御朱印が赤く染まるとき
「え..............?」
毎日のように御朱印帳を枕元に置いて眠っていたら、悪夢を見ることは亡くなった。しかし戴いた御朱印帳に異変が生じた。ご縁を振り返ろうと頁を捲ったのだが、その一枚一枚に血がこびり付いている。墨と朱色で彩られた文字。私と神社を繋ぐご縁の証。それが侵食されたように、血の着いた手で御朱印に触れたように穢れている。
私は怖くなって御朱印帳を閉じた。せっかく戴いたご縁が.......。悪夢を見ないための身代わりになってしまった.......? このまま、御朱印は侵食されて行くのだろうか? せっかく戴いたご縁までも、醜く穢されてしまうの?
「環ー? 今日も神社巡り行くの?」
「うん。そんなところ。すぐ戻る」
母の呼びかけに手短に応え、居ても経っても居られず、御朱印帳を持って家を飛び出した。
宮司さんにお話しよう。そして、ちゃんとお詫びしよう。神様にもちゃんと頭を下げよう。戴いたご縁をこんなにしてしまいました、と。
電車を待っている間も、立っている間も、もどかしくて仕方なかった。こんなに遠かったっけ? 漸く最寄り駅に着いて、改札をかける。行き交う人々を追い抜いて、漸く神社に辿り着いた。
此処の空気は何時も神聖だ。こんなに焦っていても、匂いは甘く、焦りを解してくれる。私は社務所に駆け込んで、慌てふためきながら、宮司さんの特徴を述べた。
神様と面会した証でもあるので、このような扱いになってしまって申し訳ないです.......。
でも飛梅様も、慧も守るためなら多少の穢れは目を瞑ってくれそうな気がします。