12.市場へLet's go! withオリバー=クロス
エルフィー先生との魔法の特訓の翌日、オリバーさんと約束していた『市場での買い物』に行くことになった。幸い昨日の先生との魔法の特訓は思っていたよりも大変ではなく逆に本来の目標以上の『混合魔術』を先生と一緒にしていた。エルフィー先生の言っていたとおり全属性の私と四属性の先生が一緒に魔法を出すので色んな種類の魔法を作り出せた。そんなわけで訓練の初日から天才ぶりを発揮した私はご褒美ということでオリバーさんと市場で買い物をすることになった。
今の服装は昨日とは違い、白色の生地に桃色の花の柄がはいったワンピースに茶色のブーツ、そして髪色は白金だと目立つので瞳の色と同じ菫色に魔法で変えた。実は、これは今日の訓練でエルフィー先生に教えてもらった闇属性魔法の中で特に実用的な『変身魔法』。先生は闇属性の他に火属性、水属性、そして風属性を持っているので光属性魔法と土属性魔法以外は全て教えられるのだ。(先生ってたまに変なことを言うけど本当は凄い人なんだよね。今日、エルフィー先生へのお礼に何か買って帰ろうかな?)
そんなことを馬車の中で黙々と考えているとオリバーさんが
「今日エマは市場で何を買ってほしいんだ?服か?それともアクセサリーか?」
「いえいえ、とくにそういうものはいらないんですけど、市場にそういう服屋さんなんてあるんですか?市場と聞くと食べ物とかが売っているイメージしかなくて…」
「ああ、この前通ったところはメインストリートじゃないんだ。あそこは平民たちがほとんどの街路で、今通っているのは貴族や裕福な商人が使う通りなんだ。で、そこでエマの服など買おうと思ったんだが…もし、エマがあっちの通りへ行きたいならまずここで必要な物を買ってから行こうか?」
「いいんですか!?」 「ああ」
「やったー!実はあそこで食べてみたいものがあって…あとプレゼントも」
「プレゼント?誰に送るんだ?まさか…男にか?」
「えーと………その、なっナタリーお姉ちゃんに『いつもありがとう』の気持ちを込めて何か可愛いものを贈ろうかと…(ここでエルフィー先生に贈るって言ったらオリバーさん絶対に『だめ』って言いそうだからな)」
「そうか、あいつにか。ならいいぞ」
ふー、危ない危ない。でも本当にナタリーお姉ちゃんにも何か贈ろうかな。何がいいかな?クッキーとか?
そうこうしているうちに馬車は目的の場所についたようで一度停車した。やはり今回もオリバーさんが抱っこして降ろしてくれた。目的の場所だという建物を見ると、それは大きな真っ白の建物で正面口には何か板が掛かっていた。よくよくそれを見ると『本日貸し切り』と書かれていた。(かっ貸し切りぃーーー!)
「おっオリバーさん、あそこに『貸し切り』って文字が見えるんですけど気の所為ですよね」
「エマはもう文字も読めるのか!本当に賢いな!って、ああ、そうだった『貸し切り』のことだよな。その通りだ。白金の髪に戻したほうが服を選びやすいだろ。他の客がいたら騒ぎ立てられるからな」
「なるほど。そこまでしていただいてありがとうございます」
「いやいや。じゃあ服を選びに行こうか」
私達はお店の人にドアを開けてもらい中に入った。そこには色とりどりのドレスや紳士服、帽子やアクセサリーなどがあり、どれも一級品であることが分かった。しかし買ってもらうといっても誰がお金を出してくれるのだろうか。
「あの〜、オリバーさん、今回って誰がお金を払ってくれるんですか?」
「もちろんホール公爵家だ。実はな、昨日エマが初等魔術以外にも混合魔術を習得できたことをホール公爵が知って、昨日の夜に手紙が届いたんだ。公爵いわく『可愛げのない息子以外にもこんなに天才な子がいるなんて驚きだ。エマがこれから買うものは全て儂が払おう』だそうだ。あの堅物の公爵もエマのことを気に入ったということだ。さすがだな、エマ。だから今日は気にせず何でも買ってもいいぞ」
「そうなんですか。次もし公爵様に会ったらお礼を言わないと」
そのまま色んな種類のドレスを着ていき、特に気に入った青藤色の生地に銀色の刺繍が施されたドレスと赤紫色のワンピース、そしてオリバーさんが物凄く勧めてきた群青色のリボンに黄金色の宝石が散らばった髪留めはオリバーさん自身が私にプレゼントということで買ってくれた。その他にも店員さんが勧めてくれた服や帽子、アクセサリーをオリバーさんが『じゃあ全部買う(ホール公爵のお金で)』と言ったがそれは『だめです』と私は反対し、何分か話し合って(言い争って)結局半分は買うことになった。オリバーさんいわく『その人がどんな服を着ているのかによってその人の家の格が判断される。つまり、公爵家であるエマはそれに見合うだけの服やマナーを身に着けないといけない』だそう。なっなるほど。納得はしたが服を購入をする時オリバーさんが『ははっ、こんなに可愛い服を着ているエマを毎日見れるなんて最高だな』と小さな声で言ったのが聞こえて、さっきまで『さすがオリバーさん!貴族の鏡!』と思っていたが一気にその気持は冷めてしまった。
購入した服などは全て騎士団本部に送ってもらうことになり、メインストリートで一通りの買い物をしてから市場へと向かった。




