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真・恋姫†無双 〜羅刹戦記〜  作者: エアリアル
第参章 鬼と戦  反董卓連合編
19/37

鬼と連合7  ~シ水関攻略戦②~

お久しぶりです。


今回は戦闘ばっかりです。


しかも、グダクダです。ホントすいません。

「お前、どうやって此処に!?」


張遼は声を荒げ、劉焔に問い質す。


此処は城壁の上だ。門は破られておらず、ましてや既に潜り込んでいたのだとしても、彼のいる位置はおかしかった。


劉焔は城壁の(ふち)に立っている。正面は張遼達に、連合軍を背にするように。


「どうやって? 跳んできたんだよ、下から」


何でもない事のように劉焔は張遼の問いに答えた。


「アホぬかすな! 下から此処までどんくらいの高さがあると思ってんねん!」


「嘘は言ってない。まあ、ちょっと大変だったけど」










時を少し戻そう。


劉焔が挑発に参加しようとすると、趙雲にお姉さん風を吹くようにされた張飛が立ちはだかった。


「鈴々、僕も挑発に参加しようかと……」


「ダメ」


「でもさ……」


「ダメったらダメなのだ。鈴々だって、先陣に立ちたいのに」


「…………ならさ」


劉焔は口角を片方だけ吊り上げ、


「鈴々、一緒に先陣に行かない?」


「にゃ?」


張飛を誘ってみた。


先陣に、という言葉に張飛はピクリと反応する。それに、彼はもう片方の口角も吊り上げた。


「愛紗と星、それに孫策が挑発しても出て来ない。これじゃ、よろしくないよね?」


「そうだけど、二人とも先陣に出たらお兄ちゃんとお姉ちゃんを守れないのだ。

 それにそんな事したら、愛紗に………」


「確かにあれは怖いね……」


関羽の折檻を想像したか、張飛は顔を青くする。その恐怖には鬼も太刀打ちできないので、仕方ないだろう。


「愛紗の折檻は………………この際考えない」


「凄い間が空いたのだ」


「そこ、ツッコまないで。

 僕としては作戦を成功させる――――引いては、雛里の望む状況をつくるって約束を破る気は無いんだ」


「鈴々も……鈴々だって雛里の力になりたいのだ」


「だから、挑発に参加したいんだ。周倉が華雄を抑えているかもしれない以上、あいつをなんとかしなきゃいけないんだ」


それにさ、と劉焔は続け、


「弟の頼みを聞いてくれるのも、お姉ちゃんなんじゃないかな?」


劉焔の言い分に、張飛はぐっ、と狼狽えた。


確かに、姉である劉備と関羽は何かと妹である自分の世話を焼いてくれ、何だかんだと言って我が儘も聞いてくれる事が多い。


そして、今は自分が姉だ。


(いさ)めるべきか、聞いてあげるべきか。


「うぅ…………解ったのだ。鈴々も行く」


迷いに迷った結果、聞いてあげる事にした。


「ありがと」


内心で勝った、と勝ち誇りながら、劉焔は張飛に耳打ちする。


その内容に張飛は一瞬驚くが、次の瞬間には眼を輝かせた。


「なんだか、面白そうなのだ」


「気に入ってくれたなら重畳。それじゃ、燕人張飛と戦鬼が董卓軍を驚かせてやろう」


互いに顔を見合わせ、ニヤリと笑う。


子供が二人、まるで今から悪戯をするような意地の悪い笑みを浮かべて。








劉焔と張飛は先陣を突き抜けるように走っていた。


「いい? 機会は一度だけ。一発で決めるよ」


「大丈夫。鈴々に任せるのだ!」


やる気十分な張飛は答えながら、更に走る速度を上げる。


劉焔もそれに合わせるように速度を上げた。そして、しばらくすると先陣の中の先陣にいる関羽と趙雲の姿が見えた。


初め、首を傾げていた彼女らだが、足を止める様子もなく赤毛チビコンビが突っ込んでくるのに顔を引き攣らせた。


「鈴々!」


劉焔は張飛に呼び掛けると同時に彼女を抱え、地面を踏み抜くように跳ぶ。


その高さは関羽と趙雲の頭上を軽々と越し、誰をも唖然とさせた。着地の衝撃を上手く殺し、赤毛チビコンビはまた走り出す。その後ろで関羽が叫んでいるが、今は無視した。


そして、シ水関の門の前まで来ると、


「鈴々、頼んだ」


「にゃー。行っくよーー!!」


劉焔は軽く上に跳び、張飛はその彼に向かって思い切り蛇矛を振り上げた。


「うぅりゃああああ!!」


振りぬかれた蛇矛の“刃の腹”は真っ直ぐ劉焔の足の裏を捉らえ、十二分に込められた燕人張飛の剛力を以て彼を高々と打ち上げた。


風を切る感覚が体に巻き付き、その音が劉焔の耳に流れてくる。それに心地良さを感じながら、張飛の剛力に感心していた。


走ってきた勢いも無駄にする事なく、蛇矛に込めていたのは英傑の成せる力量の証明なのかもしれない。


(って言っても、やっぱ届かないか)


跳ぶ勢いが落ちてきた事に気づき、劉焔は独り言ちる。


まだ城壁の上までは高さがある。このままでは城壁に激突し、落下して見事に墜落死。


ここまでしといて墜落死はアホくさい。劉焔はそう思いながら、腰の干将の柄を掴んだ。


「ま、後は僕の工夫次第でしょ」


一瞬で干将を抜き放つと同時に、城壁に向かって投擲する。


深々と干将が刺さった位置は、劉焔が城壁にぶつかるだろう位置だ。


「よっと」


干将の柄を足場代わりにし、劉焔は跳躍。


それを以て城壁の最上部への“届かなった”高さを、“届く”高さへと変えた。


辿り着いた城壁で見た光景は、飛び出そうとしている華雄を張遼と周倉が押さえ付けているという予想通りの光景だった。


「へぇ。中々出て来ないと思ったら、猪の首輪は大した優れ物だね」


自然と劉焔の口からそんな言葉が零れ、シ水関の守将達は彼の姿を見て一様に驚いた。


そんな彼女達を見ながら、劉焔は残る莫耶を鞘から抜いてその刃先を向ける。


「喰らいに来たよ、その命をね」








そして、現在に至る。


混乱するなら存分にしてもらおうと、劉焔は上に跳んできた方法を張遼達に教えたりなどしない。


「さて、わざわざやってきたんだ。最低でも一人くらいは命を食らわせてもらう」


威圧し、張遼達の方向へと一歩踏み出す。それに反応し、張遼は自身の得物である飛龍偃月刀を構え、


「小鬼ぃいいいい!」


「なっ!? 華雄!」


金剛爆斧を手に突撃する華雄の姿を見る。


振り下ろされた戦斧はけたたましい音を発て、城壁の縁を破砕した。


そこに劉焔の姿はなく、


「遅いよ」


彼はいつの間にか華雄の背後を取り、逆手に持った莫耶の刃を彼女の首筋に当てていた。


(なんや、今のは!?)


張遼は劉焔の回避から反撃まで完全に見る事が出来なかった。


初動の瞬間など、消えたようにしか見えなかった。


“神速”と謳われた自分は、彼の前では贋物にまで(おとしめ)られた気さえする。


届くのか?


彼に自分の一太刀は届くのだろうか?


いや、届く。届く筈だ。


だが、戦鬼はこちらを見てすらいない。周倉だけしか見ていない。見る気がない。


相手にすらしないと言うのか?


焦燥と不安がごちゃまぜになる。


「ちぃっ……」


「シー」


歯噛みする張遼に、周倉は穏やかな声で話し掛ける。


「な〜んかごちゃごちゃ考えちゃってるみたいっすけど、無駄な事は考えない事っす」


「無駄やと?」


「そっす。敵が目の前にいる。仲間が人質に取られた。なら、やる事なんて決まってるんすよ」


周倉は突撃槍(ランス)である羲和(ぎわ)を突き出すように低く構えた。


「敵を討ち、仲間を救出。ただ、それだけ」


言い終えるや否や、周倉の姿が消える。


同時に、劉焔の姿も消えた。


「…………え?」


思わず零れた声は、張遼か華雄か。本人にすら解らない。


いや、どちらでもいい。


どっちにしろ、この状況に対する感慨は同じだ。


二人が消えた瞬間、床が爆ぜた。


鋼のぶつかる音がした。


城壁の縁が爆ぜた。


また鋼のぶつかる音がした。


それが幾度も続き、城壁の上はたちまちボロボロになった。


ザザッと床を滑る音が二つ。ちょうど相対するように鳴った。


「相変わらず、速いっすねぇ」


からからと笑いながら、周倉は羲和を一振りする。


「昔の人は言いました。

 男子三日会わざれば刮目して見よ。

 いやぁ、よく言ったもんすねぇ。小鬼ちゃんがおっきくなってて、お姉ちゃん嬉しいなぁ」


心からそう思っているのか、彼女の笑みはより彩りを増していく。


だが、


「あっそ。言いたい事はそれだけ?」


「――――えっ」


小鬼は彼女の笑みを凍り付かせる。


鬼の双眸で彼女を見つめながら、劉焔は莫耶を両手で持って腰溜に構えた。


「!? やばっ!?」


周倉は劉焔の攻撃を感じ取り、羲和を縦に構えた瞬間、彼女の体が浮いた。


「っ!? きゃああああ!?」


劉焔の横薙ぎの一撃。


普段片手で振るっていたそれにならば、彼女も耐えられただろう。


だが、両手――都合、倍の力で振るわれた一撃は周倉を吹き飛ばし、床に叩きつけた。


「ぐ……いったぁ。何すんすかぁ!」


「そんな解りきった事、聞かないでよ。

 僕は天の御遣いを守護する戦鬼だ。お前が主上に仇なすなら――――」


「――――お姉ちゃんの命を喰らうまで、っすね?」


周倉の言葉に劉焔は頷き返す。


旧知の弟弟子に討つと宣告されたのが堪えたのか、周倉は俯き苦笑した。


(やっぱり、この子に言われるときついなぁ)


涙が込み上げて来そうになるのを必死に堪え、彼女は羲和を強く握り締めた。


「小鬼ちゃんがその気なら、お姉ちゃんはお姉ちゃんの義のままに武を振るうっす」


羲和を構え直した彼女の顔は、劉焔が知る“正義”を信念とした戦鬼のものに代わった。


(相変わらずだなぁ)


それに懐かしさを感じながらも、劉焔はまた両手持ちで莫耶を正眼に構えた。


「征くよ」


「どんと来〜〜い!!」


間の抜けたような返答する周倉に、劉焔は力強く斬り込む。


ぶつかり合う莫耶と羲和。


互いの得物の衝突、そして鎬を削り合う音が拮抗の激しさを知らしめる。引く事など考えず、行わず、そのまま押し切るように、鬼二匹は更に踏み込むように足に力を込めた。


その結果、


「!? くそ!」


「!? にょわ!?」


城壁の床が砕け、劉焔と周倉はシ水関の外へと放り出されるように落下してしまった。


劉焔と周倉の幾度の激突により脆くなった床が二人の拮抗に耐えられなかったのだ。


「旭!!」


張遼が駆け出して手を伸ばすも、周倉の手には届かず、空を掴む。


「くそ!!」


「張遼! 旭を助けに行くぞ!! 文句無かろう!?」


「ある訳あるか!! あの莫迦が城壁から落ちて死ぬような奴やない」


間に合わなかった事に苛立ちながら、張遼は華雄と共に兵をまとめに駆け出した。








「けほっけほっ……あー、酷い目に遭った」


体に着いた(ほこり)を叩き落とし、劉焔は半眼で独り言ちた。


城壁から放り出された際、壁に莫耶を突き刺し落ちるようにして落下スピードを減速させた。


「また一段と無茶しちゃたなぁ。……っと、あったあった」


瓦礫(がれき)を除け、埋もれてしまった干将を見つけた。そして、そのまま一振りして、飛んできた矢を斬った。


目を向ければ、董卓軍兵が次の矢を(つが)えていた。


「動いたか…………華雄はもちろん張遼も来るな」


次々と放たれる矢を双剣で落としながら、関羽達がいる先陣まで退がる。


その間も感覚を研ぎ澄まし、周倉の気配を探した。自分が生きているのに彼女が死ぬ筈がないと、劉焔は確信している。


そして、関羽の折檻が待っていることも。


「………………逃げようかな」


「ほぅ。どこにだ?」


「冗談ですよ…………?」


いつの間にか先陣まで戻って来ていたらしい。


目の前に青龍偃月刀を持った閻魔様が出現。背中に冷たいものが流れた。


あはは……とごまかすように笑うと、関羽の冷たい視線が突き刺さる。


「ごめんなさい」


もう頭を下げて謝るしかなかった。


「まず、謝るとは殊勝なことだ。だが、勝手な行動をとった件は後でじっっっっっくりとお説教だ」


「はい…………」


青龍刀の冷たさを首に感じながら、劉焔は肩を落としながら、ただただ頷くしかなかった。


「うぅ……それじゃ、後は愛紗達に任せたよ」


「朔」


「何さ?」


周倉を食い止めに行こうとした劉焔は振り向く。兜で解りにくいが、顔にはお小言続行ですか? と表れていた。


「よく華雄を誘い出した。偉いな」


だが、関羽の口から発せられたのは、予想に反して彼を褒める言葉。


ぽかん、とする劉焔を置いて、関羽は指揮をしに戻っていった。








「うむ。愛紗も子を育てる事の秘訣が解ってきたようだな」


「星……」


関羽はいつの間にか近くにいた趙雲に軽く頭を抱えた。


先の劉焔に彼女がやったように、今度は関羽が趙雲にやられる番だったらしい。


「で、秘訣とは何の事だ?」


いつもだったら適当に流すところだったが、今回は気になる事を言っていたので付き合う事にする関羽。


「躾云々もあるだろうが、子は怒られてばかりではやる気が減るばかりだ。

 褒めるべきところは褒める。これこそ肝要なのだ。褒められる喜びを知れば、また褒めてほしいと次も頑張るだろう」


「まあ、それは理解できるが」


「何よりも愛紗よ、照れる朔を見たくは無いか?」


「っ!!」


「あ奴は褒められ慣れてない。褒めれば褒める程照れに照れ、最後はお主に隠れるように抱き着く」


どうだ? と聞いてくる趙雲。関羽にしてもあの状態の朔に癒されているので、


「それは……佳いな……」


うっとりしたような表情を浮かべて同意した。


そして、


「あの〜、関将軍、趙将軍。指示を頂きたいのですが……」


そこに兵の一人が及び腰で聞いてきた。


何故及び腰なのかは言うまでもなく、戦場でうっとりしている人がいたら、普通に怖い。


そんな彼の後ろでは、敬意を表するように小さく拍手が鳴り響いていたりする。


「ん? ああ、すまん。この悩める若母に子育てについて一つ説いてしまった」


「そ、そうでしたか。何と言いましょうか……その、頑張ってください」


からかう趙雲に、よく解っていないまま応援する兵。



何? この状況。



内心でそう関羽はつっこんだ。


「すまない。すぐに軍を動かす。準備は出来ているな?」


「はっ。既に完了しております」


ならば善し、と頷く関羽に、趙雲は違った意味で頷く。


「遂に母である事を自認したか」


「莫迦な事を言ってないで行くぞ。朔が掴み取ったこの機を不意にしたくない」


「そうだな。子にばかり活躍されては、親の面目がないものな」


「言っていろ。…………では、子龍殿。私の背中、お主に預ける」


「我が背中も同様だ、雲長殿。……では、参ろうか」


微かに笑み、関羽と趙雲は己が得物を握り、劉備軍の兵達に檄を飛ばす。


「……聞け! 勇敢なる兵士達よ!」


「いよいよ戦いの鐘が鳴る! この戦いこそ、圧政に苦しむ庶人を解放する、義の戦い!」


「恐れるな! 勇気を示せ! 皆の心にある思い、皆が持つ力……その全てを振り絞り、勝利の栄光を勝ち取る為に!」


「我らに勝利を!!」


『勝利を!!』


「我らに栄光を!!」


『栄光を!!』


「全軍、抜刀せよ!」


「位置につけ!」


関羽と趙雲の代わり代わり飛ばす激に、劉備軍の士気は一様に跳ね上がるように高まる。


締めの言葉を発する為に関羽と趙雲はすぅっ、と息を吸い、一段と大きく声を張り上げた。



「「皆の命、私が預かる!!」」








劉備軍と董卓軍が激突した時、黒い影が戦場を駆けていた。


影は自身の対とも言える白銀の閃きを放ち、劉備軍を薙ぎ払うように蹴散らしていく。


影――周倉は視線を至る所に飛ばし、弟弟子である戦鬼の姿を探していた。


自身の最優先事項は、劉焔の相手をして自軍の被害を抑える事だ。


それでも、目の前の、俗に言う同じ釜の飯を食べた董卓軍の兵士の倒れる姿を、彼女は見たくなかった。


「あああああっ!!」


だから、叫ぶ。四肢に力を込め、大砲の弾丸となって劉備軍兵を羲和で次々と貫いていく。


「次ぃいいい!」


もう一度叫び、弾丸と化そうした瞬間、周倉は視界の端に血の色ではない赤を捉えた。踏み出そうとする足に急制動をかけ、目に映った赤を探す。


一瞬、劉焔のあの目立つ緋髪かと思ったが、


「うっわ、かなり人違いっす!! 最悪!!」


「何だか解らないけど、いきなり随分と落胆してくれるわね」


見つけた赤の持ち主は女性だった。彼女は手に持つ剣――南海覇王をゆらゆらと揺らしながら、困ったように笑った。


「貴女、強いのね。中々やるじゃない」


「あは〜。どうすかねぇ?」


「謙遜する事ないわよ。私は呉の孫策。名前は?」


「周倉っすよ。義により董卓ちゃんに味方して、ボンッキュッボンな孫策お姉さんの敵をしてるっす」


イェーイ! と羲和を振り上げる周倉。


何がイェーイ! なのか理解出来ない孫策は首を傾げるしかなかった。


「取り敢えず、敵同士が出会ったのなら、解るでしょ?」


「そうっすね。んじゃ、やりますか。()くもメンドい殺し合いを」


言い終えるや否や、周倉は文字通り姿を消す。


それに孫策は驚くが、すぐに南海覇王を振り向き様に自身の背後に繰り出した。


そして、剣は忠実に周倉の攻撃を弾いてみせた。


「ありゃ? 防がれた」


周倉が驚くのも当然の事。彼女からすれば、全力でないものの劉焔以外には防げないくらいの不意を打ったつもりだったのだ。


おまけの鋭い蹴りを避け、後ろに跳んで距離を取る。


「孫策お姉さん、私の動き見えてたんすか?」


「貴女の動きなら見えなかったわよ」


「うへぇ。じゃあ、勘で防いだとか?」


「そうよ、乙女の勘」


「そうっすかぁ。あははは…………やってらんなーーーい!!」


突如叫びながら、周倉はガンガンと羲和を地面に叩きつけ始めた。


「何すか何なんすか!? 色っぽくて、綺麗で、ボンッキュッボンでスタイル良くて! 武も凄くて! 天は二物を与えないんじゃないんすかああああ!!」


「あ、あの、ちょっと……」


「しかも孫策って言ったら、呉の王様じゃないっすか! あれ、3つじゃんか! ちょっと! どんだけだ、こんちくしょう!!」


「お、お〜い、周倉ちゃ〜〜ん?」


「何っすか!? ボンッキュッボンめ!!」


八つ当たりがエスカレートしている周倉は、フカーーッと威嚇する。


いきなりの豹変ぶりに戦わなければ――もとい、関わらなきゃ良かった思い出す孫策。


「何に対して怒ってるか解らないけど」


「世の理不尽!!」


「はいはい。解ったから、こっちをビシッと指差さないでね」


少し遠い目をしだした孫策は、南海覇王の剣先を周倉に向ける。


「まだ一合しか撃ち合ってないわよ? 続きは本気を出してもらいましょうか」


「…………はぁ。ホント、世は理不尽っすね。一合で普通見抜くもんすかね」


仕方ない、と周倉は突撃槍である羲和を突き出すようにして低く構えた。


その構えに合わせるように、彼女の手足にはめているリングが淡く光り出す。


そのリングの輝きに、孫策の天性の勘はえも言われぬ警告を発した。


「行くっすよ。鬼の閃光、その身に刻んじゃうっす」


周倉は軽く一歩踏み出す。そして、また姿を消した。


(――――また後ろ!!)


勘が伝える周倉の位置に、孫策は南海覇王を横に薙ぐように振りぬく。だが、今度は空を切るに終わった。


「惜しい。下っすよ」


「っ! あぐっ!!」


周倉は肩から体当たりし、孫策の体勢を崩す。続け、突撃槍を横薙ぎに振り抜き、孫策の体に打ち込んだ。それを孫策は突撃槍と体の間に南海覇王を挟むようにして防ぐが、周倉も鬼を自称している。


「うぅりゃああああ!」


見掛けに反した剛力を持つ彼女は、その防御を無視してみせた。


孫策は防いだ体勢のまま、優に10mは飛ばされた。


「くぅうう……驚いた。なんて力してるのよ、防いだのに手がかなりジンジンするじゃない」


「ってか、防いだ上に着地成功してる孫策お姉さんにビックリっすよ」


「そう? じゃ、次は完璧に防いで、貴女に一太刀入れてあげる」


「あは〜。それは無理っすよ。なんせ―――」


「―――っ!?」


「お姉さんの反応不可能な速度は判っちゃったんで」


明るく言う周倉だが、その手に持つ羲和の石突が孫策の腹に打ち込まれていた。


いつ間合いを詰められたのか、孫策は全く解らなかった。周倉の口ぶりから、勘が働くよりも速く動いて見せたのだろうが。


(いくらなんでも速過ぎでしょ!!)


反撃しようと南海覇王を振り下ろすが、また空を切り、逆に肘を脇腹に打ち込まれていた。


「ほらほら、生きたいならもっと足掻(あが)くっすよ」


孫策の腕に、足に、腹に、肩に衝撃が走る度に激痛もそれに付随する。


救いなのは、周倉は間合いを詰めて以降、拳で孫策の体を打ちのめしている事か。それに手加減をされているのかは解らないが、一発一発の威力はどれも致命傷を齎すものではなかった。


そんな中、孫策の頭にふと疑問がよぎった。


(槍を使わないってどういう事? とういうか、槍はどこに?)


拳を当てられるなら、勝手は違うだろうが槍でも当てられるのではないだろうか?


そう考えるが、勘は何も知らせてくれない。


(…………賭けてみましょうか)


痛む足になけなしの力を集め、孫策は地面を蹴って後ろに跳んだ。


一瞬だけだったが、拳を空振った周倉が目を大きく見開いたのが見えた。


着地と同時に、ズガァアアン!という轟音を轟かせ、白銀の閃光が地を突いた。


羲和が突き刺さった位置は、孫策が元いた位置。


あのまま拳打を受け続けていれば、上空から落下する羲和が孫策を脳天から串刺しにしていただろう。


「むむ、避けられちったすね。気付いてたんすか?」


軽い口ぶりで聞きながら、周倉は突き刺さった羲和を抜き取る。


「気付いてないわよ。まさか、とは思ったけど、本当に槍が降ってくるなんて思わないでしょ、普通。

 どれだけ上に投げたのよ? って感じかな」


「あは〜。実は私も上げすぎて困っちゃいまして、仕方なく予定より長く拳で語ってたんすよ」


でもまあ、と周倉は続け、


「これで終幕。ジ・エンドっす」


羲和の穂先を孫策に突き付けた。


だが、孫策は死に恐怖するでもなく、口許を緩ませる。それどころか、南海覇王を鞘に納めてしまった。


「何の真似っすか?」


「何の真似も何も、見ての通りよ」


孫策は何でもない事のように抵抗を完全に止めてみせた。


「この孫伯符の頸、早くしないと取れなくなるわよ?」


ほらほら、と急かしてまでみせる孫策に周倉は困惑する。


考えが読めない。


諦めた末の潔さにしては、彼女の眼に見える生の彩りが鮮やか過ぎる。


なら、諦めておらず、止めを刺す瞬間に一矢報いる気なのか。


(いや、違うっすね。あれは、自分は死なないって確信してる眼だし)


何が自身の生をそこまで確信させるのだろうか。興味が惹かれるが、周倉はそれを押さえ付けるように自粛した。


「ねえ、貴女には見える? 私に浮かぶ死相」


突然の孫策の話の切り出しに、周倉は面食らった。だが、そんな事を気にせずに孫策は続ける。


「私ね、死期が近付いてるらしいの。だから、死相が色濃く出てるんですって」


「…………確かにぼんやりとっすけど、死相が見えるっすね」


「へぇ、貴女も見えるのね。

 それでね、死期はいつかって聞いたら、この戦いじゃ死なないそうなのよね」


にんまりと孫策は笑みを浮かべ、


「あの小生意気で可愛いらしい“小鬼”が言うにはね」


「小鬼!? しまっ―――――」






「――――――ま、そういう事だよ」






周倉が好機を逃したのを悟った瞬間、彼女の動きを制止するように黒と白の双剣が足元に突き刺さる。


「っ!」


「驚き過ぎ。相も変わらず、気配探知が下手だね」


幼い子供の声がし、孫策の後ろから小鬼はすっと姿を現した。


彼の表情は、どこか面倒くさげで、どこか苛立たしげで、どこか呆れていた。


「やっぱり来てくれた」


「なんでそんな嬉しそうなのさ? あと、ちょろちょろ動かないでよ。お守りを探して連れて来るのに手間取ったじゃんか」


どこか嬉しげな孫策をジト目で見る劉焔は彼女のお守りを指さす。

その先には、走り寄る甘寧と周泰の姿があった。


「雪蓮様、ご無事ですか!」


「なんとかね。思春、明命、心配かけたわね」


「雪蓮様、本当に良かったです〜」


孫策の答えに、甘寧は微かに表情を和らげ、周泰は安心したからか涙目になっていた。


「水を差すようで悪いんだけど、早く孫策を連れて退がってくれないかな?」


「小鬼……すまない」


「謝らないでよ。僕は僕の都合で動いてるんだ。ほら、さっさと行った行った」


手を振って孫策達を促す劉焔。それに従って離れようとし、


「小鬼く――ううん、翔刃!」


「ん、何さ?」


「負けたら、許さないから」


綺麗な笑みを浮かべて言い残し、孫策は今度こそ退がっていった。


そんな言葉を受けた劉焔はぽりぽりと頬を掻き、


「ま、そういう事だそうだから。とっとと勝たせてもらうよ」


「いきなり勝利宣言。カックイー事言うじゃないっすか。

 でも、勝つのは“義”を胸に持つ者。つまり、私っすよ」


「なんだ、まだそんな戯言ほざいてたのか」


「!? 戯…言……“義”を胸に持つ事が戯言だって言うんすか!!」


自分の信念を貶され、周倉は怒りを露わにする。


彼女にとって、それを否定や貶される事は自身の人生を、延いては憧れの“あの人達”を否定や貶される事と同義だった。


何より、この小鬼――劉焔翔刃という一人の少年にだけはしてほしくなく、させたくなかった。


「取り消しなさい」


「ああ、嫌だ」


「くっ……取り消せ!!」


叫びながら周倉は突撃するように劉焔に羲和を繰り出す。それを劉焔は跳躍し、彼女の肩を足場代わりにして飛び越えた。


「避けるな!」


「莫迦言わないでよ。死ぬ気なんてないんだからさ」


「なら、取り消せ! それなら、戦えないようにだけして、命までは奪らない」


「はぁ……取り消しもしないし、負けるつもりもないんだってば」


劉焔は地に刺さった双剣を引き抜く。そして半眼で周倉を見遣り、


「ま、お前が僕に勝てたら取り消すよ。勝たせないけど」


「…………ホントっすね?」


周倉の確認に、劉焔は頷き双剣を構える。


「んじゃ、喰い殺してやる」


「鬼の閃光、その身に刻んじゃうっす」


軽い口調で言い合う二匹の鬼。


次の瞬間には、文字通りの激突。


突き上げた羲和と、振り下ろした干将が甲高い激突音を鳴り響かせる。


劉焔は続け様に莫耶を繰り出すが、周倉は冷静に見切り、莫耶の刃のない腹を蹴る事で空を切らせた。


「せいっ!」


呼気を短く吐き、莫耶を蹴った足でもう一度蹴りを放つ。周倉の蹴りは劉焔の左肩に当たり、彼の顔を歪ませた。


「いったいな!」


劉焔とて只ではくらわない。衝撃を後ろへ逃がすように体を反らしてダメージを減らすと、バック転の要領で周倉の足を蹴りあげた。


そのまま一回転して着地すると、周倉も同じようにしてダメージを減らし同時に着地していた。


「しっびれる〜〜。もう許さないっす!」


(はな)から許してもらう気も無い!」


周倉の振り下ろしの斬撃を、双剣を交差させて受け止める劉焔。途端、下から羲和の石突が跳ね上がってきた。


周倉は受け止められた瞬間に羲和の持ち方を変え、衝突の反動を利用して劉焔の顎を砕こうしたのだ。


辛くも顔を反らしてそれを避けた劉焔だが、まだ周倉の連撃は続く。


上段蹴り、上段後ろ回し蹴りと続き、そして、


「飛んでけぇえーー! 必殺の葬無乱ホームラン!!」


「ぐっ……ああああ!」


蹴りを何とか避けたものの、最後のふざけた名前の一撃は避けられなかった。


2発の蹴りで作った回転の勢いを余す事なく込めた剛速の一撃は、劉焔の小さな体で受け止めるには酷だった。


双剣で防いでも体が一撃の重さに耐えられず、劉焔は宙を舞い、地面に叩きつけられた。


「おやおや〜? 今度はお姉ちゃんが優勢っすね」


にまにまと笑い出す周倉に、劉焔は素直に腹が立った。


「あんまり調子に乗らないでほしいね」


「調子には乗ってないっすよ。優勢な状況が嬉しいだけっす」


それに、と周倉は続け、



「調子に乗るのは、相手を生き返らなくなるまで殺したらっす」



笑みを消して羲和を構える。


瞬間、劉焔は背筋にゾクリとしたものが流れた。立ち上がり、双剣を構え直すと、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。


周倉のリングの輝きがより一層強くなり、羲和の穂先の辺りの空気が揺らめきだした。


「!? やばい!!」


「遅いっす! 紅蓮衝!!」


突き出される羲和。その穂先から炎が生まれ、劉焔を飲み込もうと一直線に走った。


「でぇええい!!」


劉焔はその炎に対してではなく、地面に向かって双剣を振り下ろす。双剣で地面を砕くと、生じた大量の土砂で即席の壁を作ってギリギリ焼死を避けたのだった。


「ぺっ、ぺっ。うにゃ……砂食べちゃったよ」


焼け砂塗れになってしまったが。


「まだじゃりじゃりひゅる……ぺっ」


「お姉ちゃんの紅蓮衝を砂の壁で防ぐなんて……」


「ぺっ……今のはとっておきの一撃なのさ? だとしたら、残念だったね」


感慨もなく素っ気なく言う劉焔だが、内心ほっとしていた。


(内力系だけじゃなく、外力系も使えるようになってたんだ…………愛紗とかが相手してたら、今ので殺されてかも)


大切な仲間に死なれるのは嫌だ。


まだ、この戦いには先がある。


(仕方ない……殺るしかない)


失わない為に、失おう。


「旭」


劉焔が真名を呼ぶと、茫然としていた周倉は肩をビクリと震わせた。


「お姉ちゃんの真名、覚えててくれたんだ………」


「忘れはしないよ。一緒に暮らした仲だし」


「そっか……」


「……次で決めるから」


「うん……」


周倉は頷いて羲和を構え、リングがまた強く輝き出す。


劉焔は何故か双剣を鞘に納めて徒手空拳で構える。


それに周倉は目を細めるが、疑問を口にはしなかった。


互いに無言になり、無心になる。





――――――遠くで、鋼の砕ける音がした。





「ああああ!! 紅蓮衝ぉおおお!!」


放たれる火炎。先のよりも遥かに出力の大きなこの一撃は、即席の土砂の壁程度では防ぎようがないだろう。


だというのに、劉焔は真っ向から火炎に飛び込むように走り出した。


火炎はあっさりと彼を飲み込み、


「残念賞だね」


突き抜けられた。


火炎を突っ切った劉焔は、技後硬直中の周倉の腹に拳を撃ち込んだ。


「……嘘」


そう零しながら、周倉は崩れ落ちた。


それを見届けた劉焔は空を仰いで、溜息を一つ吐く。


「ああ……しんどい……」








孫策と周倉が激突していた頃、華雄は自軍と連合軍の戦況に歯噛みしていた。


連合軍の先陣の劉備軍、そして協力する呉軍。


華雄は劉備軍、張遼は呉軍を相手にする二正面作戦を決行した。


華雄は彼らを寡兵と笑い、鎧袖一触とばかりに蹴散らそうとした。しかし、思いの外粘りに粘る。


こちらが距離を取った後に蜂矢の陣で突撃した際にも、絶妙なタイミングで後退。続く、先陣の後退を援護する一軍の矢によっても出足を挫かれた。


(旭も見つからんというのに、こ奴らのせいで!)


苛立ちが更なる苛立ちを呼び、敵意は油を注がれた火のように燃え上がる。


「このまま劉備軍を蹴散らす! 周倉を探すのはその後だ!」


蜂矢の陣での突撃を続行。


途中、劉備軍の後衛が進軍を抑えるが、それでもじわじわと押し込んで行く。


そして、次第に本陣に掲げられた金色の《袁》の牙門旗が見えた頃、華雄は先陣から本陣へと標的を変えた。


「敵を押し込み押し込み、そのまま本陣に突入した後は、連合の牙門旗に向かう! 狙うは大将の頸のみだ!

 全軍突撃ぃいいいーーー!」


華雄の号令が下り、華雄軍は唸り上げて本陣に突入。袁紹軍との戦闘を始めた。


連合軍の中で最多の兵数を誇る袁紹軍を、華雄軍は正に削るように押し込んでいく。


兵の拙速が肝要だと自覚し戦うが、勢いは上手く袁紹軍の中まで伝わりきらない。


そこに連合の他の諸候が横槍を入れ、更に勢いを殺して行く。


そして、駄目押しするかのように大量の劉備軍の旗が自軍の後方に現れ、混乱へと誘った。


「そんなもの陽動に決まっている! それぐらい見抜けんのか!」


さすがは良将にして猛将といったところか。直ぐ様に策と見抜くが、彼女一人が見抜けたところでどうしようもない。


多くの兵が劉備軍に気を取られ、指示系統は役に立たない程に乱れてしまった。


「全く……我が軍の質も落ちたものだ。このように無様な有様を曝すとは……」


華雄が落胆を口にした時、



「それは兵隊のたいしょーに責任があるのだ!」



それに答えるように声が聞こえた。


「誰だ!?」


「平原の相、劉備が一の家臣、張翼徳とは鈴々の事なのだ!!」


現れたのは、身の丈以上の蛇矛を構えた小さな少女は堂々と名乗りを上げた。


「劉備の家臣だと!? どうやってここまで!」


「んとねー、関羽と趙雲が華雄の部隊を引き付けてくれて、劉焔が駄目押しで道を広げて通り易くしてれたから、鈴々はここまでやってこれたのだ」


「何だと……! ここまで単騎で来たのか!」


「そういう事なのだ。さぁ、華雄のお姉ちゃん、鈴々と勝負するのだ!」


「ふん。ガキが、怪我をする前にこの場より――――……いいだろう、相手してやる」


小さな張飛を見て最初は鼻で笑う華雄だが、思うところがあるのか戦斧を構える。


「劉備軍の小鬼に苦汁を舐めさせられてな。その屈辱をお前にも味合わせてやる」


「にゃー……なんか、とばっちり受けてる気分になってきたのだ」


ここにいない劉焔をちょっと恨めしく思いながら、張飛も蛇矛を構えた。


「さぁ、かかってこい! ()っぱ!」


「鈴々はガキじゃないのだ!」


張飛は蛇矛を振り下ろし、切り込む。華雄はそれを見切り、避けてみせた。


その空を切った一撃は地を陥没させ、それを見せ付けられた華雄は大きく見開いた。


「なんと重い斬撃だ……だが、当たらなければ、どうという事はない!」


反撃の一撃を華雄は撃ち込み、張飛は危なげもなく蛇矛で受ける。


その一撃の重さに、張飛は心なしか口許をニヤつかせた。


「これが華雄の戦斧? 全っ然効かないのだ」


「……生意気な口を叩きおって!」


「生意気っていうのは、自分能力を(わきま)えない奴がデカイ口を叩く事なのだ。

 でも、鈴々は強いから生意気じゃないのだ! その証拠を見せてやるのだ!」


「ならば、来い! 返す刀でその素っ首叩き落としてくれる!」


「やれるものなら、やってみろなのだ!

 身の丈八尺の丈八蛇矛、簡単に受け止められると思うななのだ!」


張飛は蛇矛を振り上げ、


「いっくぞぉー! てぇえええ〜〜〜い!」


先のものよりも格上の斬撃を繰り出す。


蛇矛の斬撃を宣言通り受けて見せるが、華雄の顔はありありと苦しげなものに変わった。


張飛は反撃の余地も与えず、続けて攻撃する。受け止める華雄はどんどん後ろへと後退るように追いやられていく。


そして、





――――――鋼の砕ける音が辺りに鳴り響いた。





「なっ!? 私の金剛爆斧が!?」


「これで……最後だぁーーー!」


張飛の止めの一撃は、得物を失った華雄を捉え、切り裂いた。


血を流し倒れた華雄が動かなくなるのを見て、張飛は声を張り上げて鬨の声を上げる。




「シ水関の猛将、華雄。劉備が一の家臣、張翼徳が討ち取ったのだー!」



 

また文量が増えてました。


戦闘描写、難しくて書いてて泣きたくなりますね。いい年なんで、心で泣きましたけど。



朔VS旭が中心の今回ですが、もう旭のキャラがぶれてる気がします。早過ぎです。


そして、鈴々VS華雄。どう見ても手抜きですね。すいません。


次は虎牢関。まだ戦闘が続きますがなんとかやってきます。




恋、出さなきゃなぁ……

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