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プロローグ

ここはおとぎの国の世界、その世界の片隅に片田舎で、領主様の治める土地がありました。蕪が特産品のその土地はビヨンと呼ばれていました。領地の中央に大きな館が立っています。その一角の窓から美しい長髪がさらさらと流れていました。その美しい髪の持ち主の名はキシル・ビヨンと言い、この地を治める領主アヌドレ・ビヨンの娘です。彼女は窓を開け、耳をすませます。やがて庶民の家が密集しているところから口笛が流れてくるのです。


その口笛は彼女と同等かそれ以上に美しいものでした。一つ一つの旋律が緻密に織り合わされている。彼女はこう思いました。一体誰が作った曲なんでしょう? 音楽を形作る音たちはとても正確な音程をしていて1ミリの狂いもありません。音楽家の方でしょうか? キシルはそう考えましたがすぐにその考えをやめました。なぜならこんな田舎に音楽家は来ないからです。都会の人通りの多い場所でしか彼らは生計を立てることができません。


彼女は金色の髪を弄りました。そしてこう考えるのです。


(あぁ、こんなところから抜け出して自由になりたい。美しい芸術があふれるであろう都会に住んでみたい!)


一つのため息。キシルは宝石のような瞳をまぶたで覆い隠しました。彼女は現実的な思考によって心を地面に叩きつけられたような気分になるのです。


(それでも私はこの地の領主の娘。領主の血を絶やさぬよう隣の地の領主の息子に嫁ぐのだわ)


暗鬱な考えに打ちのめされている彼女に声がかかかりました。

「キシル様、お稽古の時間ですよ」


女中の声です。キシルは自らの役割を強く身に刻みました。キシルは振り返って返事をしました。キシルは窓から離れ、稽古場へ向かいます。キシルは隣の領主の嫁になるため花嫁修行に勤しむのです。

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