お姫様のお話相手
とある田舎の男爵家の、次女の私。
お兄様は家を継ぐために頑張っていて、お姉様は婚約者との関係を一生懸命に築いている。
私はまだ婚約者もいないので、必要なだけのお勉強を頑張るくらいのもの。
男爵家としてはそこそこにやっている両親の元、何不自由なく育ってとても幸せな自覚がある。
家族仲も良く、領民たちにも一家揃って慕われていて愛情にも飢えていない。
「だけど、平凡オブ平凡でなんの取り柄もない私」
見た目も性格も教養も、なんというか人並みだと思う。
決して見劣りはしないけど、突出した才能もない。
そんな私に、何故かすごく光栄なお話をもらった。
王女様のお話相手に抜擢されたのだ。
なんで私なのかわからないけれど、有り難いお話だ。
「親元を離れるのは不安だけど、煌びやかな王宮で生活させていただける機会なんて他にない」
なんといってもまだ七歳の私。親から色々躾けてはもらってるけど、なにか粗相をしないかは心配。
けれどやっぱり憧れの王宮での暮らしに、嬉しさが溢れてくる。
それに、このお役目をいただけたのは両親にとっても嬉しいことだと聞いた。
親孝行になると思うと、すごく嬉しい。
将来家を継ぐお兄様のお役にも立てる。
「でも、本当になんで私が選ばれたんだろう」
政治的なアレコレはわからない。
なにも王女様のお話相手になる条件に合うなら、私じゃなくても良い気がするけど…平凡な私くらいの方が良いような条件なのかな。
「お姫様はどんな人なんだろう」
何故か知らないけれど、お姫様を名前で呼ぶのはダメらしいけれど。
なんでかは知らない。
歴史に名を残す、悲劇の聖女様と同じ名前だからかな?
それがタブーなら、なんで聖女様と同じ名前を王女様に付けたんだろう。
考えても、子供の私にはわからないけれど。
「明日から馬車で出発だ。王宮での暮らし、楽しみだなぁ」
憧れの生活に胸が踊る。
ちなみに、私の滞在中の生活費は王女様の後見人さんが全額負担してくれるらしい。
何から何まで有り難いなぁと思う。
「明日の朝は早起きして、最後にゆっくり家族に甘えよう」
次はいつ家族に会えるかわからないから。




