、俺の方こそ、お前に迷惑をかけている。だから、気にしないでいい。」


 彼女は自己肯定感が著しく低い。自分にはできっこない、すぐにお払い箱にされる、なんて考えているのは当たり前のことだ。ひどいときには大泣きして小規模の豪雨を無意志で発生させてしまうほど、感情の浮き沈みが激しい。

 

 でも僕は知っている。彼女は泣き虫で怖がりですぐ逃げ出しがちだけど、強い芯を持った女性であることを。



 12年前

 

 僕は言葉を発することができなかった。言葉を理解することはできても、喋るときにどもってしまっていた。それ故に僕を見る周りの目はひどく冷ややかだった。

 

 僕の暮らしていた村は山奥にあり、かつ閉鎖的だった。だから、僕のような人間は異端児として見られていた。周りの大人は災いを呼ぶと言って気味悪がったり、子供たちからは石を投げられるだなんて日常茶飯事だった。


 その日も、いつも通り周りの子供たちから石を投げられていた。ただ違ったのは村では珍しくいつ雨が降ってもおかしくはない曇り空で、山奥の崖の付近まで追いかけられていた。


 僕は、村の子供たちにあと一歩踏み外したら崖の下にまっしぐらなところまで追い詰められた。じりじりと、後ろに下がったあたりで大雨が降りだして、僕は足を踏みはずしてしまった。


 「――もし、もし!あぁ、目が覚めてよかった。痛いところはない?ある程度直したのだけれど気分は?」

 「あ、あぁと、だ、だ大丈夫……あぁ、ありが、とう」


 目が覚めたら、一人の女の子がいた。彼女の足には鎖がついているが、黒い髪は非常にあでやかであり、どこか幻想的という様相に異常さを感じた。なぜ、彼女は崖の下に一人でいるのか?何者であるのか?など聞きたいことは山ほどあった。


 「あなた、いきなり私の前に転がり落ちてきたのです。他にも何人もいましたが、生きていたのはあなただけでした。」

「そ、その人たちは、ど、どうして、そう、なったの?」

 「まぁ、1つ言えることとしてあなたには素質があったから、あなたは私が直せる程度(大けが)で済んだのですよ。」


 彼女曰く、僕には陰陽術という特殊な術を扱う素質があるらしい。それから、僕は彼女にたくさん質問した。陰陽術とは何か。なんのためにそれが存在しているのか。なぜだか、いつもより言葉がスラスラ出てくるように感じた。

 

 彼女は僕の言った質問に丁寧に答えていった。彼女は僕のけがを治したり、僕のつたない会話に付き合ってくれた。ふと、彼女の足にある鎖を見た。鎖は彼女の後ろにある苔まみれの小さな家?らしき場所につながっている。


 「お姉さん、それ、痛くないの?」

「それって、……ああ、これのことですね。これは、ずっとつけているので慣れました。」

 「ずっとって、お姉さん、ここから離れたことないの?」

 「えぇっと、まぁそういうことになりますね。人と話したのももういつか覚えていないくらいには……」

「そんなぁ……」


 その日はいったん帰りたくもない家に帰り、それから毎日彼女のいる場所に通い詰めた。崖の方とはまた違う道を見つけてその道を使って通い続けていた。

 

 それから1ヶ月鎖の壊し方を探りながら、彼女に陰陽術を教えてもらっていた。彼女曰く、僕はかなり覚えがいいらしい。


 「いろいろな道具を使っても、びくともしない。どうすればいいんだろう」

 「ねぇ、ずっと聞きたかったんですけど、どうして私なんかのためにそんな一生懸命壊そうとしてくれるんですか?私、ただ話してもらえるだけでもうれしいのですが……」

「……それは、君と一緒にいろんなことをしたいから。初めての友達だから、一緒にこんなところ出て自由に生きたいって思ったんだ。」

 

 ある日彼女は僕にそう聞いた。彼女はなんだか照れくさそうな表情をしていた。その表情を見てなんだか僕も照れ臭くなってしまった。


 あの後、僕は陰陽術を使えばいいじゃないかと思い至り、鎖に向けて思いっきり霊力を流した。その時、鎖が粉々に砕けて同時にどっと疲れに襲われ、気絶した。彼女が何かを言っていた気がするがよく覚えていない。

 ただ、あの後ものすごく怒られた。


 「自分でどうにもできなかった私が一番悪いのはわかっています。だけど、自分の身を削ってまで頑張るのはまた別の話です。自分の体をもう少し大切にしてください!!」

 

 あの時の彼女の表情は今でも忘れられない。何かにすがっているような、僕を見ているけど()()()()()()()顔を。


 「でも、ありがとうございます。私のような出来ぞこないにできることがあれば言ってください。」

 「それなら、名前。名前を教えて!名前呼び合うと、友達?って感じがするんだ!」

 「名前……、私には名前がありません。……ならば、名前を付けていただけませんか?」

 「俺でいいの?本当に?」

 「えぇ、()()()()()()のです。」

 

 彼女に名前を付けてほしいと言われどうしようか悩んだ。どんな名前にしようか悩んでいたとき、ふと小さな川が目に映った。

 

 「せせらぎって名前はどう?」

 「せせらぎですか。いい響きですね。……今日から私はせせらぎです。光希君、ありがとう」


 彼女に名前を付けた瞬間、黒目だった僕の目は青色に変わった。彼女とおそろいみたいでひどく高揚していたのを覚えている。

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