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王子様なんかじゃない!!  作者: 木野ダック
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4.温度差

氷雨さんとの下校。

横を見ればすぐ隣に神々しい姿。

特別輝く端正な横顔。

私はもうーー

「氷雨さんも徒歩通だったんだね!バスか電車の人が多いからなんか凄い親近感だよ!寝坊しても自分の頑張り次第で遅刻回避できるっていうのが良いよね!あっ、でも雨の日は濡れるし、靴とかもぐちょぐちょになって嫌だよね〜。氷雨さんは替えの靴下とかワイシャツ持ってってる?私はね、実はよく転ぶから靴下だけはいつも替えを持ち歩いてるんだ!あっ、もし今度困ったらいつでも言ってね!大体3足は持ち歩いてるから!あっそうそう、こっ、この前ね……」

満面の笑みを貼り付けて、頭フル回転のマシンガントーク。

こうしなければ、まともに歩く事さえままならないほどの緊張に襲われていた。

頭から隅々から引き摺り出す情報の数々、もう限界が近かった。

そして、それは体力も。

高身長、スタイル抜群の氷雨さん脚はとてもとても長い。つまり、歩幅が広い。私の、低身長ゆえの短い脚では軽いジョギングで差を詰めてやっと肩を並べられる具合。

だから。ちょっとした石ころ。運動音痴な私だって、普段流石にこの程度に転けることは無いんだけど。

頭の疲労と身体の疲労。2つがいい感じに蝕んでーー

「ゎわわっ!!」

こけた。

正確にはこけそうになった。

バランスを崩して倒れそうになる身体をお腹を抱え込む形で支えられた。

「ーーーーっ!!」

元々熱かった身体は一瞬で意味を変えて熱を増す。

意識はお腹を支える手、背後からの存在感に集中し、胸が早鐘を打つ。決してくっついている訳ではない背中が不思議とじんわり熱くなる。

「あ、あの、ありがとう……」

何とか発した言葉に返事はなく、ただ手が離れていく。

私はゆっくり氷雨さんの方へ顔を向けてみる。分かってはいたけど、結構近い距離にある氷雨さんの綺麗な顔。そして、その視線に射抜かれた私の脳内は、熱に浮かされ麻痺状態に陥った。

まともな思考はまずできない。栓を失った頭からは中身が溢れだす。


「ひひひひひひ氷雨さん!あのさ、ももももしかしてなんだけど……、わわわわ私のこと、好きなの!?」

姉の件とか姉の件とか姉の件とかで!

「全く」

間髪入れぬほどの素早さだった。瞬間冷却。急速加熱された熱がサァッと引いていく。

……。

……。

……。

「えっと……言い間違え?」

「じゃない」

「じゃあ、聞き間違え?」

「さぁ」

「……」

「……」

見つめれば真っ直ぐ返るその視線に益々混乱した。

「何で!?」

「何でって、寧ろ私が花竹さんを好きになる要素があった?」

「あるよ!大ありだよ!!昨日助けてくれて、今も助けてくれた!」

「……助けてくれたのは自分の事が好きだから、って事?」

氷雨さんの言葉に力強く頷いた。

「悪いけど、私に好意はないし、そもそも助けたつもりもない」

氷雨さんはさっきから変わらず無表情のはずなのに、言葉のせいかその顔は今の方がずっと冷たいものに感じられた。

「でっでも!じゃあなんで?中庭のあんな隅っこ普通こないよね?」

「中庭の清掃」

「え……?は?清掃?」

「中庭を片付けるのは図書委員の仕事だから」

「か、片付けって……私、ごみ扱い!?」

その問いに氷雨さんの口角は少しだけ上がる。それは言外にそうだ、と言われているようで。それでも負けじと対抗した。

「でもでも!それなら、一緒に帰ってくれたのは!?」

辻褄の合わない回答を期待して問うた質問はまたも反射的に返される。

「レジデンス花ヶ山」

訳の分からない回答で。

「え……うち?」

「花竹さんの家は706、私の家は705。あそこで断ってもどうせ同じ道を帰るから」

「でも!『一緒に帰る』とは違うじゃん!」

「何が?」

「何がって……、『一緒に帰る』って言ったら肩を並べて歩いたり、会話を楽しんだりとかさ……」

「縦一列に並ぶ集団下校。これも一緒に帰る事になるはずだけど」

集団下校って……。そりゃそうだけどさ。そうなんだけど。

「それとこれとは違うって言うか……。お互いが、一緒に帰ってるなって思い合ってこそっていうか……」

私は間違ってない。その自信は大いにあるはずなのに、氷雨さんの主張を上手く突けなくてしどろもどろな答えになってしまう。

「私は花竹さんと一緒に帰ってると思ってたけど」

「わ、私も思ってたけど、さ……」

さっきまでは。

そんな気持ちなど伝わるはずも無く、なら話は終わりだとでも言うように、氷雨さんは私から顔を逸らしスタスタと歩き始めてしまう。

「ーーあ、待って」

その後ろを私はただ追いかけるように着いていくしか出来ない。

振り向きすらしない氷雨さんとは、私が追うという行動でのみ成り立つ『一緒』。

それは、虚しさばかりが胸に広がるものだった。


いつもお読みいただきありがとうございます!

そしてそして。先ほど、小説情報で、評価ポイントが入っていて!初めてなので、とても嬉しいです!!これを励みに精進して頑張りたいと思います!ありがとうございました。

興奮して拙い文になりましたが、せめてお礼を伝えたく書かせていただきました。ありがとうございます!頑張ります!(2回目)


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