周辺の街での炊き出し
今日は早朝から北門へ向かう。アルちゃんのポットを抱きしめて、ヴァイスを肩に乗せて歩いて行く。最近はアルちゃんも一緒にお出かけ出来るから、とっても嬉しい。
北門に着くと、騎士様達がもう待っていた。
「皆さん、遅くなってすみません」
「いえいえ。我々が早いだけなので大丈夫ですよ。カノン様、移動ボードがもう1台ありませんか?」
「もう1台ですか? 私のがありますけど、どうしたんですか?」
「私も一緒に行く事になったんだよ」
そこには第1王子のレオンハルト様がいた。いやいやいや、行くのは良しとしましょう。でも、移動ボードはどうなんですか? 思わずユリウス様をジッと見つめちゃいましたよ。
「カノン様。それが、陛下も連れて行って欲しいと仰られて……」
「なるほど。でも、確かに国の功績にした方が国民も安心ですよね~。でも、移動ボードですか?」
「ええ。レオンハルト様も訓練した事があるので、乗れますよ」
「そ、そうなのですね」
騎士様達は5名お手伝いに来てくれる事になっていたみたいだ。レオンハルト様の分の移動ボードは私のを貸してあげる事にしましょう。
「私用の移動ボードを使ってください。私は別の移動方法があるので大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
アイテムボックスから移動ボードを取り出してレオンハルト様に渡す。私は移動足湯を取り出して、タライにお湯を入れる。
「カノン様。これは一体何ですか?」
「ふふっ、これは移動足湯なのですよ~」
「移動足湯?」
みんなの準備が出来たら、私も靴と靴下を脱いでタライに入り椅子に座る。アルちゃんもポットから出てお湯に入る。今日はヴァイスもタライにチャポンと浸かっている。
浮かせるように思い浮かべると、ゆっくりと移動足湯が上に上がって行った。
「カノン様。それは座って移動出来るのですね」
「ええ、そうなのですよ~。お風呂みたいにお湯なのですが、足だけ浸かれるのでリラックスしながら移動出来るのですよ」
「それはとても気持ちが良さそうですね」
「それにこれなら、アルちゃんもヴァイスも一緒に浸かっていけるので、楽しく移動出来るかなと思って!」
「なるほど」
騎士様達は移動ボードの扱いがとても上手になっていた。レオンハルト様も少し緊張しているものの、とても運転が上手い。
これなら今日のお昼頃から豚汁を配る事が出来そうだ。
この移動足湯の椅子の座面部分を柔らかくしたから、いくら座っていても痛くならないね。そしてずっとぽかぽかしているから、とても気持ちが良い。
1時間くらい飛んでいると、チェニアの街が見えてきた。やっぱり飛ぶとすぐに着くね。
「もうすぐですね~」
「そうですね。やはり飛ぶと早く着きますね」
「そうですね。これならお昼までに配り始められますね!」
チェニアの街に入ったら、レオンハルト様とユリウス様は手続きをしに行ってくれた。私達はギルド近くの広場で炊き出しをする場所を準備している。
レオンハルト様が帰ってくると、人手も増えてすぐに準備が整った。私はその間に大きなお鍋を取り出して、材料を入れて錬金棒で豚汁を作っていく。出来た豚汁にエリクサーを入れたら完成っ!
チェニアの街は私がこの世界で初めて来た街なので、ちょっと感慨深い。この街でも病気が流行していて寝込んでいる人が多いらしい。早くみんなに元気になって貰えるように、頑張ろう。
次々にギルド職員や冒険者達が手伝ってくれて、とても順調に配れている。騎士様達が各家をまわり、動けない人達にも豚汁を飲ませてあげていくと、元気になった人達も次々にお手伝いに駆けつけてくれる。
「レオンハルト様、次の豚汁が出来ました」
「ああ、ありがとう。もう少しで配り終わりそうだな」
「そうですね。お手伝いしてくださる方が多くなったので、とても早いですね~」
やっぱり第1王子のレオンハルト様がいるおかげで、とてもスムーズに事が運んでいる。やっぱり一緒に来てもらって良かったね。
その後も順調に配り終えて夕方には、街の人全員に配り終える事が出来た。今日はこのままチェニアの街に泊って、明日の早朝に王都の西にあるベアクロの街へ向かう予定だ。
「お疲れ様でした!」
「カノン様、ありがとうございました。皆もありがとう。明日も宜しく頼むよ」
「はい、明日もよろしくお願いします」
次の日、朝早くチェニアの街を後にした私達は、街の外で移動ボードで移動しようとしていたら、レオンハルト様が移動足湯に乗ってみたいというので、私が移動ボードで移動する事になった。
「カノン様。これはとても気持ちが良いですね!」
「ふふっ、足湯は気持ちいいですよね~」
「きゅきゅ~!」
『うむ!』
ヴァイスの場合、足湯じゃなくてお風呂だけどね。昨日の移動中、全身浸かっていたもんね。
ベアクロの街は隣のランジェット王国との国境が近い事もあって、とても賑やかな街だった。だけど、今はやはり病気が蔓延している事もあって、少し寂しい印象を受ける。元気な時にまた来たいね。
ベアクロの街でもエリクサー入りの豚汁を配り終わった。豚汁もおにぎりも好評だった。豚汁を飲んだ腰の曲がったお爺さんの腰が、しゃんと元気になったりしたのは見なかったことにしておこう。
この日はベアクロの街に泊り、次の日は王都南の港町リンドーロ、その次の日にはランタルの街に行き炊き出しを行ってきた。
ランタルの街で1泊した後は、王都へ移動ボードで帰っていた。移動足湯は毎日取り合いだった。やっぱり寒くなってきたこの時期に足湯に浸かりながら移動出来るのは幸せだよね。
私が移動ボードで飛ぶ時には、アルちゃんは移動ポットで一緒に飛んでいる。ヴァイスも小さい姿だけど、一緒に飛んだりもしていて楽しかった。
全ての街を周って王都に戻ってきた私達は、一度王宮へ向かった。そこで報告などを済ませてから、私達はお店に帰ってきた。
なんだかここ数日大変だったけれど、街が元気になったのがとても嬉しい。錬金術師になって本当に良かった。
「2人とも、お疲れ様。ありがとうね」
「きゅ~」
『うむ。カノンも良く頑張ったな』
「ふふっ、ありがとう」
アルちゃんに熱めのお湯と栄養剤を入れ直してあげる。ヴァイスには度数の高いお酒をおつまみにワイバーンの唐揚げを出してあげてからお夕飯を作る。
『カノン、旨いぞっ!』
「きゅぅ~」
簡単にお夕飯を済ませると、今日はゆっくりお風呂に浸かって疲れを癒す。ぽかぽかのままベッドに入って、ぽかぽかのヴァイスを抱っこするとすぐに眠ってしまった。
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