慧の務める社
元々神社巡りが趣味で、週に一回は電車に乗って馴染みの神社に行く。私から言わせると、神社でしか摂取出来ない栄養素が有るのだが、友人一人を除いた周りからの理解はあまり得られない。そのせいか、はたまた、今日引き寄せられた寂れた神社のせいか、今日見た夢の内容は神社の夢だった。
鬱蒼とした森の中をひたすら歩く。帰ろうと思っても、帰れない。どんなにさ迷っても、必ず同じ箇所に出る。古ぼけた鳥居と社。まるでお前の家は此処だとでも言うように。
周りの空気はひんやりしていて、体温を奪っていく。寒い。帰りたい。私を、此処から出して.......!!
そう絶叫して、夢から覚めた。時刻は丑三つ時。目覚めには余りにも早すぎる。
そんな夢を見続け、精神的に疲弊してきた時、漸く休日になった。
私は電車に乗り、神社に向かっていた。その神社周辺にはそこ以外にも数多く神社仏閣が存在する。緑が多く都会とは思えない程、空気が美味しい。延々と此処の空気を食べながら生きていたい。そう思わせてくれる場所だ。
私は石畳の参道を渡り、賽銭箱にそっと五円玉を落とした。神社巡りをする注意点として、賽銭が足りなくなる、なんて事がある。近くに自販機があって、お金を崩す事も可能だが、そのお金も賽銭代に回したい私は、常日頃から小銭を集めている。ジャラジャラ鳴る小銭入れも、巡っているうちに全て無くなるだろう。
――今日も良い香りを有難う御座います。凄く安らぎます。最近は少し夢見が悪いので、境内を散歩して、心を落ち着けようと思います。暫くお邪魔します。
あぁ、やっぱり神社は良い。空気最高。神様に感謝。と鼻の穴をかっ開くながら歩いていた時のこと。
神社巡りが好きです。神社の空気が好きです。
そんなこんなで書いたのがこの小説。
飛梅様のモデルとなった方も、大変お世話になってます。