異変
私は学校で次の授業の準備をしていた。次は移動教室なので、早めに御手洗を済ませてこよう。そう思って廊下に出ると、静かそうな雰囲気の子が話しかけてきた。 君だ。
「天清さん。こんにちは」
「あ、間宵君。こんにちは」
君は隣のクラスの子だ。物静かで穏やか子。この間も教室移動の際にも筆箱を拾ってくれた。笑顔でお礼を言うと、はにかんだ様に笑っていた事を思い出す。でもなんだか今日は.......。
「この間、神社の前で歩いていたよね?」
「え、うん」
「彼氏さんなの?」
雰囲気が..............違う。前の彼はもっとおっとりした空気を醸していた。なんて言うか、子供が描いたお花を飛ばしているような.......。でも今はなんだか澱んでいるように思える。色で例えると黒に近い紫。以前の彼が出すことは無かった空気。でも、たまたまかもしれない。
私は笑顔で首を横に振った。どうやらあの朽ちた神社付近での一部始終を見られていたらしい。うわー.......恥ずかしい.......。
「違うよ? 具合悪かったから、支えてもらっただけ」
「そうなんだ。でももう関係なくなっちゃった」
声に何時もの柔らかさがない。泥の中で音を聞き取ったように、ぐしゃぐしゃとした響きが含まれている。そして何より、光のない..............瞳。彼、こんな表情だったけ.....................?
私は怖くなって、彼の顔を覗き込んだ。あの神社に誘われるように、近寄った時、私も具合が悪くなった。もしかしたら彼もそうなのかも。
「間宵君? 様子がおかしいよ? 具合でも悪いの? ――っ。」
「ちっ.......」
舌打ち。しかし違和感はそれだけでは無かった。影が.............. 君の形をしていない。今までは人の形をしていたのに。今は.......獣のような、はたまた鬼のようなそんなに異形の姿を保っている。息を呑んで、口元に手を当てる私に対し、彼は仄暗く笑ってこう返した。
「ううん。何でもないよ。天清さん。次、授業でしょ? 早く行かないと遅れちゃうよ?」
これが、彼との最後の会話となった。
男の子の名前、即席で決めました。
(だから早く名前を決めろと.......)
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引かれる事もあると思います。好みのものだけ訪れてくださると、とても嬉しいです。




