ネコミミカゼ
朝起きると、なんだかもぞもぞする。なんか落ち着かないけれど、どうしたんだろう。うーん、熱はないみたいだし……なんだろうな?
なんか身体がおかしいけれど、今日は王城へネコポーションを届けに行かないといけないから、早く準備をしなきゃ。
『カノン!?』
「あっ、ヴァイス。おは……!?」
思わずびっくりして言葉が出なかった。だって、ヴァイスの頭にネコ耳が付いてるんだもん。もふもふの白い毛のドラゴンにトラネコの耳……うん、可愛い。
これ例年通りの黒猫のネコミミだったら、パンダって呼ばれちゃう所だったね!
「意外と可愛いにゃん。しっぽはどうなってるにゃん??」
思わずワクワクしながら聞いちゃいます。お布団をばさっとめくると、やっぱりドラゴンのしっぽとネコしっぽの2本があって、猫又みたいになっている。
『どうして我までにゃん……』
ちょっとしょんぼりしちゃったヴァイスをなでなでする。でも今、までって言った?
そっと自分の頭に手を伸ばして触ってみると、いつもない感触がある。もふもふのネコ耳が付いている。私もネコミミカゼに掛かったみたいだ。そういえば、さっきにゃんって言っちゃった気がする。
「わわっ、鏡見てくるにゃんっ!!」
『嬉しそうだにゃん……』
洗面所へ行き鏡を見てみると、私の頭の上にはトラネコのネコ耳が付いていて、お尻の所からしっぽが出ている。
自分で動かせるのか意識してみると、意外と簡単にぴこぴこっと動かす事が出来た。
「うわぁ、楽しいにゃんっ! お薬飲むの止めようかにゃん」
ただ、問題なのは語尾ににゃんが付く事かな。ちょっと恥ずかしい。もっと小さい子とかが言ってるなら可愛いんだけど、私の語尾ににゃんはどうなんだろう。
『カノン、薬をくれにゃん』
「えーっ、今日くらいそのままにしようにゃん」
『やだにゃん!』
とってもとっても可愛いのになぁ。ヴァイスの語尾がにゃんだよ? 可愛すぎでしょ!
『うー……我は薬をくれるまで話はしないにゃん!』
「ふふっ。仕方ないなぁ、はいどうぞにゃん」
ヴァイスにネコポーションを出して飲ませてあげる。こくこくと飲んだけど、ネコミミがなくなる事はなかった。
「あれ、おかしいにゃん?」
『なんでにゃん!?』
「きゅっきゅにゃん!」
アルちゃんの語尾ににゃんが付いてる。もしかして、アルちゃんも? と急いで振りかえったら、アルちゃんの頭に葉っぱでネコ耳っぽい物が付いている?
「!?」
『アルにゃん!?』
(ヴァイス、アルにゃんって可愛い)
「アルちゃんもネコミミカゼになっちゃったの?」
「きゅきゅ~にゃん!」
うん、本当にネコミミカゼなのか、いまいち分からない。でも、可愛いから良いか。あまりの可愛さに思わずなでなでしてしまう。
「ふふっ、アルちゃん。可愛いにゃん~!」
アルちゃんのネコミミカゼ(?)でびっくりして忘れたけれど、ヴァイスのネコミミカゼが治らないのもみてあげなきゃね。
ネコポーションをもう一度鑑定してみると、飲んでから半日くらいで語尾、しっぽ、ネコミミの順番で治っていくのだそう。飲んでから丸一日で大体治るみたいだ。
そう説明するとヴァイスはしょんぼりしている。とりあえず、始めににゃん治るなら良いと思うんだよ?アルちゃんにネコポーションがいるか聞いたら要らないと言われたのでそのままにしておこう。
私はもう少しこのネコミミカゼを楽しんでから飲もうかな。
まだ起きてきたばかりだから、まずは朝ごはんを食べようかな。ヴァイスに何が食べたいかを聞いても答えてくれないので、今朝はパンケーキを作ろう。
美味しそうな香りにつられて、しっぽが反応しているのもなんだか新鮮な感覚だ。これは結構楽しいぞ。
ご機嫌でパンケーキを食べたら、王城へ向かおうかな。でも、今日はヴァイスは行かないかもしれないね。一応聞いてみようかな。
「ヴァイス。今日は王城へ行くんだけど、どうするにゃん?」
『むっ……行くにゃん』
そこは行ってくれるんだんね。さすがイケメンドラゴンのヴァイスです。あまりにも可哀想なので、お昼を食べてから王城へ向かおうかな。その頃にはヴァイスのにゃんが治っているかもしれないしね。
ヴァイスにそう言うと、見るからにホッとしていた。そんなにゃんが嫌なのね。可愛いと思うんだけどね。
ネコミミカゼっぽいアルちゃんと遊んだり、ヴァイスをもふったりして午前中はのんびり過ごした。私もネコ耳としっぽで楽しく動かして遊んだ。
お昼ごはんを食べ終わったら、そろそろ王城へ向かおう。そのうちヴァイスの語尾のにゃんも取れるだろう。
アルちゃんはお留守番をしてくれるというので、ヴァイスを肩に乗せて王城へ歩いて行く。
「アルちゃんのはネコミミカゼなのかにゃん?」
『いや、多分違うだろうにゃん。きっと我々にネコ耳が付いていたから、一緒にしたかっただけであろうにゃん』
「やっぱりそうなのかにゃん。でも、可愛いからどっちでも良いにゃん」
王城の入り口で手続きをして貰い、ユリウス様達が来るのを待った。今日は国王様ともお会いする事になるので、門の近くの部屋で待っている。
「カノン様、ありがとうございますにゃん。カノン様達もネコミミカゼに罹ってしまったのですね、申し訳ございませんにゃん」
「いえいえ、楽しんでますから大丈夫ですにゃん」
ヴァイスはにゃんって言うところを見せたくなくて黙っている。ユリウス様について歩いて行くと、ユリウス様のしっぽもゆらゆら揺れていて可愛い。イケメンはネコ耳ネコしっぽがついても素敵ですよね~。
ユリウス様に連れられて、いつも国王様に会う部屋へと案内された。少し待つと国王様と宰相様が来たので、ご挨拶をして椅子に座る。
「カノン様、いつもありがとうございますにゃん」
思わず吹き出しちゃいそうです。国王様も宰相様も頭にネコ耳が付いてます。ネコミミカゼの感染力、恐ろしいですね。命に係わる症状が出ないので、みなさんあんまり気にしないみたいです。
『カノンが大量にネコポーションを作ってきたから、配るのはそちらに任せるぞ』
「あっ、ヴァイスのにゃんが取れてるにゃん」
『やっとか。語尾さえ治れば後は放っておけば良いだけだしな』
「カノン様、ありがとうございますにゃん」
「いえいえ。足りなかったらまた言ってくださいにゃん」
いつものように、私の作った収納バッグに入れ替えてネコポーションを渡した。移動ボードもついでに貸し出しておいた。
「カノン様、他の街の分までありがとうございますにゃん。いつものように騎士団で街の住人達に配らせて貰いますにゃん」
全部渡し終わったら、王城を後にする。帰る前に畑を確認したけれど、どのお酒の木も元気そうだった。少し前に収穫したから、特にお酒は実っていなかった。
おかげで私のアイテムボックスの中には、また大量のお酒が入っている。そのうちまたドワーフの街へお酒を届けに行かないとだね。
「しかし、国王様達もネコミミカゼになっていたにゃん。全員にゃんにゃん言ってて、楽しかったにゃん」
『我は治っていたから良いけどな』
「ふふっ、そうだにゃん。しかし、黒猫とトラネコの何が違うんだろうにゃん?」
『多分、感染力であろうな。いつもならもっとゆっくり流行していた気がするぞ』
「そうなんだにゃん。動物達も感染するのにゃん?」
『ああ、もちろんだ。魔物達にも感染するからな』
魔物にまで感染するだなんて恐ろしいカゼだね。そんな話をしていたら、お店に着いた。
「アルちゃん、ただいまにゃん!」
『帰ったぞ』
「きゅっきゅにゃん!」
ネコ耳アルちゃん、可愛いなぁ。アルちゃんにとっても癒された。
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