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真・恋姫†無双 〜羅刹戦記〜  作者: エアリアル
第参章 鬼と戦  反董卓連合編
18/37

鬼と連合6  ~シ水関攻略戦①~

月一更新、守れず一週間遅れての更新。



すいませんでした。



そして、今回はかなり無理矢理な話になってると思います。

自陣に戻った劉焔は、華雄が突撃槍を持った将に担がれたままシ水関に退がったのを聞いた。


しかも、退却ルートは堂々と連合が集まっている中央を突破していった。退却に専念していた為か、交戦も一切無いまま、物凄い速さで突破されたらしい。


奇襲にはならなくとも連合軍を一時的に混乱させられたのなら、董卓軍の狙いは半ば成功と言っていいだろう。


あいつがいたから仕様がないか、と劉焔は思う。


「ただいま」


「あ、お帰り――っえ!?」


何となしに劉焔が戻ると、劉備が出迎えてくれたのだが、彼女の顔が一瞬で青くなった。


それもそうだ。頬の傷はまだしも、劉焔の両手は血で真っ赤に染まっていた。


「さ、ささ、朔くん!? 血、血が!!」


「あ、これ? 大丈夫だよ」


「ほっぺたじゃなくて!! 手が!! 手、血だらけ!!」


「手? 別に何ともないけど」


「痛くない筈ないよ!! 救護の人ー! 早く来てー! 朔くんが死んじゃう!」


「勝手に死にかけにしないで!?」








「ごめんなさい」


劉備は頭を下げて謝る。


謝罪を向ける先には手を布巾で拭く劉焔がいる。


正直、彼としては自分を心配してくれたからこそ起こしてしまった行動なので、怒るも何も無かった。


彼の手が血で染まっていたのは、華雄率いる奇襲部隊との戦闘の為で間違いはなかったのだが、それは決して自身の血ではない。


ちょっとした奇術の種をしまう際に汚れたのだが、その種ももう使えないだろう。


「気にしてないから、頭を上げてよ。主が臣下に簡単に頭下げちゃダメだよ」


「でも……」


「でも、桃香様が心配してくれて嬉しかった。僕、桃香様のそういう優しいとこ好きだよ」


「朔くん……」


「だから、今度は少しだけ格好良い桃香様を見せてよ」


「うん! …………って、少しだけしか格好良くなれないの、私?」


「人にはそれぞれ個性があるもんだよ。格好良いのは愛紗と星に任せて、桃香様は人を安心させられる個性で頑張って」


「そっか。じゃあ、それで頑張るね!」


両手を胸の前で握り締め、熱意を燃やす劉備。


それを見て、劉焔はごまかせたと胸を撫で下ろした。


正直言って、格好良い劉備があまり想像出来ない。そんな本心の欠片がぽろっと出てしまったのだった。


「そうだ、桃香様」


「どうしたの?」


「実はね、ちょっとマズイ事になったんだ」


「へぇ、そうなんだ」


笑顔で劉焔にそう言われ、劉備も笑顔を返す。


事の重大さに気づくには、たっぷり10秒はかかったのだった。








シ水関の中では、華雄の怒声が響き渡っていた。


「何故、邪魔をした!?」


怒りの矛先は、戦鬼の刃から自身を救ってくれた少女に向けられていた。


「ありら、余計なお世話だったすか?」


だが、少女はあっけらかんと返す。


「そうだ。奴には部下をかなりやられた。一矢報いねば、死んだ者達に顔向けできん!」


「えっと、つまり、華雄っちはあそこで小鬼ちゃんに殺されたかったと」


「そうは言っていない!」


「じゃあ、あの時のピンチ――――じゃないや、窮地を脱したとして、あのまま戦ってれば勝てたんすか?」


「それは……」


「無理っすよね? 猛将にして良将と呼ばれる華雄っちが、実力の彼我を悟れなかった筈無いっす」


淡々と軽い口調で少女は真実を語る。


次、戦鬼と戦えば、華雄は死ぬと。


「散々な言われようやなぁ」


そんな時だ、からからと笑いながら紫の髪をした少女がやって来た。


紫の羽織を肩にかけ、胸元をさらしで巻いている。


その少女の手には偃月刀が握られ、担ぐようして持っている。


彼女の名は、張遼。


神速の驍将(ぎょうしょう)と呼ばれる英傑の一人だ。


「旭、あんた、もうちょい物の言い方があるやろ」


「変にごまかさなかっただけっすよ。それにシーでも危ないっすよ」


「な、マジでか!?」


張遼の問いに少女は頷いてみせる。


「対抗できるのは鬼だけ。人が鬼に敵う事なんて稀っす」


「って事は、戦鬼を止めるには旭か、虎牢関におるあいつだけかいな」


「賊狩りの戦鬼と戦場の鬼の闘争か…………怖気が走るな」


「正直なとこ、私もあんまり相手したくないっすよ。あの子の相手はかなりしんどいし」


マジでイヤです、と声音に乗せる少女に張遼は片頬を引き攣らせる。


戦鬼との戦闘をしんどいの一言で済ませるこの少女は神経が図太いというか何と言うか。


「ちょい待ち。旭、あんたの口ぶりからすると、もしかして戦鬼と知り合いなんか?」


「そりゃ知ってるっすよ。一時期、一緒に暮らしてたんすから」


とんでもなく重大な発言を少女は何でもない事のように言った。


「なんやと!?」


「あれ? 言ってなかったっけ?」


「初耳じゃ、ボケェ!!」


「華雄っち?」


「私も初耳だな」


「わお」


そんなふざけたリアクションをとった少女は、次の瞬間には当然のように痛みに(あえ)いだ。


武将二人によるげんこつは中々の威力があった。


「あいやぁぁぁ……酷いっす。酷いっす! 憧れのおば様みたいになれなかったら、どうするんすか!?」


「知るかい!! 敵将の情報持っとるくせに喋らん莫迦が何処におる!?」


「…………ここ?」


ゴガン、と音が響いた。









「では、説明させて頂きます」


少女はビシッと敬礼を決めながら言った。頭にはこぶが2つ出来ているが、まあ言わずもがなだろう。


「まず、華雄っちの奇襲っすけど、小鬼ちゃんがいる時点で失敗ね」


「何故だ?」


「それはうちも疑問。細作の報告やと、連合軍は気付いたようすは無かった筈や」


「答えは簡単。単に小鬼ちゃんの気配探知能力が半端ないからっす」


「それ、答えになっているのか?」


「事実が物語ってるっす。あの子は昔から敵になってしまう人が多かったから、気配にはかーなーり敏感なんすよ」


それを言われると華雄も黙るしかなかった。


確かに奇襲に気付き、阻んで来たのは劉焔という小鬼だけだ。それに少女に担がれ退却した時も、突然現れた自分達に連合軍は対応しきれていなかったのも紛れも無い事実だ。


「では、あれはなんだ!? 剣が宙を舞っていたぞ」


「なんやそれ? 夢でも見たんやないの」


「戦闘中に寝る莫迦がいるか!」


「まあまあ。あれなら、ちゃちい手品っすよ」


少女は言いながら懐から短剣を取り出すと、その柄に糸を結んでぶら下げた。


「これが答えっす」


「はい? ただ糸で結んで剣を振り回しただけ言うんか?」


「そっす。っていっても、多分使ったのは鋼糸っすね」


名の通り、鋼で出来た糸。貧弱なイメージが生まれそうになるが、それ程現実は甘くない。


えげつなく、かなり危険な武器だと少女は認識している。


ただの糸ですら圧力と摩擦力を上手く高めれば、人の肉でも切る事が出来る。


その点、鋼糸は圧力と摩擦力を高めるまでもなく、ただ鋼で出来ているが故に既に十分な凶器である。


それに細く研ぎ澄まされている為、視認し辛いうえに場合によっては見る事さえ困難だろう。


劉焔がそれを用いていたのに気付いたのは、少女が生き残りの兵の手当をしていた時だ。


剣でやられた傷と、それよりも細く鋭さを感じさせる傷の2種類の切り傷。


兵に聞いてみると、突然切れたと証言もとれ、それに加えて華雄の証言だ。劉焔を知る少女が確信を得るには十分だった。


「見える刃と見えない刃の二段構えかいな。そりゃきっついわぁ」


「シー、それは無いっす。次の戦い、鋼糸は使ってこないっす」


「有効な策を使わない筈ないだろう」


「その筈があるんすよ。着眼点は二つ」


まず一つ、と少女は指を一本立てる。


「次の戦いは、私達対連合軍。奇襲戦の時みたいに一対多の状況じゃないっすから、敵と味方が激しく入り乱れてる所で鋼糸を使うとは思えないっす」


隠れお人好しだし、とボソッと付け加えながら少女は二本目の指を立てる。


「一つ目を強める補足みたいなもんなんすけど、小鬼ちゃんは鋼糸を扱い切れてないっす。剣に結んだのは、きっと鋼糸の動きを制限する為かな」


「扱い切れてない武器を戦場で使うものか?」


「自滅しないくらいには使える。だからこそ、味方のいない一対多の状況で使ったんすよ。

 それに鋼糸を剣に結んで振り回したのは、華雄っち達を動揺させるのが主な目的っす。

 足を(にぶ)らせれば良し、奇襲を防げれば尚良し。ダメだったら、逃げればいいんすから」


一対多の状況が不利なのは百も承知。それが難敵ならば尚のこと。少しでも有利な状況に持ち込み、生き残る可能性を上げるのが劉焔と少女が師から教わった事だった。


「てな訳で、鋼糸は使わないってより使えないんすよ」


「なら、小鬼の事も含めて防衛主体で戦えばええって事か。……旭、いけるか?」


「私はいつでも」


「華雄もええか?」


「ああ、あの小鬼との雪辱を晴らす!!」


拳を握り締め、闘志を燃やす華雄に張遼と少女は口端を吊り上げる。


「さて、降り懸かる火の粉を払いますか」


「そやな。月の為にもな…………小鬼が前線に出たら頼むで」


「了解っす」


少女は白銀の突撃槍、羲和を握り締め断言する。


「この周倉が連合軍なんか薙ぎ払っちゃうっすよ」








「周倉さん、ですか……」


劉焔からの報告に、一刀達は頭を悩ませる。孔明と鳳統は特にだ。


作戦がやっと決まったというのに、ここに来ての思わぬ伏兵の登場。


しかも、劉焔の兄弟子らしい。


作戦の成否がかなり綱渡りな状況である今、周倉という不安要素が危うい方向へと誘っている気さえしてきた。


(でも、朔くんが教えてくれなきゃ、それに気づけなかった)


不安要素が見えなければ、対応も対策も打てない。それに対する修正を頭の中でかけていく。


何度も何度も修正し、鳳統はこれしかないと自身を納得させた。


同じ答えに辿り着いた孔明も顔を沈ませているが、次の瞬間には軍師の顔に戻った。


「……朔くん、あの……」


「大丈夫。解ってるから」


「……ごめんね」


鳳統の口から思わず零れた謝罪に、劉焔は気にするなとゆっくり首を振った。


その優しさに、辛い目に合わせるしかない自分が嫌になる。


「……朔くんには、周倉さんの相手をしてもらいます」


鳳統は告げる。


かつて家族に近しかった相手と殺し合え、と。


「待て、周倉の相手は私がする!」


劉焔を庇うように関羽が前に出る。目付け役として、劉焔を一刀に負けず劣らず見てきた彼女の事だ、その残酷な行いをさせたくはないのだろう。


無論、関羽も鳳統が言いたくて言った訳ではないと理解している。同時に、それが確実な策だとも理解している。


それでも、言わずにはいれなかった。


「ダメです。朔くんが周倉さんの相手をするのは、この中で唯一その人を知り、対応できるからです」


「しかし!」


「愛紗、退がるんだ」


だが、その想いは阻まれる。


「しかし、ご主人様!」


「愛紗、頼むよ」


「っ……分かりました」


一刀の言葉に、関羽は渋々引き下がる。彼の手がきつく握り締められているのを見てしまっては、何も言えなくなってしまった。


場に沈んだ雰囲気が流れ、誰も言葉を発さなくなる。


沈黙が戦場の喧騒を掻き消している気さえしてきた。


「あの、さ」


そんな中、劉焔は口を開く。


「僕がやるよ」


「朔……」


「他の誰にもやらせない。それに、あいつの狙いはきっと僕だよ」


「何故だ?」


「うちと同じで僕にぶつけてくるだろうから。まあ、後は華雄が先走ってくれば、状況はまた変わってくるよ」


劉焔が周倉を知るように、周倉も劉焔の事を知っている。


なら、対処が似通うのは当然だ。


「いいんだね?」


「うん」


劉備からの最終確認に、劉焔は頷いた。


「兵士の中にも今の僕みたいな目に遭ってる人がいるかもしれないのに、僕だけ甘ったれた事言ってらんないよ」


いい機会だから、と続け、


「名無しの頃の僕と決別してみるよ」








連合軍の進軍は、シ水関の目前まで進んだ。


遠目から見ても堅牢に見えるその要塞に、劉焔はつまらなそうな視線を向けていた。


といっても、それは表面上でしかない。


内心、彼は若干の戸惑いがあった。


どうやって周倉を相手に勝つかではなく、作戦の邪魔をさせないかでもなく、


(なんか引っ掛かる)


周倉が董卓に仕えている事に疑問があった。


劉焔が知る周倉は、簡単に言えば“正義”なんて言葉が好きな人物だった。


彼女の憧れの人達は、困っている人を躊躇いなく助けるような正義の味方じみた人だったらしく、その影響を直に受けたのが彼女だ。


だから、自分の力は誰かの為に使うのを当然と考え、高める事を怠らなかった。


そんな彼女が、洛陽の民を苦しめている董卓を許す筈がなく、ましてや仕えるなど有り得ない。


「…………悩むより本人から聞いた方が早いかな」


独り呟き、シ水関から視線を外そうとすると、


「さーくくんっ」


なんて劉備に呼ばれる声が耳に届くと同時に、彼の視線が強制的に下げられた。


原因は劉備の豊かさに富んだ女性の部分が、抱き着かれた際に後頭部に押し付けられたせいだ。


「桃香様……放して」


「だめー。まだぎゅっとする」


「うぅ……うにゃうあぁぁ!」


じたばたとするが、本当に暴れたら劉備が怪我するのでそれもできない。


「兵の皆が見てるから!」


「う〜ん、もうちょっと」


「もうちょっともダメ!」


言いながら劉備を引きはがそうとすると、劉焔は彼女の手が震えているのに気付いた。


「桃香様……」


劉焔は震える劉備の手に自身の手を重ねる。すると、抱きしめてくる力が少し強くなった。


(あったかいや)


じたばたするのを止めて、劉備の温かさに身を任せるように力を抜く。


そういえば積もり積もった寂しさの(たが)が外れ、大泣きしてしまった時も劉備が抱きしめてくれたのを思い出した。


「桃香様、ありがと」


劉焔は小さく感謝する。


「もう、大丈夫だから」


「……ほんと?」


頷き返すと、劉備はゆっくりと離れる。


「桃香様が願掛けしてくれたんだから、僕はもう怪我したりしないよ」


劉焔が劉備の真似をしてふにゃっとした笑みを返すと、彼女もふにゃっとした笑みを浮かべた。


「朔くんはやっぱり鋭いね。私のしてた事、解ったんだ」


「桃香様を知ってる人なら誰でも解るよ。ちゃんと無事に帰ってこれますように、って自分の想いを込めてるんでしょ?」


「うん、正解」


秀でた武も智もない彼女は、戦場に於いては、ただ皆の無事を祈る事が大体だ。


それは辛くて大変な事なのだと劉焔は思う。


武器を振るうのは関羽や張飛、建策は孔明や鳳統。


力になれないのが歯痒くて、悔しくて。


もしかしたら、関羽や張飛が負傷、最悪の場合など戦死するかもしれない、そんな不安にいつも心を擦り減らしている。


大丈夫だから、絶対帰ってくるから、なんて言葉は最早気休めにもなってないのかもしれない。


それでも、それを口にしなければならない事に罪悪感が生まれる。


「僕はもう大丈夫。だって、お守りがあるし」


首に提げていた水晶で出来た羽のお守りを取り出して見せる。


正直なところを言えば、御利益なんて信じていない。それでも、このお守りは大切な物だから、肌身離さず持っていた。


「ちゃんと持っててくれたんだ……」


「桃香様がくれたんだよ? 大切にしない訳無いよ」


戦装束の中に羽のお守りをしまうと、同時に劉焔は戦場の流れが動いたのを感じ取る。


眼を向ければ、関羽と趙雲がシ水関に――正しくは華雄に向かって舌戦を始めていた。


だが、まだ堪えているのか動き出す気配は無い。


(まあ、約一名の怒気は凄く高まってるけど)


華雄の気の増大加減には、苦笑が込み上げてくる。


何故か解らないが、華雄が周倉あたりに押さえ付けられている様が眼に浮かぶ。


とはいえ、


「時間かかりそう」


「だねぇ」


「なら、短くしませんか?」


「え?」


突然の声に劉備は驚くように声をあげた。それが彼女の知っている声ならば、当然驚きはしなかったろう。


劉備は振り向き、声の主を見るがまったく知らない少女がそこにいた。


「周泰だっけ?」


劉焔が彼女の名前を呟くと、周泰は満面の笑みを浮かべる。


「はい! 劉備殿、お初にお目にかかります。孫策様に仕える将が一、周幼平です!」


「うん、初めまして。私が劉備です。朔くんとはお知り合い?」


「はい。一手、手合わせをして頂きました。結果、私は一撃で負けてしまいましたけど」


「へぇ、そうなんだ」


周泰は少し恥ずかしそうに語り、劉備はそれをほへぇ、と聞いていた。


(あれは手合わせで済むのかな)


劉焔は周泰が忍び込んで来た夜を思い出し、遠い目をした。


寸止めなんてとんでもない。あの時の周泰の斬撃は、間違いなく首と胴がサヨナラするレベルだった。


「それで、周泰はわざわざまた忍び込んで何しに来たのさ?」


「また?」


「はぅあ! またって言わないでください!」


「はいはい。それで、華雄をおびき出す妙案があるの?」


「うぅ…………華雄は先代の呉王、孫堅様と過去に戦って負けています。なので、呉に対して遣る方ない感情を抱いている筈なのです」


「つまり、呉も挑発に加わって引っぱり出すのに参加するって事?」


劉備が確認するように聞くと、周泰は頷いた。


「孫策様が前線に立ち華雄を挑発しますので、一度呉に場をお譲りください」


「うん、それなら構わないよ」


「でも、袁術はどうするのさ? 客将なんて扱いじゃ勝手できないでしょ」


「その点は心配いりません。ただ、確実なものとしたいので、劉焔殿にも来て頂きたいと孫策様が」


「僕? …………解ったよ。すぐ行くって伝えといて」


「了解しました! それではお待ちおりますね、お猫様!! では!!」


周泰は一礼すると、気配を消して走り去っていった。


劉焔は周泰の言葉に首を傾げると、劉備と顔を見合わせた。


「あの娘、今僕の事……」


「うん、お猫様って……」


「……何でさ?」


「あと、朔くんってやっぱりご主人様の子供だよね」


「それって喜んでいいんだよね?」


「ん〜。喜んでいいけど、悪癖は控えめにね」


「悪癖? え? え?」








孫策は口許に微かな笑みを浮かべ、袁術の下へ歩いていた。


忌ま忌ましい事に、己が身が客将という身分に甘んじている以上、勝手な行動は許されない。


仮初めの主、袁術に許可を取らねば動くに動けない。


実際問題、袁術を口で上手く誘導するのは容易い。その場に彼女の側近の軍師である張勲がいなければ尚の事。


張勲は普段袁術を甘やかし放題であるが、言葉は悪いが腐っても軍師だ。疑心を持たせては、後々障害をつくる事になってしまう。


そこで、救援先に属する劉焔を呼び出した。


あの少年の事だ、こちらの思惑を読んでいそうだと孫策は思う。


考えながら歩を進めていると、いつの間にか劉焔が目の前に立っていた。


「あら、意外と早かったわね」


「どういう事さ?」


「何が?」


「一緒に来いって言うから行こうとすれば、あんたの気配が陣地から離れて動いてるし」


「でも、君は気付いて先回りした。無問題じゃない」


「何処がさ。事を確実とする為の要素を置いて、先に行くなんて普通しない。

 僕が気付かなかったら、どうする気だったのさ?」


「君は来るって思ってたわよ」


「根拠は?」


「ない。強いて言うなら、勘」


「勘?」


「そ。乙女の勘」


「…………」


やけに自信満々に言うから聞いてみた劉焔だったが、聞かない方がよかった気がしてきた。


(乙女の、ってより英雄の勘でしょが)


内心で独り言ちながら劉焔は孫策を半眼で見ると、笑みだけ返された。


続きを待ったつもりだったが、本当に勘で動いたらしい。


こんな性格の孫策の手綱を周瑜はよく握れるものだと、劉焔は素直に感心した。


「ほーら、ボサッとしてないで行くわよ」


「了解……」


揚々と歩く孫策の後をとぼとぼと追いて行くと、《袁》と書かれた銀の軍旗が段々と見えてくる。


袁術軍の陣地に着くと、前を歩く孫策は門番に一言二言告げて勝手に入っていった。


勝手に、と解ったのは門番が孫策を止めようとするが、彼女はするりと避けたからだ。


仕方ないので劉焔も孫策のように制止をするりと避けた。


視界の端で門番が膝から崩れ落ちていた気がするが、見なかった事にする。


少し歩くと、劉焔は甘ったるい匂いを感じて顔をしかめた。


それは覚えがある匂い。


蜂蜜だ。


匂いの元を辿れば、その先には頭に紫の大きなリボンを付けた小さな少女がおり、その隣には彼女の笑顔に身悶えしている女性がいた。


「あれが……袁術?」


「そうよ。名と見ての通り、袁紹の従姉妹。隣は軍師の張勲よ」


「そっか。じゃ、僕はこれで」


「ダメよ」


帰ろうとするも首根っこを掴まれ、引きずられながら無理矢理前に進まされた。


「んくんくんく…………ぷふぁー! やっぱり蜂蜜水はサイコーなのじゃ!」


蜂蜜水が入っているだろう杯を両手で持ち、袁術はその甘さを堪能している。


「美羽さまぁ〜。孫策さんがいらっしゃったそうですよぉ〜?」


彼女の笑顔を堪能しつつ、張勲は主に真名で問いかけた。


「孫策が? 何のようじゃ?」


「何でも、膠着してる戦線を動かす作戦を伝える為とか。……何でしょうね?」


「ふむぅ……よし、通してよいぞ」


本当に考えたのか解らない数瞬の黙考の後、袁術は許可を出すのだが、


「あら、ごめん。勝手に来ちゃった」


そんなもの出す前に()うに孫策は来ているのだ。


劉焔からすれば、結構近くにいたのに気付かなかった彼女らに疑問を抱いたりしていた。


「ふぉっ!? 無礼じゃぞ、孫策!」


「ごめんごめん。ちょっと急ぎの用件だからさ」


「むぅ……まあ良い。それより何か作戦を思い付いたそうじゃが?」


先を促す袁術の言葉に、孫策は一瞬だけ口端を妖しく吊り上げた。

それからの孫策の口上はこうだった。


シ水関を囲んでいるものの、事態は一向に動かない。これでは袁術も活躍できないだろう。


そこで、シ水関を守る華雄と因縁のある自分が劉備軍と連携し、事態を動かす要となる。


だが、自分は袁術の“部下”だ。許可無くては動けない。


「袁術ちゃんの許可があれば、すぐに動けるわ…………どうする?」


「ふむ。では、妾が命じるぞ。孫策は劉備と連携して華雄を引きずり出すのじゃ!」


孫策の誘いに袁術は即答。あまりの早さに劉焔は唖然とする一方、孫策の思惑に確信した。


「……了解。じゃあ、すぐに軍を動かすわ」


心中でにやり、と笑い、孫策は踵を返そうとする。


「ところで、孫策さん。貴女の後ろにいる子は?」


そこに張勲は劉焔の存在に疑問を投げ掛けた。


はぁ、と内心で溜息を一つ吐き、劉焔は袁術に向き直る。


「僕は劉備軍が戦鬼、劉焔と言います。此度は寡兵なる我が軍に、孫策殿より助力の申し出を頂き、感謝しております」


礼儀正しい風体で劉焔が挨拶を終えるや否や、ガシャンという音が響いた。


それは袁術が持っていた杯が割れる音だった。中にまだ少し蜂蜜水が残っていたのか、残りが地面に染み込んでいく。


「み…美羽……様?」


これに張勲はとても驚いた。


蜂蜜水は袁術の大好物だ。いくら張勲がおねしょしますよ? 虫歯になりますよ? と忠告しても飲むのをやめない。結果、それが現実になっても尚飲み続ける。


それ程大好物の蜂蜜水を地に落とすなど考えられなかった。


「のぅ、お主!! 名は!?」


「いや、だから、劉焔だってば」


やたら食いついてくる袁術に、思わず素に戻る劉焔。


「お主! 蜂蜜水は好きか!?」


「いや、蜂蜜みたいに凄く甘いのはちょっと」


「そうか……ならば、何が好きなのじゃ?」


「…………昼寝?」


「ぬぅ、物ではないのか……ならば―――」


「ちょっと待った」


長くなりそうな気配を感じた劉焔は、手でも制止を示しながら袁術の質問を止める。


「僕個人に対しての質問は、今すべき事じゃないでしょ」


「ぬぐぅ。そ、そうじゃな……」


うんうん、と袁術はぎこちなく頷く。


「では、これで最後じゃ」


「うん、そうして」


「そ、そのじゃな……」


「はいはい?」


「そち、妾の下で働かぬか?」


「…………え?」


突然の勧誘に、流石に劉焔も眼を丸くする。


それは孫策も張勲も同様で、何も言葉を発せずにいた。


「どうじゃ? 今の倍以上の碌も与え、妾とこの張勲の次の地位に抜擢もする。衣食住だって、そなたが望む限りを聞いてやるぞ」


自分の望むまま。


そう袁術に言われ、うん、と一つ頷いて劉焔は答えを口にする。


「断る」


素っ気ない返事一つだけ残し、劉焔は踵を返す。


横目で孫策を見れば、彼女は何故か妙に訳知り顔をしていた。まるで、自分が誘いを蹴る事を解っていたかのような。


「な、何故じゃ!? 妾の誘いを断る!?」


「み、美羽様!」


袁術の声に振り返れば、彼女の眼には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだ。


「金もやる! 地位も与える! 家だって服だってやると言うのに!」


「それさ、あんまり興味ない」


「何……?」


「僕、元は森暮らしだし、金とか服とか言われてもこだわりとか興味も無いし。だから、欲しいものは特に無いんだ」


欲しいものは、既に全て貰っている。


後は、無くさないように守るだけ。


「僕は今の主と仲間といられるだけで十分。これが断った理由」


「そんな理由で……」


「そ。袁術が言うそんな理由が、僕にとっては大した理由」


ぽん、と劉焔は袁術の頭に手を置く。一瞬、これは無礼だとか言われるかな、と思ったが、今更遅いと割り切った。


「袁術が笑顔のとても可愛い女の子だってのは解ったけど、鬼が仕えるにはまだ何か足りないんだ」


「…………何が足らぬと言うのじゃ?」


「それは自分で考えなよ」


言い残し、今度こそ劉焔と孫策は踵を返してそれぞれの自陣に戻って行った。


その彼の背中を、袁術は見えなくなるまで見つめ続けていた。








自陣に戻った孫策は、周瑜にすぐ様に軍を動かす命令を降した。


「冥琳。さっさと軍を動かすわよ」


「ん? いきなりどうした?」


「袁術ちゃんに許可を貰ったの。これで劉備軍との連携の名目はたったわ」


それを聞いた周瑜は袁術の目先の利に飛びつく様に呆れる。


「…………それを許すか。つくづくだな」


「でもあの娘、我が儘だから。気が変わる前に前に出ましょ」


「そうしよう。………興覇! 幼平!」


周瑜が名を呼ぶと、直ぐさま甘寧と周泰が姿を現わし、彼女の命令に耳を傾ける。


「劉備の横まで前進する。その後は華雄の挑発に参加するぞ」


「はっ」


「了解です」


「挑発には私も参加するから」


「却下」


さらっと何でもないように参加を口にする孫策に、周瑜は眉間に皴を寄せて即断する。


だが、それを孫策もすぐ取下げさせた。


「今の状況を長引かせる訳にはいかないでしょ。私が餌にならなきゃ」


孫策の身を案じる身としては、周瑜は反対したい。だが、袁術が我が儘を発動させてしまえば、せっかくの策も使えない。


それは、好機を逸する事と同義。


軍師として、冷静に執るべき行動を決める。


「…………わかった。それでいこう」


「ありがと、冥琳。それじゃ、冥琳と穏は後曲の部隊の指揮をお願い。思春、明命、行くわよ」


孫策は甘寧と周泰を連れて歩き出す。その背中に、


「雪蓮、風よけは上手くいったの?」


思い出したように周瑜は問いかけた。


風よけ。


袁術に許可をもらう際に劉焔を連れていったのは、この為だった。


自分の言動に万が一の誤りがあってしまった場合、劉焔という存在に注目させて上塗りしてしまう魂胆があった。


袁術の性格ならば、彼の容姿に興味を抱くと考えた上での実行。効果は………予想斜め上だったが十分だったろう。孫策としては、一部不満な箇所があるが。


「一応、上手くいったんじゃないかしら。あの娘の意識は釘付けになったし」


「あの小鬼は気付いていたか?」


「気付いた上で来たみたいね。それに、袁術ちゃんのおかげで一つ解ったし」


「袁術のおかげだと?」


「そ。小鬼くんはやっぱり劉備軍の将よ」


だって、と孫策は続け、



「戦鬼は金玉では動かないわ。

 あれは、人の心によってしか動かない」








「はぁ〜い、劉備ちゃん。中々てこずってるみたいね」


「あ、孫策さん」


孫策は手をひらひらと振りながら、一刀と劉備の下にやってきた。


「敵さんが思ったより冷静みたいで。このままじゃまずいかもしれませんね……」


「ほら、不安そうな顔しない。その為に私が来たんだから」


不安に顔を曇らす劉備の肩に励ますように孫策は手を置いた。


「孫策さんが本当に挑発するんだよな? 大丈夫なのか?」


「大丈夫。袁術ちゃんには許可貰ったし…………腹立つけどね」


孫策は付け足すように本心混じりの軽口を叩いた。


「取り敢えず、華雄の挑発は私が受け持つから。劉備は吊り上げた魚の調理をお願いね」


「はい。……でも、勝てるんでしょうか?」


「呉が協力してるんだから、簡単になんか負けない。勝てるわよ。

 それと出来る限りは助力するけど、こちらも余力が無い限りは助力はないと思っておいて」


「解った。……俺達だけで華雄と張遼を相手するって状況より、かなりマシだよ。ありがとう」


「感謝は後にして。じゃ、行ってくる」


「ご武運を」


一刀と劉備は前線に向かう孫策を見送り、


「朔」


「何さ?」


「もし、孫策に危険があれば守ってあげられるか?」


一刀に聞かれ、姿を現わした直後に劉焔は、その人の好さ加減に呆れて半眼になる。


「今回はやけに注文が多いね。まだ同盟を結ぶか迷ってる相手も守れ、だなんて」


「手を差し延べてくれた相手を、何もせずに見捨てるのは嫌なんだ」


「朔くん、私からもお願い」


「桃香様まで…………あのさ、孫策まで守ろうとすれば、主上達の護衛が(おろそ)かになるんだけど?」


「それでも、だ。頼むよ」


「鈴々ちゃんも頑張ってくれるから。ね?」


「……………はあぁぁぁぁ。解ったよ、善処する」


盛大に溜息を吐き、仕方ないと劉焔は折れた。これはきっと関羽でも折れただろうと、自分に言い聞かせながら。


「じゃ、行ってくるよ。このお人好しめ」


最後に軽口を叩いて、劉焔は孫策の後を追った。








シ水関を目の前にし、孫策は紅い衣を風にはためかせながら声を張り上げた。


「シ水関守将、華雄に告げる! 我が母、孫堅に破れた貴様が、再び我らの前に立ちはだかってくれるとは有り難し。

 その首をもらうに、いかほどの難儀があろう? ……無いな。稲を刈るぐらいに容易い事だろう!」


返事待つように、孫策は数拍の間を置き、先を続ける。


「どうした、華雄。反論は無いのか? それとも江東の虎、孫堅に破れた事が余程怖かったのか?

 ……そうか、怖かったか。ならば致し方なし。孫堅の娘、孫策が貴様に再戦の機会を与えてやろうと思ったのだがな!」


孫策は口端をありありと吊り上げ、


「それも怖いと見える。いやはや……それ程の臆病者、戦場に居て何になる? さっさと尻尾巻いて逃げるが良い!

 では、さらばだ! 負け犬華雄殿!」






孫策が挑発を締め括り、戻ってくる。


劉焔は守りに行ける範囲ぎりぎりから彼女の姿を見ながら感心していた。


戦場の倣いとして舌戦を用いる事は多いのだろうが、劉焔自身はそれに関しては知識としてはあっても言葉に出した試しがない。


今まで相手にしてきたのは匪賊であり、当人としても面倒くさがって形式張ったものはしていなかった。


「まあ、形式張ったからって必ず効果がある訳でなし、か」


劉焔はシ水関の中の大勢の気配の位置がざわついたものの、飛び出してくるような動きを見せないのを感じとっていた。


華雄は論外として、張遼と周倉が罵声に堪えに耐えているのだろうと、察しがつく。


「仕方ない。ダメ押ししますか」


「ダメなのだ」


一歩踏み出した途端、制止される。振り返れば、張飛がぷくぅ、と頬を膨れさせていた。


「鈴々?」


「朔、勝手に動いちゃダメなのだ」


「なんか、同じ暴走仲間に言われると堪えるものがあるね」


「むぅ。お姉ちゃんに対して、酷い言い方なのだ」


「はい? お姉ちゃん?」


思わず出て来た単語に劉焔は聞き返すと、張飛は胸を張った。


「そうなのだ。朔の名前は鈴々の名前からも取ってるから、鈴々は朔のお姉ちゃんなんだって。星がそう言ってたのだ」


「星が? …………そういうことか」


趙雲が言っていた、鈴々だけでも暴走する可能性を低くする方法を悟り、劉焔は顔を苦々しく引き攣らせる。


姉の威厳を振りかざさせ、今のように弟の手本となるようにさせる。


そこに世話焼きまで加われば…………、そう思っただけで劉焔はぞっとする。


「鈴々、僕も挑発に参加しようかと……」


「ダメ」


「でもさ……」


「ダメったらダメなのだ。鈴々だって、先陣に立ちたいのに」


「…………」


それが本音か。


心中でツッコミつつ、劉焔は不満げな張飛を半眼で見遣る。そして、何か思い付いた顔をした。


「ならさ………」








シ水関城壁の上で、華雄は怒りの余り体を震わせていた。


「い……言わせておけばぁ………!」


孫策の挑発に、華雄は低く唸るように呟いて金剛爆斧を手に取る。


今にも飛び出しそうになる華雄を必死に張遼は引き止め、


「待て待て待て! 落ち着け! 落ち着かんとアカンて! あんな見え透いた手に乗ってどうすんねん!」


宥めようと諭すが、華雄の怒りは治まる様子はない。


制止を無視して歩を進める彼女に、張遼は苛立ちが込み上げてくるのをぐっと飲み込む。


「しゃあない。旭!」


「あいさー」


張遼の呼びかけに、間の抜けた返事返す周倉。そして、即座に華雄に足払いをかけて、尻餅をつかせた。


「旭! 貴さ――ぐぁっ!」


「しゃーらっぷ。猪は大人しくしてるっす」


抗議してくる華雄を、周倉は片手で強制的に長座体前屈させるように押さえ付けた。


逃れようとしても、周倉の押さえ付けてくる力はびくともしない。華雄は呻くしか出来なかった。


「旭、助かったで」


「いいっすよ。でも、華雄っちの部隊の皆も我慢の限界が近いっす」


「ちぃっ! 猪の部下は猪っちゅうことか」


「聞こえてるぞ、張遼!」


「変な体勢してる猪は黙っとき!」


「ぬぉっ!?」


華雄の反論を一喝で蹴散らすと、張遼はぎりっと歯噛みした。


周倉はどうか知らないが、同じ武人として自身の武の誇りが傷つけられる悔しさは理解できる。


その代償を払わせてやりたい。


だが、今はそれをすべきではない。してはならない。


それをしてしまえば、自身の後ろにいる主に迫る危機に拍車をかけるようなものだ。


自身を落ち着かせていると、





「へぇ。中々出て来ないと思ったら、猪の首輪は大した優れ物だね」





知らない声が耳に届く。


「嘘っ!?」


「きっ…貴様ぁぁぁ!」


続いて、周倉の驚く声と彼女に解放された華雄の怒声が聞こえた。


張遼も眼を向け、知らない声の主の姿を見た。


「お、お前は……」


黒衣の戦装束。


刃の一本角付きの真紅の兜。


異形の鬼眼。


「戦鬼か!!」


叫ぶような張遼の声に、戦鬼は答えずに莫耶の剣先を向ける。




「喰らいに来たよ、その命をね」



 

自己最長記録、また更新してました。


なんだか書く度に文量が増えてきてます。




オリキャラ2号の名前と武器名をちょろっと出しました。



基になった武将ほとんど無視してます。


面影が残ってるのは今のとこ、旭の3連ポニテが、周倉の“毛”にまつわる話からきてるくらいですかね。



……それでも、かなりうっすらですけど。



感想、ご指摘お待ちしてます。

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