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真・恋姫†無双 〜羅刹戦記〜  作者: エアリアル
第参章 鬼と戦  反董卓連合編
24/37

鬼と連合12  ~狂鬼~

お久しぶりです。


連合編、ラストです。サブタイトルの意味は、読んでご確認ください。

今、劉焔の目の前では、劉備と董卓が手を握りながら、笑みを浮かべている。


次に劉焔は未だうなだれるように座り込んでいる華雄へと眼を向けた。


「華雄、アンタはどうする?」


「私は……解らない」


「なら、董卓と一緒にくれば? 武の道をまた進むなら、関羽とか格上相手には事欠かないし。それに」


「それに?」


「武人とは違った強さ、ってのも見てみたらいいさ」


まだむすっとしているものの、いつもの飄々淡々とした雰囲気を戻しながら、劉焔は言う。


まさか誘われるとは思っていなかったのか、華雄は眼を丸くした。


「武人とは違う強さ、か。

 ……視野が狭くなっていた私では、見向きもしなかった別の力だな」


うん、と一つ頷き、


「見聞を広める為、私も同行したい。教授、お願いする」


華雄は頭を下げた。


「了解だよ。よろしく」


「ああ、よろしく頼む。師匠」


「はいは――――い?」


「どうした? 師匠」


「いや、うん。何それ?」


「? 何の事だ」


「僕の事、師匠って……」


「私は貴方に師事したい。拒否も例外も認めない」


「…………」


何故か、教えを請う方が上から言ってきた。


何それ?、と内心で再び独り言ちながら、劉焔は首を横に振った。


「僕は教えらんないよ。関羽や趙雲に教わって」


「嫌だ」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


華雄の顔には、これだけは譲れないと書かれている。引き下がる気は無いらしい。


うん、と今度は劉焔が頷き、


「お父さ〜〜ん!!」


一刀に泣きついた。


「華雄が解ってくれない」


「俺は朔が何を言ってるか解らない」


劉焔が華雄の同行と師事の件を話すと、一刀は快く承諾してくれた。


だが、


「誘ったのは朔なんだから、それくらいしてやりな」


やんわりと押しつ――――もとい、たしなめられた。


うへぇ、と肩を落とす劉焔の後ろで、「やるぞー!」と華雄が叫んでいるのを聞いて、更に肩を落とした。


「ご主人様、こちらもよろしいでしょうか」


沙汰を決めたばかりの一刀に、関羽は遠慮がちに聞いた。


彼女の隣りには、泣いて眼を赤くした周倉がいる。


「どうした?」


「この周倉も、我らと共に来たいそうです」


「正確には、小鬼ちゃんと一緒にいたいんす」


「朔とかい?」


「! ……そうっす。それが私の使命っすから」


一刀は一瞬だけだが、周倉の様子に引っ掛かった。


劉焔の真名を口にした瞬間、彼女は何故か驚いていた。それに、劉焔と共にいる事を使命とまで言った。


後で彼女に幾つか聞いてみるか、と一刀は思考を切り替える。


「解った。一緒に行こう。朔の兄弟子なんだろ?」


「そうっすよ。そして、お姉ちゃんなんすよ、おじ様」


「お、おじ様!? 俺、そんなに老けて見える!?」


「あっ…………違うっす。おじ――――御遣いさんは全然若いっすよ」


あはー、と笑いながら周倉は言う。一刀にはその笑みが無理しているように、引き攣って見えた。


「どうやら、私とご主人様によく似た知り合いがいるようでして」


「その人達は、私にとって凄く大切な人だった。

 もう会えないのに、あんまり似てるから驚いちゃって…………それでちょっと感極まって泣いちゃったんすよ」


「そっか」


「え……?」


一刀の手は自然と周倉の頭を撫でていた。


まるでよく頑張ったとでも言うように。


(やっぱり……解っちゃうんだ)


手からの温もりに、また涙が込み上げてくる。


泣かないように堪えても、彼が《北郷一刀》であるなら、自分程度の偽り加減じゃ看破される。


関羽にも看破されたし。あと、この可愛いらしい弟分にも。


「小鬼ちゃん。お姉ちゃんも一緒にいていい?」


「好きにすれば。無理に笑わないなら、だけど」


屈んで聞いてみれば、劉焔は予想通り素っ気なく答えた。


「ありがとう」


「朔だよ」


「え?」


「僕の真名。いつまでも小鬼って呼ばなくていいよ」


「うん。これからよろしくね、朔ちゃん」


コクン、と劉焔が頷いて見せると、


また(・・)君をその名前で呼べるんだね)


周倉は心からの笑顔を浮かべた。


「さて、それじゃ董卓ちゃん達をどう保護しようか」


「死んだ事にするって事だと、今の名前は使えないね」


「なら、名前を捨てて真名を預ければいいっすよ」


董卓と賈駆の保護方法に頭を悩ませる一刀と劉備に、周倉は簡単だと言わんばかりに提案する。


しかし、名前とは自分という存在のしるべだ。それを捨てるなど、簡単に決断出来るものではない。


「二人の真名を知ってるのは極僅か。しかも、知ってる内の過半数は今ここにいて、後は行方知らず。

 策としては、上々だと思うんすけど」


それでも周倉はこの策の利点を述べる。


生き残る為だと。


「あと、二人には御遣いさんの侍女になってもらうっす。

 あ、勿論っすけど、まつりごととかで表舞台に立っちゃダメっすよ」


「なっ、なんだってボクらが侍女なんて!?」


「そっか。ご主人様の傍にいれば、他人の眼は二人には行きにくくなるもんね」


「ん。劉備さん、正解」


「えへへ〜」


「さっすがおっぱいが特大なだけあるっす」


「そこは関係無いよ!!」


周倉は何故か一人感心したように頷き、劉備は顔を紅くして叫んだ。


「桃香様の大きなおっぱいについての談議は後にして、だ」


「うぅ……星ちゃんまで」


「董卓よ、お主らはどうする? 名を捨てる覚悟はあるか?」


趙雲の問いは単純で簡潔なものだったが、それ故に曖昧な答えは口に出来ない。


「…………捨てます。董卓という名前は、この地に遺していきます」


「月……ボクも賈駆という名を捨てる。月と一緒にいる為だもの、仕方ないわ」


侍女になるのは不本意だけど、と付け足しつつ賈駆も賛同した。


そんな彼女らを強いと劉焔は思った。


名前の無かった自分。あの頃は、特に欲しいとも思わなかった。


けれど、家族になってくれた人に貰った《劉焔翔刃》という名前と《朔》という真名は、もう自分にとって掛け替えの無いものだ。


もし董卓と賈駆のように名を捨てるかの選択を迫られる状況になったとしたら、きっと捨てられないだろう。


だから、彼女らは強いのだと思わされた。


「私は董卓、字は仲潁。真名は月です」


「ボクは賈駆、字は文和。真名は詠」


「んじゃ、私も。名前は周倉で、真名は旭。ヨロっす」


「最後は私か。名は華雄、真名は直葉すぐはだ」


董卓――――月達は一刀達に真名を預けた。


それを信頼の証として、一刀達は受け止める。


そして、自身の真名も預け、新たな仲間の参入を歓迎したのだった。


「さて、それじゃ――――」


「「ご主人様ーー!!」」


「なんだ!?」


一刀が声のした方向を見れば、危なかっしく走る二人の少女の姿がある。


それが慌てている孔明と鳳統とあっては場合が違った。


「どうしたんだ? もしかして袁紹が何かしたのか?」


「はわわ! ちゅがうんでしゅ!」


「あわわ! 合ってるんでしゅけど、ちゅがうんでしゅ!」


「はい、落ち着いて。深呼吸〜〜」


「「す〜は〜す〜は〜」」


彼女達との付き合いも長い。一刀も慣れたもので、手早く彼女達を落ち着かせる。


「で、何があったの?」


「「ちゃいへんなんでちゅ!?」」


「でちゅ……えーと、それで?」


「ちぇんちょうさんとちぇんじゅちゅしゃんがいちぇばんにょりををあらしょいだして!!」


「しょこにいきにゃり白装束の人ちゃちが!?」


「袁紹と袁術が一番乗りを争い出して、そこに白装束の一団が乱入してきたそうっすよ………………白装束?」


「一発で理解出来たのか」


字面にしても理解しにくい文章を周倉はさらりと聞き取り、通訳してみせた。


今のを理解しきれなかった一刀としては助かった。


「とにかく、その白装束の奴らを止めないと。じゃないと、終わりかけてる戦いで、また洛陽の人達に迷惑がかかる」


「そうですね。では、私と星が先行します。ご主人様と桃香様は董卓達を連れて、後から来て下さい」


「やれやれ。仕様の無い奴らだ」


「頼んだよ。愛紗、星」


「はっ!」


駆けていく二人の背を見つめながら、


「旭。君は白装束の奴らに心当たりがあるのか?」


思案顔の周倉へと問い掛けた。


「いや、その……何と言うか、あるにはあるし、無いとも言えちゃったりして」


「旭ちゃんは何か知ってるの?」


「多分っすけど……確証無いんではっきりとは言えないっすよ?」


「それでもいいよ。正体不明の相手だ、可能性の一つでもあった方が気持ち楽だ」


まあ、それなら、と周倉は答えた。


「白装束の一団っすけど、恐らく……私と朔ちゃんの師匠の天敵で宿敵」


「朔達の師匠の天敵にして宿敵、か」


「でも、そうだとしたら………………あっ!?」


う〜ん、と数秒頭を悩ますと、弾かれるようにして周倉は辺りを見回す。


いきなりの彼女の慌てように一刀達も首を傾げた。


「朔ちゃんは!? 朔ちゃんはどこ!?」


「え? ……って、あれ? いない!?」


「そんな!?」


いつの間にか劉焔の姿は消えていた。


それに気付いた一行は皆、いつもの暴走かと頭を抱える。


しかし、周倉はそうだと知っても落ち着くどころか、顔を青ざめた。


「止めなきゃ……」


「ちょっと待って! どうしたんだ!?」


一刀は走り出そうとする周倉の腕を掴み止めた。彼女の眼には動揺と焦燥の色で塗り潰されている。


「早く……早く行かなきゃ!!」


「だから、君が何を焦ってるのか教えてくれ」


「……白装束の一団が師匠の天敵の奴らなら……朔ちゃんには会わせちゃいけないの」



もし、会ってしまったならどうなるか?



周倉は答えを口にする。




「朔ちゃんが朔ちゃんじゃなくなっちゃう!!」




悲壮の叫びに乗せて。








間違いだったのかもしれない。


劉焔翔刃は切実に思う。


あの時、孔明と鳳統が白装束の一団が現れたと話した瞬間に、劉焔は走り出していた。


気付かなかった。いや、気付けなかった。


体が万全ではないといえ、意識を向ければ袁紹軍と袁術軍の気配がぶつかり合っているのは察知出来た。


けれど、彼女達が言う乱入者達の気配が微塵にも感じられない。


「何だってのさ……」


疑問を愚痴るように零す。跳び上がっては家の屋根から屋根へと跳び移り、目的地へとショートカットしながら目指した。


着いてみれば、確かにいた。


袁紹軍と袁術軍。


それに、


「――――――っ」


白装束の一団が。


頭から足の先まで白で統一された衣装は、まるで道士のような出で立ちだった。


「――――あ、ああ」


彼らを見た瞬間、劉焔は息を呑んだ。


息が出来ない。


体が震える。


視界が明滅する。


頭が割れるように痛い。


立っていられない。



――――――ダ



視界が暗転した際に脳裏に映る光景を幻視する。



―――――ラダ



一人の女性が大きな血溜まりに倒れている。長い黒髪がその朱に浮かんでいた。



――――ツラダ



彼女はもはや死に体となっている。それでも、文字通り必死に劉焔へと手を伸ばした。



―――イツラダ



血で濡れた手は慈しむように劉焔の頬を撫で、血溜まりへと落ちた。それは彼女が事切れた証に外ならない。



――アイツラダ



彼女の亡きがらの向こうには、ほくそ笑む白い道士がいた。



――アイツラガ



そうだ、あいつらが――――――





「――――――殺した」








間違いであってほしかった。


北郷一刀は切実に思う。


焦る周倉を先頭に、先行していた関羽と趙雲に追い付いた時、彼女らは何もせず呆然と立ち尽くしていた。


何があったと聞くまでもない。


「見ちゃダメ!」


周倉が張飛、孔明、鳳統の三人を抱きしめるようにして視界をさえぎる。


それが正解だと一刀も思う。


こんな惨いものは、誰も見たくない。


ドサッ、とモノが落ちてきた。それを見た瞬間、肺が引き攣る。


音源であるそれは、人の首。


白いフードようなものとマスクを付けたそれは、瞳孔が開ききった眼で自身を冷たく睨んでいるような気がした。


「朔……」


弱々しく、姿の見えない我が子の名を呼ぶ。


だが、返事は返って来ない。


返ってきたのは、鉄に似た臭いのする紅い雨だった。


紅い雨は洛陽の路上をまるでペンキを使ったように塗り潰していく。


いや、それでは語弊があるか。一刀達が追い付くよりも早く、関羽達が到着するよりも早く。


この道は、既に紅く塗り固められていたのだから。


彼ら、白装束の一団の血によって。


「■■■■■■■■■■――――!」


声ならぬ咆哮が耳をつんざく。


また血の雨が降り、人体のパーツが続いて降ってきた。


プラモデルのパーツやパズルのピースみたいにバラバラで。


どれも斬られて出来たモノじゃないのは確かだ。


切断面がやけに汚い。まるで――――――


(――――――力尽くで引き千切ったみたいだ)


そんな異様な人体パーツは足場の無いくらい道に転がっている。だが、白装束の一団はそれが仲間の亡きがらの一部だというのに平然と踏み付け、人垣を為していた。


狂ってる。


呟かずにはいられない。


作り上げているだろうアイツも、無謀にも立ち向かい惨状の一部となる彼らも。


(そう、狂ってるんだ。狂ってしまってるんだ)


ならば、止めなくてはいけない。止めてあげなくては。


「朔っ……!」


一刀は震え出した足で何とか前に進み、我が子の名前を呼ぶ。


だが、劉焔の返事はない。


反応したのは、




「同志達よ! 諸悪の根源である北郷一刀が現れた! 奴を殺し、世界を救え!」




皮肉にも白装束の一団だった。


団長なのかは解らないが、一刀達に背を向けていた彼らは彼の言葉にこちらへ一斉に向いた。


そして、手に持つ武器で一気呵成に襲い掛かってきた。


「! ご主人様、後ろにお下がりください!」


「あ、ああ」


「同志達よ、逃がすな! 世界を滅ぼす悪である北郷一刀。そして、悪鬼、劉焔翔刃を殺せ!」


白装束の一団の武は差ほど高くない。だが、その数は脅威だった。


一刀の前にいた関羽と趙雲はその数の多さに徐々に押され、別々に孤立させられた。


逃げるように後ろに下がると、華雄が一刀と劉備を守るように前に出る。


しかし、すぐに彼女の顔が苦しげに歪む。体調が万全でない上に、間に合わせの戦斧では実力を発揮しきれないからだ。


そんな中、一刀は白装束の一団の言葉に揺れていた。


「…………俺が悪? 朔まで悪だっていうのか?」


「ご主人様が悪者な筈ないよ! 朔くんだって!」


「否、北郷は世界を破壊する悪なり」


動揺する彼の呟きを否定しながら、劉備は腕を引いて走る。


だが、追い付いた白装束の一人が劉備の否定を更に否定した。


「悪に魅入られた愚か者め。悪が正義の刃に討たれる様をその眼に焼き付けろ!」


白装束の一人は手に持つ短剣を一刀へと振るう。


迫る凶刃から庇おうとする劉備を突き飛ばし、一刀は襲いくる肉を裂かれる痛みを堪えれるよう歯を食いしばり、



「――――――――――正義って言った?」



凶刃は白銀の閃光に砕かれた。


「あ……旭?」


一刀は思わず彼女の名を呼ぶ。


羲和を白装束の一人に突き付けた彼女は、さっきまで弟分と一緒にいられる事を喜んでいた彼女ではなかった。


「今、正義って言ったよね?」


底冷えするような声音で言い、周倉は一歩前に進む。


白装束の一人は気圧されたか、後退りながら肯定した。


「そ、そうだ、託宣は下された。北郷は世界を壊す悪。悪を討つは正義の役目。すなわち、義は我らにあり!」


「そう、それがそっちの正義りゆうね。正義の名の下におじ様を討つ気なんだ」


なら、と彼女は続け、


「私は私の約束りゆうで貴方達を討つ」


宣言直後に羲和で貫き、白装束を紅く染め上げた。


前に進み出した周倉は殺し合いの渦中を平然と歩き、襲い掛かる白装束を突撃槍を瞬かせ貫いていく。


骸は路上に増えていき、まるで彼女の足跡を残すかのようだ。


「貴様……もしや北斗の――――」


「今頃気付いたの? 私は北斗の一番弟子。つまり、戦鬼よ」


白装束の一団は北斗の名前を口にすると、途端に狼狽える。それを周倉は冷たく嘲笑った。


「北斗の弟子であるのなら、我らの行いを理解出来るであろう!? 何故なにゆえに正義の行いを阻む!?」


「理解は出来ても、肯定はしてやらない。

 それに言った筈。私は私の約束りゆうで貴方達を討つと。だから、もう殺させてやる訳にはいかない」


「く……貴様も奴の道を追うか。所詮は貴様も悪に魅入られた者であったか」


「当然。私は一途な女なの」


冷笑を浮かべた周倉が羲和を構える。同時に四肢に着けているリングが激しく輝きだす。


その輝きに脅威を感じたのであろう、白装束の一団は津波のように多勢で彼女に向かっていく。


その時点で、彼らに勝機も勝算も消え去ったとも知らずに。




「――――――鬼の閃光、その身に刻め」




白銀の閃光は放たれる。


閃光は一瞬にして敵を貫き、津波を殺し尽くして、骸の垣を築いた。


圧倒的。


その光景を間近で見た一刀はそう思った。同時に、人の律から外れた“鬼”と称し称される者の力を見せ付けられた。


(本気になった朔も、こんなにも凄まじいのか?)


これでも幾つもの戦場を渡ってきた身だ、ある程度の眼力はあるつもりだ。


強者の風格、実力。


正直、どちらも一刀に薄ら寒いものを感じさせる。


鬼と人は同格でないと思わされた。


けれど、あそこにいるのは鬼だろうと劉焔に違いない。


「旭……」


一刀は小鬼の姉の名を呼ぶ。周倉は返事するでもなく、眼を向けるだけで先を促した。


「朔の所まで連れてってくれ」


「危ないよ? それでも?」


「それでもだ」


「即答、か。《北郷一刀》なら、そうこなくちゃね」


満足そうな笑みを一瞬だけ浮かべ、


「生き残る気で付いて来てよ」


どこか劉焔のような言い方で周倉は言い、駆け出した。それに一刀は離れないように全力で走った。


自分より小さい彼女に頼るのは、なんだか情けない気がしないでもない。


けれど、周倉に力を貸してもらわなければ、辿り着けない。


あそこには彼女よりも小さく幼いアイツがいる。


きっと苦しんでいる。


もしかしたら、泣いてるかもしれない。


(独りは嫌なくせに、突っ走るなっての!)


内心で叱り付けながら、一刀は更に足に力を込めて走った。


(やっぱり似てるなぁ)


白装束の一団を薙ぎ払いながら、全力で走る一刀を見た周倉は不意に思った。


憧れた“おじ様”。


いつも優しくて、哀しくて泣きそうになった時は暖かな笑顔で癒してくれた。


そして何より、誰かの為にいつも全力で力になろうとする心の強さ。


それは幼かった自分が知った最たる強さで、自身の在り方の根幹となった。


(私のはおじ様達の正しさを模倣まねしてるだけの偽物。

 だけど、この偽物ただしさを貫いて貫いて、貴方達へ頑張ったって言いたい)


だから、その前に彼によく似たこの青年に今の自分の姿を見てもらおう。


そして、可愛い弟分にどんなもんだと胸を張って笑ってやろう。


(そしたらまた、お姉ちゃんって呼んでほしいな)


内心で独り言ちながら、壁となった最後の白装束を蹴散らした。


「朔……」


背後で一刀が息を呑んだのが見なくても解った。


辿り着いたその先に、自分達に背を向ける小鬼がいた。彼の周りにはまだ数人の白装束がいる。


そして、血染めの白装束を纏った残骸が散らばり、道を埋め尽くしていた。


「朔ちゃん……」


周倉も彼の名を呼ぶ。


振り向いた小鬼の焔色の緋い髪には血の朱が混ざり、黒の戦装束も赤黒くなっていた。


異形の鬼眼は本来の色が失せ、血より尚濃い緋へと変わっている。


そして、彼の右肘から鬼の象徴たる“角”がその存在を示していた。


――――――――――呑まれてる。


周倉はそう判断した。


「まだだ! 同志達よ、巨悪に連なる悪鬼を滅し、世界を救うのだ!」


多対一でありながら、彼我の戦力差も戦況も明らか。


けれど、白装束の一団はそれを無視するように小さな戦鬼に襲い掛かる。


「この自殺志願者め…………」


周倉が哀れむように呟くと同時に、小鬼は姿を消す。


瞬間、白装束の一人の首が消失した。


噴水の如く噴き上がる血の向こうで、小鬼は生首を手に姿を現し、それを乱暴に投げ捨てた。


何故、首が消失したかなど、もはや愚問だ。もう何十と繰り返し行われたのだから。


そこの小鬼が力尽くで引き千切ったのだ。


ただ、それだけ。


言葉にすれば、たったそれだけの事をやった。


雑草を抜くようにして。


「――――ウッ」


その光景をリアルタイムで眼にし、一刀は胃液が喉元まで逆流しかけ、口を手で抑えながら呻いた。


人の死体はある意味――――いや、悪い意味で見慣れたと思っていたが、これは違った。


体を走る不快感が秒刻みで悪化する。


それに拍車をかけるが如く、小鬼はまた白装束の一団と接敵する。


指を揃え突き出した貫手ぬきては、白装束の左胸を容易く貫いた。


腕を引き抜けば、出来た空洞から貯水タンクが爆ぜたように血が噴き出した。


まだ血が噴き出しているその死に体を蹴り飛ばし、別の白装束にぶつけて動きを止める。


そして、小鬼は跳躍し、“角”を肘鉄の要領で使い、動きを止めた白装束の頭を穿った。


「悪鬼め、正義の刃で滅べ!」


着地直後を狙ったか、凶刃が振り下ろされる。


それの勢いを流すようにして、凶刃を振るう腕を掴む。同時に握り潰し、小鬼は蹴りを放ち腕を裂いた。


蹴り裂かれた腕が宙を舞って地に落ちる。


その間に、小鬼は苦悶の叫びをあげる事すら許さず、白装束の頭を掴んで地に叩きつけて潰した。


それで、白装束の一団全てが絶命した。


「…………」


言葉が出ない。


口にすべき言葉が浮かばない。


誰かに教えてほしいくらいだ。


それでも、一刀は立ち尽くす小鬼へと歩み寄った。


「朔」


名前を呼べば、彼は振り向いた。


眼は虚ろ、表情かおに感情の色は無く、まるで人形のようだ。


そして、彼の頬には一筋の涙が零れ落ちた。


「ごめん……」


やっと言えた言葉がそれだった。


謝る事しか出来なかった。


正面から小鬼の両肩を掴んで、膝を地面に着けて、何度もごめんと呟き続けた。


「俺……お前のお父さんなのに……本当にごめん」


情けない。


悔しい。


許せない。


そんな感情が一気に押し寄せて、ごちゃごちゃと混ざり合って一刀の心を痛め付ける。






「――――――ふむ、やはり人形では相手にもなりませんでしたか」






そんな時、平然とした男の声がした。


「誰だ!?」


咄嗟に小鬼を背に隠すようにして声の主を捜せば、屋根の上にその姿はあった。


黒髪、眼鏡を掛けたその顔は秀麗であり冷酷な印象を受ける。


そして、白装束の一団とは違った道士服を纏っていた。


「嘘……なんで……」


そう呟いたのは周倉だった。


「おや、そこにいるのは周倉でしたか」


「……旭、あいつを知ってるのか?」


「あいつは……張譲。月を利用した悪党。そして、私が討った死人っすよ」


周倉は怨敵にでも会ったかのように、張譲らしき男を睨みつけた。


「死人? でも、アイツ生きてるじゃないか?」


一刀の疑問は尤もである。周倉が嘘を言っているようにも見えないし、言う必要も無い筈だ。


しかし、件の本人が現れ、こちらに冷笑を向けている。


「確かにこの手で討ったっす。蘇らないように――――」


「頭と心臓を貫き、ご丁寧に生中線をなぞるように両断されてましたよ」


クッ、と張譲らしき男は喉で笑い、自身の殺害方法を語った。


周倉が苦虫を噛んだような表情から、その通りなのだと一刀は悟れた。


「だったら、お前は――――っ!?」


「……ひっ」


「……む」


何故、生きているのか?


そう問い質そうとした瞬間、体が硬直した。


それは周倉も張譲らしき男も同じで、怯んだように小さく声をあげた。


硬直したのは、体が危険を感じて恐怖したからだと一刀は思い当たった。


(殺気だ…………)


戦場に満ちるこの感覚に覚えがある。


だが、質が違い過ぎる。


ドロドロとした恨み、焼き付けるような怒り、存在する事すら赦さない絶対的な殺意。


それが背中から全身を貫き、ここに縫い止めているのだ。


そして、疑問を持った。


(背中から?)


何故、背中越しに感じる?


自分の後ろには一人しかいない。


小さな戦鬼しかいない。




「――――――――お前らだ……」




呟きが聞こえ、影が一刀を飛び越えた。






「――――――――お前らが殺したッ……!!」






怨恨の叫びをあげ、小鬼は張譲らしき男へと殴り掛かった。


「まだ動けましたか」


ちっ、と舌打ちをし、張譲らしき男は懐から札を一枚取り出すと一言だけ呟いた。


「…………【阻】」


「っ!?」


突如、発現する紫色の障壁。それは戦鬼の剛力を宿した小鬼の一撃を“阻”んだ。


小鬼の拳は障壁に触れた位置から微動だにしない。


「大した一撃です。さすがは彼女の門弟なだけある。ですが、私には……む」


戦鬼の一撃を防いだ張譲らしき男は、嘲りの笑みを浮かべようとしてすぐに消した。


ピシリッ、と音が鳴った。


それは小鬼の拳を中心に障壁に罅が入り出した音。


「■■■■■――――!」


咆哮をあげ、小鬼は障壁を突き破ろうと更に剛力を込める。


罅が徐々に広がっていくが、張譲らしき男に慌てる様子は無い。


冷静にまた札を取り出し、同じように呟いた。


「離れなさい。……【斥】」


今度発現したのは見えない衝撃波。


不可視の攻撃を防ぐ術の無かった小鬼は、何も出来ずに無人の家屋を壊すようにして吹き飛ばされた。


「朔!? お前、よくも!!」


「ふっ、死んじゃいませんよ。これくらいで死ぬようなら、鬼――北斗の弟子など名乗れませんからね」


向けられる一刀の怒気を流しながら、張譲らしき男はほくそ笑む。


「しかし、やっとお話が出来ますよ。まあ、長くは出来ませんが」


「お前、何で師匠の名前を!?」


「知っていますよ。知らない訳が無い。彼女とは、ちょっとした縁があるのでね」


「嘘だ! 師匠は俗世――――特にお前みたいな官吏に関わりを持つような人じゃないっす」


「誰が官吏だと? ああ、張譲の事ですか。でしょうね、彼は彼女とは知り合えないでしょう」


「え――――」


不自然な解答に、言葉を失う。


自分の事をまるで他人の事のように言っている。


一刀は董卓を利用した張譲を知らない。彼を知っている周倉がそう言ったから、そう認識した。


「お前が張譲じゃないなら――――――誰だ?」


もし、の可能性に賭けて、一刀は男に問う。


「相変わらず変なところに鼻が利くんですね、貴方は」


「黙れ。早く答えろ」


「手厳しいですね」


肩を竦めた男は自身の名を告げる。




「私の名は、于吉。

 これが北郷一刀に敵対する内の一人の名ですよ」




また冷笑を顔に貼り付けて。


「なんで俺と朔を狙う!?」


「何故? 貴方が《北郷一刀》だからですよ。この世界の異物である貴方が、ね」


「何だよ、それ……じゃあ、朔は!?」


「あの少年はそうですね…………未知の脅威、とでも言っておきましょう。

 ただでさえ戦鬼なんて化け物ですからね、そんな不安材料の芽を刈るのは当然でしょう」


退屈そうに于吉は淡々と答えていく。


自身がこの世界にとって異物なのは、百も承知だ。


自身が知る歴史で、物語で《天の御遣い》なんて呼ばれた存在はいない。


だから、この世界の人々が《北郷一刀》という異物そんざいを受け入れてくれて嬉しかった。


そんな自分が――――――


「俺が世界を壊すっていうのか?」


「ええ。もはや狂い出していると――――――おや、もう察知されましたか。こちらもこちらで鼻が利く」


やれやれ、と于吉は肩を竦めると、その姿が段々と薄れだした。


時間のようです、と于吉は告げる。


「北郷一刀。貴方という異物を私達は赦さない。

 その命がある限り、自身が世界をおびやかす存在である事を悩み、苦しみなさい」


「…………ま、て」


消え入るようなか細い声と共に、満身創痍の小鬼が瓦礫を退かして這い出てきた。


「殺し……て……やる……」


何度も呟き、傷だらけの四肢に力を入れて立ち上がろうとするが上手くいかない。


「ぐ……ぬぅ……あ、ああ」


「まだ幼いながら、その復讐心は大人以上とは歪んでますね。

 残念ながら、今は君の相手をしている時間はありません」


「あ、ああああ……」


「君も、またそこで己の無力さを嘆き、打ちのめされていなさい」


蔑むように鼻で笑い、于吉は霞みの如く姿を消した。


「――――っ……うあぁあああああああ!」


小鬼は未だ燃え上がる怨嗟を吐き出すように、天に向かって咆哮をあげた。


そして、憤怒を叩きつけるようにして地面に何度も拳を打ち付けた。その度に彼の近くにある家屋が揺れていた。


誰も何も言えず、誰も動けない。


劉備と一刀は小鬼の怨嗟に混じった濃い哀しみに、どうしたらいいか解らなくなっている自分に不甲斐なさを感じていた。


孔明と鳳統は小鬼の拳が地を微かに揺らす度に、恐怖に耐えるように互いを抱きしめ合っていた。


趙雲と張飛は小鬼から噴き出る殺気に武人としての本能が働いてしまい、警戒の余り動けない。


誰も何も言えず、誰も動けない――――――筈だった中を関雲長は歩を進めた。


足取りは急いだものではなかった。まるで倒れないように一歩一歩しっかりと地を踏んで歩くようにゆっくりとだ。


そして、関羽は小鬼の後ろに立ってその小さな背に声をかける。


「……朔」


「ッ!?」


それは本当に反射的なものだった。


自身の名を呼んだのが劉備でも鳳統でも、恐らくは一刀でも同じだったろう。


動きは一瞬。


怨嗟を吐き出し続ける小鬼は関羽に牙を剥いた。


小鬼の拳は関羽の顔面へと迫る。しかし、その荒々しい一撃は彼本来の速さも鋭さも無い、何とも力任せな荒い一撃。


如何に戦鬼の“角”を解放してようと、関羽に避けられない道理は無かった。


拳は彼女の顔の真横を突き抜け、髪留めを掠める。それにより髪留めは壊れ、流麗な黒髪がはらりと宙を舞った。


追撃すべく小鬼は関羽へと向き、


「――――」


大きく眼を見開いて動けなくなった。


関羽は何もしていない。ただ避けただけで、今は立っているだけだ。


けれど、ダメだ。


頭から足の指先まで、一つとして動いてはくれない。


「朔」


自身の真名を呼ぶ関羽の声に小鬼の体がビクリと震えた。


そして、感じたのは心地良い温かさ。


「あ…………」


「もう……大丈夫だ」


抱きしめられている。そう理解するのに、小鬼は数瞬だけ時間がかかった。


関羽の温もりに安心して力が抜けていく感覚がする。



――――マダダ



“角”がズグン、と震えた。



――――マダダ。ゼンブコロサナキャ



「がっ……ああ……」


“角”から流れ込む力の奔流に体が軋む。



――――ゼンブコロサナキャ、マタウバワレル



――――マタ



「――――殺される」


「殺されない」


小鬼の呟きを関羽は即座に否定し、更に強く抱きしめた。


「白装束の者達は、もういない」


「もう……いない?」


「ああ。ここにいるのは、朔の家族と仲間だけだ」


だから、と彼女は続け、




「朔を怖がらせる者は、もういない」




安心しなさい、と小鬼――――劉焔の頭を優しく撫でた。


「もう、いない……」


そう繰り返し呟くと、力の奔流は止まった。それに続くように全身の力が抜け、劉焔の視界はぼやけていった。


脱力感は徐々に強くなり、意識も遠退いていく。


気を失う寸前に見た関羽が、何故か知らない筈の誰かにダブって見えた。








「奴らは何者なのでしょうか」


そう呟いたのは関羽だった。彼女の腕の中では、劉焔が死んだように眠っている。


白装束の一団。


正体は知れず、目的は北郷一刀と劉焔翔刃の抹殺。


世界を救う為、世界を破壊する悪を誅する。


正義を掲げる彼らに、迷いは無かった。


一刀には天の御遣いの噂は出ていても、名声目当てに悪と評するにしても噂や声に関しては極僅かだ。


劉焔も噂を流し、鬼と自他共に称しているが、活躍し始めた期間が昔という程過去の事ではない為に、一刀や劉備程に有名ではない筈だ。


平原での善政を行う天の御遣いに、民を守る戦鬼。


そんな彼らの極僅かな少数派の者達の中に、白装束の一団程に迷いなく悪と評して襲撃してきた者はいなかった。


その理由は、于吉が言っていた。


(俺が《北郷一刀》だから、か)


実際の歴史にはいない、《天の御遣い》という存在。そして、《賊狩りの戦鬼》。


そして、一刀はふと気付いてしまった。


(朔が狙われるのは、俺のせい……?)


もし、あの森で出会わなければ。


もし、劉焔翔刃という名前をあげなければ。


もし、鬼と称して表舞台に立たせなければ。


あんな連中に狙われなかったんじゃないのかと、そう思ってしまった。


そんな時、一刀は袖をくいと引かれた。


見れば、周倉が顔を俯かせて袖の端を掴んでいた。何を言いたいのか、すぐに解った。


「あの……朔ちゃんの事」


「大丈夫。怖がったりとか嫌いになったりしないよ」


「本当っすか?」


「ああ。……けど、やりきれない」


「やりきれない?」


「俺は朔の家族になって、あいつの居場所になってやりたかった」


けれど、それは自身の問題に巻き込んだだけだったのかもしれない。


「…………俺は朔の親になるべきじゃなかったのかな」


「それは違うっす」


一刀が吐いた弱音を周倉は一蹴する。


「この“世界”で朔ちゃんのお父さんになれるのは、おじ様しかいないっす。

 天の御遣いなんて関係ない。おじ様が《北郷一刀》だからこそ、朔ちゃんの家族になれたんすよ」


「《北郷一刀》だから?」


確認するように聞いてきた一刀に、周倉は力強く頷く。


朔ちゃんのお姉ちゃんが言うんだから間違いないっす、とまで断言してみせた。


その言葉に陰りが無いように、彼女の眼に同情の色も憐れみも無い。


本当にそう思ってくれている。


「ありがとうな、旭」


感謝を込めて一刀は周倉の頭を撫で、周倉は照れながらも嬉しそうに笑った。


悩むのは後だ。


まずは、あの素直じゃない息子に誇ってもらえるような父親になろう。


一刀は強く決意した。








とある場所で3人の女性が茫然と立ち尽くしていた。


その3人とは、董卓と賈駆。そして、護衛役の華雄である。


「嘘、でしょ……」


「詠ちゃん……」


自身の眼を疑う賈駆の呟きに、董卓は不安げに彼女の手を握る。


華雄も眼を細め、沈黙を続けていた。


彼女らの前にあるのは、一体の亡きがら。確かめなければならない事があり、墓を掘り起こしたのだ。


亡きがらはそこそこに腐食し始めていたが、その生前の人相が判別つく程度には変わっていなかった。


いや、正確に言えば、変わっていた。


「……誰なのよ、コイツは」


既知の人物が、未知の人物へと。


眼の前にあるのは、張譲の遺体の筈だ。現に、周倉の必殺のあとがある。


けれど、彼女らは彼を知らない。


自分達が知っている張譲は、こんな男じゃなかった。


知っているのは、于吉と名乗ったあの男の姿だ。


「…………どうなってんのよ」


誰に問い掛けるでもなく、零れた疑問。


その疑問に答えられる者など、その場にいる筈もなかった。

お疲れ様です。


今回の話は、前回の話で載せきれないと判断した部分とその追記での構成です。なのに時間がかかった理由は、今回のラストのあたりが気に入らず、ずっと書き直していました。


サブタイトル通り、朔の本当の意味での暴走。あとは、旭と朔の伏線関連をぼやかしぼやかしで・・・・・・要はかなり面倒だったのです。



次回は、幕間を予定しています。ちょっとあの人を出そうかと画策中です。



感想お待ちしています。



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