種とドーナツを作ろう
今日もヴァイスと一緒に錬金部屋に向かう。今日は昨日のお夕飯の時におにぎりとスープを取っておいたから、種を作って試してみよう。
錬金釜におにぎりと黄、青、白の魔石(小)を入れて蓋を閉めて魔力を込める。チーンと音が鳴ったら、蓋を開けて種を取り出して鑑定をする。
おにぎりの実の種(成長促進 小)と出ている。後はスープの実も作ろうと思ったら、師匠が呼びに来た。ヘルミーナが来たみたいだ。
「ヘルミーナ、おはよう」
「カノンっ、携帯食出来たっ!?」
「うん、こんな感じになったよ。味見してみて?」
「う、うん!」
あの携帯食をいつも食べているから、携帯食と聞いてちょっと腰が引けているヘルミーナ。恐々と一口かじると、びっくりした顔になった。
「カノンっ、これ……本当に携帯食?」
「うん、そうだよ。ドライフルーツが入ったフルーツ味、チョコ味、チーズ味の3種類あるよ」
「えっ、そんなにあるのっ!?」
ヘルミーナは全部の種類を味見していた。どの味も美味しいと気に入ってくれたので、とても嬉しい。パーティメンバーの分も携帯食を買って行ってくれた。
これで探索が少しでも捗ると良いなと思う。本当は種も渡したかったんだけど、まだ安全性を確かめてないのでちょっと渡しにくくて止めておいた。
また錬金部屋に戻ってまずはおにぎりの実の種を植えよう。それからスープの種を作る為にアイテムボックスから取り出したカップに入ったスープと魔石を入れて蓋をして魔力を込める。
チーン!
錬金釜の蓋を開けると、種が出来ている。鑑定でもスープの実の種と書いてある。
「わわっ、スープの種も出来たよー! でもどうやって実るんだろうね!」
『こぼれないのか?』
「ど、どうだろうね」
種が二つとも出来たので、土を入れたカップに植えて様子を見てみよう。スープの実の種の下にはこぼれても大丈夫なように、深めのボウルの中に種を植えたカップを置いた。
その間に、今度ダンジョンに行った時に試せるように、種をいくつか作っておこう。
「おにぎりがまだあるからおにぎりの種と~、お肉サンドの種……あっ!」
『どうしたっ!?』
「おにぎりの種作るのに、おにぎり入れなくて作れるんではっ!?」
『いやいやいや、魔石だけ入れるつもりか!?』
「やっぱりここは試してみないと!」
錬金釜に青、黄、白の魔石(小)を入れて蓋を閉める。おにぎりの実の種を作るぞ! と良く考えてから魔石に手を置き魔力を流す。
『さすがに出来んだろう』
チーン!
『嘘だろう……』
錬金釜の蓋を開けてみると、種が入っている。鑑定してみると、おにぎりの実の種(成長促進 小)と書いてある。
「おおぉ! 出来たよー!」
『おかしいだろっ!』
「だって、錬金術(省略)だもん、当然の結果だよねっ!」
『いやいやいや!?』
よし、この調子でお肉サンドのパンの実の種も作っちゃおう。後はパンの実の種も作っておこうかな。1回作れば材料を減らすか工程を減らして作る事が出来るから、色々な物を作っておけば次から助かるね!
お肉サンド、おにぎり、パン、スープの種を2個ずつ作っておいた。
「ヴァイス、この種を今度ダンジョンで試してみたいんだけど、良いかな?」
『もちろんだ。任せておけ!』
定休日にダンジョンに行って、種を植えて試してみたらゲルトさんやヘルミーナにお勧めが出来る。定休日がとっても楽しみだ。
そんな話をしていると、スープの実とおにぎりの実が実っていた。スープは茎と葉っぱでこぼれないように支えてくれていた。
「支えてくれてるよ、凄いね」
『そうだな。こぼれる物かどうかわかってるのか、凄いな』
葉っぱが萎れてきたので、おにぎりとスープを収穫する。スープもこぼれないで育ったので、これも使えそうだ。
ちょうど師匠が来たので、師匠とヴァイスにおにぎりとスープの味見をして貰った。
「カノン、スープまで育ったのかい?」
「そうなんですよ~。ちゃんと葉っぱと茎で支えてくれたので、こぼれなかったんですよ」
「そりゃ凄いねぇ」
『カノン、どっちも旨いぞ』
「うん、育つ速度もちょうど良いし、これだけ美味しい物が食べられるなら喜ぶだろうよ」
「良かったです!」
師匠にもそう言って貰えたのでとても嬉しい。魔石も小サイズしか使わないから値段も安めに出来るし、喜んで貰えると良いな。
今日は酵母を使ってヴァイスにドーナツを作ってあげよう。お砂糖を錬金釜で粉糖に変えてこよう。これでグレーズが作れるね。
小麦粉、砂糖、塩、バター、酵母を錬金棒でかき混ぜて生地を作る。生地が出来たら錬金釜に入れて、蓋をして魔力を流す。
チーン!
錬金釜の蓋を開けるとドーナツが沢山出来ていた。
『カノン、これはっ!』
「ふふっ、約束していたドーナツだよ。これにお砂糖でグレーズを掛けるから待っていてね」
さっき作った粉糖にレモン汁と蜂蜜を混ぜてグレーズを作ったら、出来上がったドーナツに付けて完成! キッチンへ行って師匠も一緒にドーナツを食べる。紅茶は温かいミルクティーにしよう。
『カノン、ドーナツ旨いぞ!』
「甘くて美味しいねぇ」
「前に食べたドーナツとちょっと違うけれど、美味しいね」
ヴァイスはお腹がぽっこりするまでドーナツを食べていた。おかげで今はひっくり返って寝ている。世界最強のドラゴンがその姿で良いのかちょっと疑問だ。
「ヴァイス、そんなに食べなくても……アイテムボックスに仕舞っておけばいつでも食べられたのに?」
『うぅ、だが旨かったぞ! カノン、また作って欲しいぞ』
「うん、また今度作ろうね」
この会話中もぽっこりしたお腹を上に向けてゴロンと寝たままなんだけどね。あまりにも苦しそうなので、お腹をなでなでしてあげると、気持ち良かったのかそのままお昼寝しちゃったみたい。
「こんにちはー」
「エルナ、いらっしゃい」
「魔力回復クッキーある?」
「うん、あるよ~」
「良かった。カノン、これいいよっ! 美味しくて魔力が回復するの嬉しいよ~!」
「ふふっ、役に立てて良かったよ」
「カノン。他にも回復出来る食べ物があったら嬉しいなぁ」
「そうなの? 例えばどんな感じ?」
「そうだなぁ。戦闘中でもぱくっといけるのとか、美味しい飲み物でも良い!」
やっぱりポーションはあんまり美味しくないんだそう。アイスティーとかジュースに回復効果を付けたら喜ばれそうだね。
後は飴とかチョコでも良いかもしれない。今度作ってみようかな。
「何か考えてみるね」
「うんっ、ありがとう。でもクッキーも美味しいからとっても好きだよ」
エルナは魔力回復ポーションと、魔力回復クッキー、クッキーを買っていった。
夕方お店を閉めて、天丼を食べながら回復効果の食べ物の話をする。
「師匠、なんでジュースとかでポーションを作らないんですか?」
「当たり前さね。蒸留水じゃないと作れないからだろうね」
「えっ、ダメなんですか!?」
「とはいえ、私もやった事がないから何とも言えないねぇ」
「なるほど。蒸留水で作るのが一般的だからなのですね」
『ポーションを美味しくなんて普通思わんだろう』
「そうさね。カノンくらいなもんさね」
『カノンだからな』
師匠とヴァイスにそんな風に言われてしまったけれど、美味しくないのは辛いと思うんだよ。
でも師匠が言うには、中には食事が辛くて冒険者を辞める人もいるんだそう。まだポーションは飲めるくらいだけど、食事は難しいよね。
いつも読んで頂きありがとうございます。
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明日は回復する食べ物と飲み物を作ります。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。




