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転生令嬢の愛され生活  作者: ぱんだ
第二章 学園生活
38/43

35.お約束のキス

「私、ルーク=ウィリアムと」 「俺、ユージン=ブラッキーは」

「「次の試合に進むのを()()します」」


突然ルーク殿下とその対戦相手のブラッキー卿が大会の棄権を申し出た。会場全員が驚きで一言も発せないでいると、学園長である大公様がその沈黙を最初に破った。


「二人共、理由を聞いてもいいか?」

「はい。私、ルーク=ウィリアムはエマ=ホールの先程の魔法を目の当たりにして、正直太刀打ちできないと思いました。対戦する前に敗北を決めつけるのが良くないことは分かっているのですが、あれ程の実力の差を埋められるほど私に力はありません。なので、棄権します」

「俺、ユージン=ブラッキーも同様です」


嘘でしょ!?折角この時間まで待機していたのに誰とも対戦することはないなんて…私のあのエルフィー先生との地獄の鍛錬は何だったの!?


「では、二人の意見を尊重し棄権を認める。よって、第八九回魔術大会の優勝者は中等第一デルタクラス、エマ=ホール」

「「お、おお〜!」」 「「おめでとうございます、ホール様〜!」」


な〜んかさっぱりしないよ!確かに強く?はなったけど、それを証明する機会がなくなっちゃったよ。帰ったらケーキでも爆食いしようかな…


その後は学園長(大公様)から表彰され、優勝賞品の食堂の日替わりランチ無料券をもらった。

ううっ、これでペネと一緒に食堂に行って慰めてもらおう。


魔術大会終了後、私は静かに誰にも見られないようにそろーっと控室を出ようとしたが……後少しのところで大きな壁にぶつかった。文字通りドアをくぐり抜けるところで人にぶつかったのだ。


「エマちゃん、お約束のキスですよ」

「え、エルフィー先生〜……わっ私、この大会に優勝したんです」

「それで?」

「だっだから、今回は見逃してほしいなっていう………だめですか?」

「だめですね」


即答。くそ〜、ここで逃げても結局ペナルティーは同じだし……これは腹を括って……それにエルフィー先生とは義理とはいえ一応兄なんだし。家族への愛情と思って………


「一回だけですよ」

「はいっ!」


―チュッ


はっ恥ずかし〜///ヤバい、恥ずかしすぎて顔が熱いよ…落ち着け私。相手は家族、家族、家族………うん?エルフィー先生、めちゃくちゃ静かだけど大丈夫?


「え、エルフィー先生〜?大丈夫です――うわっ!」


この人鼻血出して気絶しとる〜!?怖い怖い……白目むいてる!……死んでないよね?……い、一応拭き取ってあげようかな?


私はハンカチを取り出してそ~っとエルフィー先生の鼻血を拭き取ってあげといた。が、『う〜ん』と言って先生は起きそうになった。私は焦りすぎて


「死体が起きた〜!」


そのままハンカチを放り出して控室から猛スピードで出ていった。


=====================================


―控室内


「ふふっ、エマちゃんは本当に可愛い反応をしますね。それにしても、スーーッ。はあ~、いい匂い」


エマが出て直ぐにエルフィーはパチっと目を開けて、先程までエマが握っていたハンカチを嗅いで幸福感に浸っていた。エマが頰にキスした瞬間を思い出して、王太子がエマにキスをしたと聞いた時の不快感は綺麗サッパリ消えてしまった。


「どうしましょうか。この右頬だけは洗いたくありませんね。ふふっ、それに、エマは殿下に初頰キスが何とかとか言っていたけど、オリバーが最初だったってこと覚えていないのかな?……それにしても、部下に言われた通り僕は本当に執着心が凄いようですね。この変態さもエマちゃんには知られていると思いますが」


最初はほんの少しの興味から始まり、自身が人に興味を持つことに驚きながらエマに接してきた。エマの一挙一動全てに心が動かされ、この気持ちは何なのか部下に聞いたが『鈍感ですね』と言われるだけ。今までエマに対するこの気持が分からずにいたエルフィーだったが、今大会でエマが令嬢に罵られるのを見て苛立ち、エマがその令嬢を消そうとした時はその令嬢の心配ではなく、エマが人を殺してしまうのではないかというエマへの心配。しまいには王太子が初めてでないにしろエマにキスをしたと聞いた時のどうしようもない不快感。エマからのキスに今までにない幸福感を感じる自分。これらを思い出してエルフィーは一つの考えに至った。


「ああ、僕はエマちゃんを愛している」


====================================


「はあ~、ヒュー聞いて〜」

「どうされましたかお嬢?」


今現在私はエルフィー先生を会場に放置して、ヒューと一緒に馬車に乗り公爵邸に帰るところだ。


「あのね、最近私の周りの人達がおかしいの。段々変人になってるの」

「と言いますと?」

「ヒューだって知ってるでしょ。ルーク殿下は私に何かしらの理由でずーっとつきまとってくるし、エルフィー先生は一応義理の兄だけど、きっキスを迫ってくるし。グレイさんは『エマの泣き顔は素晴らしい』とか何とか言って近づいてくるし。唯一安心できてたオリバーさんさえも頰にキスしてきたし。あれっ?初頰キスってルーク殿下じゃなくてオリバーさんだった」


ヤバい!完全に忘れていた!一番最初はオリバーさんから文化祭の時にされたんだった。ってことは私、二人もキスを許してしまったってこと!?


「ヒュー、私はとてもふしだらな人です。どうしよう……」

「急にご自身を卑下していますが、私から見てあの方々全員が悪いと思いますよ」

「そう?」

「はい。お嬢は何も悪くありません。ただ、もう少し男性に対して警戒心を持って下さい。お嬢が変な事をされていないか私は心配なんです」

「ありがとう、ヒュー!ヒューだけが私の味方だよ!」


私は勢い余ってヒューに握手しそうになり、ヒューが


「お嬢、そういうところですよ」

「はい…」


一つ学んだ私であった。


====================================


―とある屋敷


 

とある屋敷といってもここは妹のペネロペと私の家、バンナ伯爵邸の一番広い客間なのだが、妹の周りにはそうそうたるメンバーが揃っている。オリバー=クロス様、エルフィー=ホール様、アルバート=ウィリアム様、ルーク=ウィリアム様、グレイソン=ウォーカー様、そしてブレイク=バンナ、何故か私も出席させられている。この国の重鎮でもある方々がここで何を話し合うかと言うと


「これより第九回『ヴァイオレットの姫君を見守る会』幹部会議を始めますわ。今回はエマ様の邪魔をするローデス嬢についてと皆様のエマ様との近況報告とさせていただきますわ」


我が妹よ、何をしているのだ……


皆さんは誰が一番かっこいいと思いますか?次の話の参考にしたいです!

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