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パパとの時間

アルジャン宮に移っても、魔法使いさんとは相変わらず一日中ずっと一緒。


お勉強も、魔法使いさん曰くすごく進んでいるらしい。


私を嫌いな王妃様とは会わないし、王子様として忙しいお兄様にはたまに会っては可愛がってもらう。


そして、王様として忙しいはずのパパとは毎日ティータイムと称して一緒の時間を一時間ほど過ごす。


今日も、パパとのティータイムの時間がやってきた。


「…今日の紅茶はミルクティーにした方が飲みやすいだろう」


「ミルク入れてくれてありがとう」


「私のカップに注ぐついでだ」


パパは素直じゃない。でも、あれからちゃんと私の頭を撫でてくれる。私も何かあればパパのほっぺにちゅーするようにしてる。


普通の親子はわからないけど、仲良い方になった気がする。お兄様もパパも、今では大好きだし大好きでいてくれてると思ってる。


でも、家族との関係が改善しても。


結局魔法使いさんが一番大好きだし、魔法使いさんが一番大好きでいてくれるのは変わらない。


「パパ、今お国は栄えてるんだよね」


「そうだな。農業も漁業も盛んになっている。鉱山の開発もかなり進んでいる。国は日に日に豊かになる」


「パパすごいね」


「…そうだな。農業や漁業は前から力を入れていた分が返ってきたのかもしれないが、鉱山の方は運と時期が合致したようなものだろう」


「でもすごい。きっとパパが王様だからお国がラッキーになった」


おべっかじゃなくて、きっとそうだと思う。


パパは、今まで私を放置してきたクソ野郎だけど。


接してみたら、ちゃんとパパをしてくれる。


聞いてみたら、ちゃんと王様をしている。


きっとその真面目さが、神様に認められてるんだ。


「そこまで褒めちぎられると困る」


困った顔をするパパ。


謙遜することないのに。


「パパは頑張ってるよ、偉い」


パパのほっぺにちゅーをする。


「…そうか」


「お兄様も頑張ってるの、偉い」


「ヴェルテュには俺からもたくさん褒めておこう。お前もきちんと勉強を頑張っていると魔法使いから聞いている。年相応の教養を身につけているとな。偉いぞ」


なでなでされる。嬉しい。


「ふふ、うん」


「褒美に欲しいものはあるか」


「お兄様には?」


「ヴェルテュにも褒美は用意するから安心しろ。私はお前だけを特別扱いはしない」


パパのこういう変わらないところ好きだよ。


「じゃあ、魔法使いさんとの結婚」


「それは十八歳まで待て。それ以外」


「えー」


「頬を膨らませるな、我慢しろ」


「ふふ」


近くに控える魔法使いさんが、私とパパのやり取りを見て嬉しそうな顔で笑う。


パパはそれにドン引きした冷たい目を向ける。年の差を考えればさもありなん。


でも私は年齢なんて関係なく魔法使いさんが好きだし、魔法使いさんも年齢なんて関係なく私が好きなのだ。


「それで?他にご褒美は欲しくないのか」


「んー…特には」


「そうか」


「…じゃあ、僭越ながら僕から一つ」


魔法使いさんが手をあげる。


「なんだ」


「可愛いお姫様に、同性のお友達を一人欲しいですね」


「お友達より魔法使いさんがいい」


「もちろん僕はずっと一緒にいるよ。それでも家族や僕の他に、同性のお友達は欲しくない?」


「わかんない」


お友達なんて出来たこともないし。


そんな私の様子を見て、パパは少し考えて言った。


「政治的な関係を考えずに済むような、同じ年頃の娘を寄越す」


「お願いします。よかったね、お姫様」


「よかったの?」


魔法使いさんがよかったなら、まあいいか。

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