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呼び声

何かに、呼ばれた気がする。意識がすっと遠くなって、くらくらして、気が付いたら足が動いていた。おいで、おいで、中においで。一つに、一緒になろう。その言葉通りに神社の参道を歩こうとしていたその時。

「此処から先は危険地帯ですよ」

声を掛けてきたのは線の細い、男性? 身長が高くて、手足がほっそりとしている。首の上に乗った小さな頭部がモデルさんみたいだった。そして何より特徴的なのはその髪。艶やかで、身長同様長い。一目見ただけでは女人と勘違いしてしまうだろう。彼は案ずるように私の顔を覗き込んでくる。

「あ、すいません。ぼーっとしてて」

なんだか気分が悪い。身体中に嫌なものが巡って意識がはっきりしない。今立っているのだって不思議な位だ。そのせいか地面に膝を着いてしまう。

こんな状態の私を邪険にすること無く、彼はずっと一緒に居てくれた。近くの公園で弱りゆく体をさすってくれると、なんだか少しずつ気分が良くなって来た。もう、大丈夫です。と伝えようとした時、彼は一つ提案をしてくれた。

「帰り道は駅の方角でしょうか? 僕も同じ道を通るので、宜しければ御一緒しますよ」

「う.......」

思わず赤くなる。危険な箇所を止めていただき、その上病態が良くなるまで着いていてくれた。流石に申し訳ない。ここまでしてもらう義理も義務もない。そう思って俯いていると、私の感情を悟ったようにこう言った。

「遠慮なさらないで下さい。このまま倒れて行方不明者一人とかになったら、本当に夢見が悪い」

何から何まで本当に申し訳ない。でもまた倒れたら嫌だし、今回はお言葉に甘えさせて戴こう。

それから駅のホームで別れるまで、ずっと腰に手を回して支えてくれた。

家に帰り、自分の部屋に閉じこもると、今日あった事を再度振り返った。とても優しい人だ。私もあんな風に手を差し伸べられたら良いな.......。もし今度会ったら、何かお礼を出来たら良いな.......。

「ごはんよー」

「今行く!」

そうして、ちょっと変わった一日を終えた。私は羽毛に体を包むと微睡むようにして眠りに着いた。

慧くん、貴方知らないうちに、嫉妬を買って、そのうち刺されるかもしれないよ.............。

などと思って見てます。

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