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中でもあの子は取り分けその想いが強い。少し気にかけただけでも全力で愛を示す。だから飛梅様しかり、周りの神々しかり、彼女を見捨てる事はしないだろう。今回渡した御朱印帳はその証を示す為のもの。初対面の人から戴いた力じゃない。彼女自身が紡いだ思いの念だ。
「それに他の神々達もきっと力になってくれる」
「噂をしていたら、いらっしゃいましたよ」
気配を感じ、僕はすっと膝を着く。すると彼女は苦しゅうないと言うように頭を撫でた。
「どうもー。遊びに来たよー」
「いらっしゃい。三狐神様」
三狐神様は、この神社の周辺に祀られている稲荷神社の神様だ。豊かな銀の長髪に、艶のある肌。大きな瞳の目尻は少し吊り上がっている。彼女は境内を見回すと、ちらりと飛梅様を見た。何か言いたげである。
「掃除、後少しで終わるので、もう少し待って戴けると」
僕は苦笑いで三狐神様を見る。すると彼女は納得したように姿を消した。後に残されたのは小さな白い狐。彼女が残して行った御遣いだろう。
「終わり次第、ご報告をさせて戴きます。飛梅様、この子宜しくお願いします」
小さな白い塊を抱き締めた飛梅様に向かって、目線を合わせてお願いする。すると小さな狐はケンっと小さく鳴いて、彼の腕に顔を埋めた。飛梅様は嬉しそうに笑って、溶けるように姿を消した。
あと少しで浄化が終わる。頑張らないと。
三狐神様も名前変えようと思ったんですけども、無理でした。
狐+神社って言ったら、イメージはもうお稲荷さん.......。
隠せなかった.......。