7.古代魔法
鑑定によって全属性であることが分かった私は師団長さんの執務室へ連れていかれた。そこで鑑定石の属性の表し方が他の人と全然違うことを教えられた。師団長さんのときでさえ鑑定では色が現れただけだったらしい……これはたぶん、面倒なことになりそう――
鑑定の次は私自身についての調査だった。しかし、頭が痛くなることはなかったが一向に自分の名前とどこから来たのかがやはり思い出せなかった。そこで師団長さんが私に何かしらの魔術がかかっているかもしれないと思い、検査をすることになった。
「エマちゃん、今から何の魔術がかかっているか調べます。深呼吸をしてリラックスしてください」
私はゆっくり深呼吸をして目を閉じた。師団長さんが触れている私のおでこがじんわりと温かくなったのを感じた。それから1分ほど経って、師団長さんが手を離した。終わったのかと思い目を開けると、黙考している師団長さんがいた。
「(そんな、ありえない……だけど、エマちゃんはあの場所へ行ったことがあるし…)」
「エルフィー、何か分かったのか」
「ああ、オリバー、たぶんエマちゃんにかかっている魔術は古代魔術だと思う」
「こっ古代魔術だと!?そんなものがなぜエマに!?」
「分からない、だけど昨日読んだ本に載っていた古代文字と同じものがエマちゃんにかかっている魔術に書かれていた。この世界には古代魔術を使える者はもう存在しないのに…」
「いや、この世界にはいないがあの場所にはいる。ありえないことだが…」
「まさか、神!?でもエマちゃんはあの場所に行ったことがあるだろうし…本当に神がエマちゃんに魔術を…」
当の本人を置いてけぼりでなんか勝手に凄い話になってるんですけど。ようやく全属性であることを受け入れたのに、今度は神!?はあー、とにかく疲れた。
「あの〜、もしその神が私に魔術をかけていたとして、その魔術は解くことはできるんですか?」
「今の時点ですぐには解けないだろう、だがたぶんあの『魔術バカ』のあいつなら一週間ぐらいで解いてくれるだろう」
「えっ、たったの一週間で!?でもさっき、古代魔術を使える人はいないって……」
「確かにいないが、あいつならできる。久しぶりに面白いことが起きて機嫌がいいだろうし、何しろ初めて古代魔術を間近に見て興奮しているだろうから。ほら、あいつを見てみろ」
クロスさんに言われた方向を見ると、ブツブツ言いながらきらきらした顔で難しそうな本を読んでいる師団長さんがいた。
「本当に魔術が好きなんですね」 「ああ、そうだな」
師団長さんが頑張って古代魔術を解読している間に私とクロスさんはこれからのことについて話した。
「たぶんこの後エマはこの国の王、ヘンリー=ウィリアム陛下に会うことになる。そこでエマがこれからどうなるのかがだいたい決まる。だが、あの陛下のことだから何をするのか私でも分からない。だからもしエマがひどい扱いを受けそうになったら、その……私が…エマと…こん――」
「分かった―!」
クロスさんが何か言いかけた時、急に師団長さんが声を上げた。
「何が分かったんですか?師団長さん」
「それが、エマちゃんにかかった魔術の正体が分かったんだ!その正体は、『記憶の抹消』、それも古代文字バージョン。だから、今この世界で使っている『記憶の抹消』の魔術に古代に使われていた文字で置き換えたらいいだけなんだ。だけど、その古代文字を解読するにはちょっと時間がかかるかも」
「師団長さんって本当に天才なんですね!初対面の私にここまで協力してくれるんんて本当にありがとうございます(ニコッ)」
「っぐ…いっいえ、私はただ古代魔術に興味があっただけですから。それより、いつまでも『師団長さん』と呼ばれるのは少し悲しいです……なのでオリバーみたいに『ホール』って呼んでください」
「(何回似たようなことをお願いされるんだろう…それに後ろから物凄い冷気が……もう、面倒くさい)…分かりました、ホールさん」
「ふふっ、ありがとうございます。では、今回のことについては私から陛下に伝えておきますね」
「エマ、もうこんなところから出て私と市場へお出かけしようか」
さっきから変に機嫌が悪いクロスさんがあまりにも強引にここから私と出ていこうとする。(今日は本当に疲れたんだよなあー)
「市場はまた今度にしたいんですが、早く騎士さんたちの本部へ戻りたいです(この二人が一緒にいる空間にはもう二度といたくない)」
「そうだよな。ではエルフィー、私達は帰らせてもらう。ほら、エマ」
クロスさんは私の前で腕を広げて抱っこをした。(ホールさんがいるのに///)
「じっじゃあ、ホールさん今日は本当にありがとうございました」
そうして私達は魔術師団本部を後にした。
師団長のエルフィーは魔術のことになると口調が子供っぽくなります




