車いすと移動ボード
次の日屋台を始めたら、またアルちゃんに護衛を頼んで、ヴァイスを肩に乗せて王宮へ向かう。今日もユリウス様に伝えたら良いかな。門番さんに説明をして待っていると、ユリウス様とテオドール様が一緒に来た。
「おはようございます。連日すみません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。今日は救護棟に用事だと聞いたのですが、どうしましたか?」
「はい。足に怪我をして歩けなくなった人とか、リハビリ中でなかなか1人で歩けなかったりする人が使える座って移動出来る椅子を持ってきました」
「座って移動出来る椅子、ですか?」
「5台作ってきたので、着いたら出しますね」
「そんなにあるんですか!?」
「はい。使って貰って改良点があれば教えて欲しいです。出来上がったら錬金術師ギルドへ登録するので、他の人達にも使って欲しいなと思ってます」
「なるほど。それは助かりますね」
私がいなくなっても誰かが私が作った魔道具で楽になって貰えたら嬉しい。やっぱり魔道具を作るなら人に喜んで貰える物が作りたいし残していきたい。
なので、完成したら錬金術師ギルドで作り方を登録するつもりだ。登録したら誰でも使用料を払えば作れるようになるんだよね。
ユリウス様とテオドール様に案内されて救護棟についた。そこで車いすを5台アイテムボックスから取り出して置いた。
「これが、移動出来る椅子ですか?」
「はい。少し浮かせてあるので、多少の段差はそのまま通れます」
「凄いですね。試してみても良いですか?」
「はい、どうぞ」
テオドール様が試しに座ってみると、少しふわっと揺れたけれど地面に着かずに座れた。
「どう動かしたいかを考えたら進んでくれます」
「はい」
テオドール様がちょっと難しい顔をしているから、慣れるまでちょっと大変なのかもしれない。そう思っていたらすぅーっと車いすが進んだ。
「おおっ、これは凄いですね!」
「ほう、動きが滑らかだな」
「後は後ろのハンドルを持てば押す人が操縦出来ます」
「なるほど。意識がなかったりしても動かせるのだな」
「はい」
少しすると、救護棟の中から何人か出て来た。テオドール様がそのまま説明を始める。
「おー! これは凄いっ!」
「これは移動が楽ですね」
「これなら何か仕事をしたり出来そうですね」
「これは良いっ!」
色々な感想が出ているけれど、みんな喜んでくれてとても嬉しい。1週間ほど使って貰って感想を聞く予定だ。
「カノン様。これはもしかして馬車にも使えるのでは?」
「そうですね、多分使えると思います。私の移動ボードもありますし」
「「移動ボード?」」
外に出て、私用の移動ボードを取り出す。これの説明をするとユリウス様とテオドール様の目がキラキラになった。男の人はこういうの好きですよね、知ってます。
「ここに乗って、頭で思い浮かべるとその通りに動きます」
まずはゆっくり浮かばせる。それからすぅーっと動かして空を飛ばせる。旋回して同じところに戻ってきてゆっくりと地面に降ろした。
「「カノン様っ!」」
「は、はい!」
「「乗せて下さいっ!」」
「えっと、1個しかないので交代でどうぞ?」
「私がっ!」
「いやいや、ユリウス様に何かあったら困りますから、まずは私から!」
「テオ、ずるいぞっ!」
良い大人が本気で良い合ってる。ムキになるユリウス様とテオドール様が面白くてつい笑ってしまった。私が笑っているのに気が付いたお2人は、ちょっとバツの悪い顔になった。
結局テオドール様から乗る事になった。さっき車いすを動かした事もあって、テオドール様は上手に移動ボードを操作している。
「カノン様っ、これは凄いですっ!!」
「テオ、どこまで上がれる?」
「試してみますね」
「カノン様。あれは売らないのですか?」
売れるなら売りたいけれど、あれがあったら色々出来ちゃう事もある。犯罪に使われたらいやだ。
「うーん。あれは売れないですね」
「なぜです?」
「えっと、悪い事に使われたら嫌です。だって、やろうと思えば王城にも入れますよね?」
「あっ、確かにそうですね! でも、あれは良いですね。管理をきちっとして騎士団でのみ使うとかどうですか?」
「しっかり管理して頂けるなら良いと思いますよ。一応風の膜を張って落ちないようにしているので、無茶をし過ぎなければ大丈夫かと思います。車いすはそんなに浮かばないようになっているので、大丈夫です」
「なるほど、それは凄いですね」
「騎士団の方が使う分には、空から偵察も出来ますし便利だと思いますよ?」
そんな話をしていると、興奮したテオドール様が帰ってきた。交代して今度はユリウス様が乗ってみている。
「ユリウス様、ゆっくり浮かばせると安全ですよ」
「はい。やってみます。おぉっ!」
「カノン様。結構高くまで浮けるのですね」
「そうですね。木より上に行けると便利ですよね」
「確かにそうですね。しかし魔石を手に入れるのが大変では?」
「ふふっ。ヴァイスがいるから魔石が使い放題出来るんです」
「あっ、確かにそうですね。それは楽しく錬金術が使えそうですね」
「はいっ。他の錬金術師さん達は魔石が大変そうですよね」
「ええ、そう聞いています。魔石があれば作れるのにと悔しそうにしてますね」
大きな魔石はやっぱりなかなか手に入らないから大変みたいだ。高価になり過ぎて作りたい物が作れないんだそう。王宮の錬金術師さんですら、その状態だそうだ。確かにダンジョンへ行ってもボスを倒さないと出ないとか、大分進まないと出なかったりする。
私の持っている魔石を少し買い取って貰っても良いと伝えておいた。作りたい物が作れないだなんて悲しすぎるもんね。
そんな話をしていると、ユリウス様が戻ってきた。
「カノン様! これはぜひうちの騎士団に!」
「ふふっ、分かりました。まずは何台あれば良いですか?」
「そうですね。まずは5台で様子を見ましょうか」
「分かりました。明日には出来ますけど、どうしますか?」
「では我々が取りに伺います」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
「それと、土地の準備が出来そうですので、定休日にご案内しても宜しいですか?」
「わっ、それは楽しみです。よろしくお願いしますっ!」
今度の定休日に土地を案内して貰える事になった。すぐに種を植えちゃおう! 栄養剤を作っておかないとだね!
そのままユリウス様達に門まで案内して貰いお店に帰る。楽しみすぎて足取りも軽く歩いていたら、ヴァイスに笑われた。
『ふっ、子供みたいだぞ』
「もうっ! だって、種を植えるんだよ? 楽しみでしょっ!」
『まあな』
「分かった。ヴァイスはそれで作ったお酒が要らないのだね~?」
『いや、悪かった。いるぞっ!!』
「ふふっ」
『どんな酒が造れるようになるのか楽しみだな』
「しかし、お酒の作り方……分かるかなぁ?」
『なにっ!?』
「材料だけ出来て造れなかったらどうしようね?」
『それは困るぞっ!?』
「ま、まあ、その時に考えようか」
『……うむ』
とはいえ、まだアイテムボックスに大量のお酒があるのだけどね。一応飲みたいと言うから96度のお酒も取ってあるんだよね。ドワーフ族の村にも行きたいしね!
夜になり錬金部屋へ行くと、まずは移動ボードを作っちゃおう。
まずは錬金釜の蓋を閉めて魔力を流してぽんぽんっとボードを作る。それから、表には緑の魔石(大)、白の魔石(大)、裏に緑の魔石(大)が2個、黒の魔石(大)、白の魔石(大)が必要だ。
魔力を流す工程を省略、後は4つ貼り付ける工程を省略しよう。表にだけ魔石を貼り付けよう。それを錬金釜に入れて魔石も入れるとぽふん! と移動ボードが1台出来た。
その後も同じ作業をして5台の移動ボードが出来上がった。
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