初対面
可愛いお姫様とデレデレな魔法使いさんのお話が書きたかった。ということで今回もよろしければお付き合いいただけたらとても嬉しいです。よろしくお願いします(*´ω`*)
「…」
「やあ、お姫様」
…?
「ああ、そうだよねぇ。ネグレクト受けてるんだもんね。言葉もろくにわからないか」
「…」
「うん、とりあえず…お食べ」
「…」
「…ああ、本当に可哀想に」
ぽんぽん。
「ほら、あーん」
「…」
「そう、上手だ」
もぐもぐ。
ごっくん。
「良い子。ほら、もう一口。牛乳に浸してあるから、食べやすいだろう?」
「…」
もぐもぐ。
ごっくん。
「よしよし、良い子。全部食べきってしまおうね。牛乳もパンもまだあるからね」
もぐもぐ。
ごっくん。
もぐもぐ。
ごっくん。
もぐもぐ。
ごっくん。
「よしよし。全部食べれたね。これ以上の飲み食いは、今の君には逆に毒かな」
「…」
「それじゃあ、次は傷を癒そうか。ほら、服の下はどうせ痣だらけだろう?ちょっと失礼」
「…」
「うわ、酷いことするな。思った倍は傷だらけだ」
なでなで。
「さあ、君は魔法を見るのも初めてだろう?これは奇跡の力だ。よく見ていて」
「…」
「ふふ、傷が綺麗さっぱりだ。ご機嫌の悪い王妃殿下のサンドバッグにされないよう、加護もあげよう。そう、王妃殿下が不機嫌な時に君の存在を思い出さない程度の加護さ」
ぱちん。
ぴかー。
「よしよし、これでいい。そうそう、僕も存在の隠蔽の魔法を使っているからね。他の人間が来ても大丈夫だよ」
「…」
「さあ、飲み食いをして怪我も治した。あとはそうだな。睡眠もあまり取れていないね?眠ろうか」
ぽんぽん。
ぽんぽん。
「ほら、抱きしめていてあげるから。僕の腕の中でおやすみ」
「…」
すやー。
「…おやすみ、いい夢を。明日からはお世話の他に、読み聞かせをしたり色んなことを教えてあげる」
すやすや。
「でもね、僕は少し安心している。君が、今度はちゃんと独りぼっちで。また、他に掻っ攫われたら嫌だからね」
すやすや。
「あの頃じゃ考えられないな。人気者の君はいつだって人に囲まれていたから」
すやすや。
「今世では、聖女だなんてバレちゃだめだよ。まあ、僕の隠蔽魔法は完璧だから平気だと思うけど」
すやすや。
「…前は守ってあげられなくてごめんね。今回は、もう大丈夫だからね。君が幸せになれるように、僕が全部やっておくから」
すやすや。
【長編版】病弱で幼い第三王子殿下のお世話係になったら、毎日がすごく楽しくなったお話
の方もよろしければご覧いただけますと嬉しいです。よろしくお願いします。