無垢なる願い
――お願いします。天清さんと付き合いたいです。どうすれば振り向いて貰えるでしょうか? 彼氏として一緒にいられるでしょうか?
僕は天清さんに恋をしている。何かすると何時も素敵な笑顔でお礼を言ってくれる。物静かな僕に対しても、分け隔てなく接してくれる。でも話し掛けるきっかけが無い。女の子と話すにはどうすれば良いだろうか? 一晩中考えたけれど、答えは出なかった。とりあえず、度胸を着ける事が大切だ。女の子と話しても、ちゃんと話せるような。
脳内で練習した。幾度となく彼女が話し掛けてくれるのを想定して、何度も受け答えを練習した。だから、こんな僕に力を下さい。
そう思って近くの神社に訪れようとした。しかし、その通り道に森が生い茂った別の神社を発見した。噂でしか聞いたことがないが、此処には祟り神が祀られているらしい。祟り神は信仰が強ければ強いほど、御利益が貰えるから、もしかしたら此方の神様に願いを伝えた方が良いかも知れない。
方向転換。僕は宮司のいる近所の神社ではなく、此処の祟り神にお願いをする事にした。中に入ると、鳥の鳴き声が消えた。風の音も無くなった。あるのは数多の時間を吸収した木々達のみ。静寂な空気が僕をそっと包み込む
相も変わらず群像劇。
でも主人公は短編にも登場した、凛のお兄さん、「慧」。
本当は凛になる予定でしたが、慧の主張が強かった。
今回も宜しくお願い致します。