8話 獣
へい!9時間後に投稿してやったぜ
翌日
いつものように東に向けて歩いているとある男性の老人に声をかけられた。
フード付きのコートを着ておりサングラスのような物を掛けていた。
「ちょっと、そこのお二人さん」
「……………」
チラッとエルナの方を見ると頷いていた。
どうやらここはユウマに任せて欲しいそうだ。
「……俺達のことか?」
「あぁ、そうだよ。おめぇさん達ソルカデンに向かってんか?」
「そうだが、それがどうかしたのか?」
「いやな。最近この辺りで幻獣グリフォンを見たって奴がいるだよ」
「へぇ、グリフォン…………?(グリフォンっていうとあのグリフォンだよな?)」
密かにハテナを浮かべながらユウマはしれっと会話を続ける。
「おぉん。だから進むんだったら気をつけるんだな」
「あぁ、忠告ありがとな」
「いやなに大したことはしてねぇよ。じゃあな」
そう言って老人はその場を去っていきユウマ達とは反対方向に歩いていった。
その姿を見送ったあと先程の話をエルナに伝えた。
「なんだったの?」
「どうやらこの付近に幻獣グリフォンがいたというのを見た人がいたらしい。それであの老人が忠告しに来たって言う感じだ」
「けど、あの様子だと」
「あぁ、実際にグリフォンを見たわけじゃなさそうだな。でどうする?このまま進むか?」
「当たり前」
その一言でユウマは承諾してそのままソルカデンに向かった。
それから数時間が経過した。
この数時間は何ともなかったが、今2人の足が止まった。
それは休憩を挟もうとした直後だった。
数人の人影が北の方から確認できる。
しかも何かに股がってる。
ラクダのような………けど、足はかなり早い。
しかも連隊的な動き。
もしかして
「あれ、北の国の奴らか?」
「多分、ピークスの騎士部隊。二個小隊。けどなんで?」
「きっと戦争の影響だろ。救援要請とか見回りとか。寧ろ3日間見つからなかったのは奇跡に近いな」
「うん、このまま進んで」
「は?」
「救援要請や見回りなら関係ない」
「……いや、仮に関係ないとしてもどうやって言い訳する」
「それは、あなたが考えて」
「はぁ、マジで言ってるのかこの女」
「聞こえてる。そんなこと言う暇あるならやって」
「はいはい」
ユウマはエルナに悪態を吐きながら色々考える。
が、どう頑張っても相手の出方次第で決まる。即興で考えてアドリブも交えないと無理だろう。
相手は騎士団だ。
下手な真似はしないよう慎重にやらないと………。
騎士団はトルコのカフタン風の服を着ておりそのままやってくる。
すると、騎士団もユウマ達の存在に気づいたのか急いで向かってくる。
直ぐに着いた騎士団達はラクダのような動物から降りてユウマの方に近づく。
「おい貴様ら!ここで何をしている?」
「えっと………」
チラッとエルナの方を見るが知らんぷり。ピキッと一瞬イラついたもののまずは騎士団を対応していく。
「実は俺たち旅をしていて、南の国からソルカデンに向かってたんです。何かあったんですか?」
「そうか、デュインチからな。………ん?そこ奴はなんでそんな厚着たんだ?顔を見せてみろ」
「あ、すみません。こいつ実は全身火傷を負ってるみたいで外すとヤバいので見せられないんです」
そんな嘘を軽々と口にする。
暫し顔を見合わせる騎士団。
大丈夫か?と少し緊張しながら様子を見守るユウマ。
「そういうことなら仕方ないな」
「助かります」
見逃してもらえることに………。
だが、次から次へと問題は発生していく。
見逃してもらえたと思いきや、上空から何かがユウマ達に向かって降りてくる。
それに気づくユウマはふと上を見る。
そして気づいた。
「あれは?」
「ん?どうした?……っ!?」
ユウマと同じように1人の騎士が空を見上げ………青ざめた。
「な、なんでここに!?」
「総員ッ!戦闘態勢!!」
それは誰もが知ってる奴だった。
現実世界でも有名な。
………獅子の胴体にワシの頭と翼のある幻獣。
人はそれをこう呼ぶ。
グリフォン
上空からものすごい勢いで滑空してくるグリフォンは騎士団の後ろに降り立つ。
轟音と豪風で砂が巻き上がる。
「………な……んで?」
エルナも驚いているようだった。
砂漠の地に降りたグリフォンは騎士団とユウマ達を見る。
騎士団は直ぐに剣を抜き構える。
エルナはその場に立ち止まっており、それが恐怖なのか驚愕なのかは分からないが動けないことをユウマは危惧していた。
「おい!逃げるぞ!」
「…………ぁ…………」
「何してる!?早く!」
一緒に逃げようとするユウマだがエルナが逃げようとしないので傍による。
だがそこで気づく。
何故エルナが逃げようしないのか、否、出来ないのか。
その瞳には何かが映っていた。
その内容は定かではないが身体は震えていた。
そして騎士団は応戦している。
が幻獣という名がつくくらいだ。
苦戦しており、嘆いていた。
しかも、ユウマ達のことを気遣える程の余裕がなく集中していた。
グリフォンも騎士団に夢中でその鋭い爪で敵を狙う。
今のうちにとユウマはエルナの手を引っ張る。
「ッ!!行くぞ!!」
「…………なっ…………んで」
そこからユウマはエルナの手を引っ張りながら全力でこの砂漠を駆けた。
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