ドワーフの街へ
スノウドラゴンが帰ってから少しして雪が溶けて、暖かくなった。まだ少しお店はお休みなので、その間にドワーフの街へ行ってみようかな。
「ヴァイス。ドワーフの街へ行ってみたいんだけど、場所は分かるの?」
『うむ、もちろんだ。よし、ではドワーフの街へ行ってみるか!』
「うんっ!」
「きゅ?」
「でも、ドワーフの街ってどこら辺にあるの?」
『我の居た山の反対側にあるぞ』
「そうなんだ、結構近いんだね~」
ヴァイスが居た北の山の反対側にあるらしいので、ヴァイスに連れて行って貰おう。アルちゃんはお留守番しているというので、待っていて貰おう。
特に準備は必要ないから、このまま出発してしまおう。
「じゃあ、アルちゃん。お留守番お願いね。でも、1人で大丈夫?」
「きゅきゅっ!!」
『うむ、頼むぞ』
任せて! って感じでゼスチャーしてくれたので、アルちゃんに挨拶をしてお店を出る。ヴァイスを肩に乗せて、まずは北門へ向かおう。
北門で手続きをして貰って外に出ると、チェニアの街を過ぎるまでは移動ボードで向かう事にする。さすがにヴァイスが大きくなるとみんなびっくりするからね。
移動ボードを出して飛んで北の山を目指す。最近は移動ボードに座っても操縦できるようになったんだ~。ホウキじゃないけど、魔女気分。
チェニアの街を過ぎたら、今度はヴァイスに乗せて貰う為に一度地面に下りる。
「ヴァイス。ここからはお願いするね」
『うむ、任せておけ!』
大きくなったヴァイスの背中に乗ると、ヴァイスはゆっくりと浮かび上がって頂上へ向かって飛んで行く。すぐにヴァイスの居た場所が見えて来た。
『カノン。ミスリルを少し掘っていくか?』
「あっ、それは良いね」
ヴァイスが居た場所に行ってみると、なんだか懐かしい気持ちになった。最初に会った時は本当に驚いたんだよね。
「でもここからどうやって掘るの?」
『そんなもの、我のしっぽでどうにでもなるぞ』
「なるほど」
ヴァイスがしっぽをぶんっと振ると、しっぽが当たった壁が崩れていった。やっぱり大きいヴァイスは凄いパワーだね。普段のあのお腹ぽっこりとのギャップが凄いね。
『なんだ?』
「いや、大きいヴァイスも凄いなと思っただけだよ」
じとーっと見つめられたけれど、ごまかしておいた。まさかお腹ぽっこりを思い浮かべたなんて言えないのです!
「ヴァイス。そのしっぽで攻撃されたら、私死んじゃうからね!?」
『ふんっ』
ヴァイスが崩してくれた場所を鑑定スキルで確認してみると、所々にミスリルが転がっている。ここ、本当にミスリル多くない?
まあでも、おかげで沢山ミスリルを拾う事が出来た。普通の鉱山じゃこんなに見つからないと思うんだけど、異世界の鉱山って不思議だね。
「沢山取れたよ~」
『よし、ではドワーフの街へ行くか』
「うん、お願いします!」
またヴァイスに乗って今度こそドワーフの街へ向かう。ヴァイスに乗って飛んでいると、すぐにドワーフの街の近くに着いた。少し手前で降りて、ヴァイスから降りて歩いて向かおう。
ドワーフの街に着いて街の中に入ると、ここは王都と違って石造りの家が並んでいる。街に入るとなんだか少し暑くなった気がする。
「なんだか暑い気がするね?」
『まあそうであろうな』
「ん、どうして?」
『鍛冶屋ばかりだからな。武器に調理道具、作業道具いろいろ作っているからな』
「なるほど」
まさかのドワーフの街全体で鍛冶をやっているお店が多いとは思わなかった。だから街に入るとなんだか暑い気がしたんだね。
確かに鍛冶をするには火の温度が凄く高いもんね。これは気温を遮断するアクセサリーを付けといた方が安全かもしれない。
まずは街の中央に鍛冶ギルドがあるみたいなので、そこに行ってどこに行けば良いか聞いてこよう。ヴァイスもギルドに行った方が良いって言ってくれたので、中央まで歩いて行く。
やっぱりドワーフの街だけあって、街を歩いている人が背の低いドワーフが多いね。他の種族も見かけるけどね。
ドワーフの街は冒険者ギルドよりも商業ギルドよりも、鍛冶ギルドが物凄く立派だった。
「なんか鍛冶ギルドだけ、物凄く力が入って作られてるね」
『そりゃそうだろうな』
「まあ、そんな気はするけれどね。ヴァイスは知り合いとかいるの?」
『いや、我の所にくるやつはおらんからな』
「そうなんだ。それはなんだか寂しいね」
『今はカノンと一緒で楽しいから、気にしなくて良いぞ』
「そっか。じゃあ、楽しい事沢山して、美味しい物たーくさん食べようね!」
『うむ、期待してるぞ』
ドラゴンの寿命が長すぎるんだろうね。そう考えるとやっぱり切なくなってしまう。私がいる間に沢山楽しんでもらわなきゃね!
鍛冶ギルドに入ってまずは受付のお姉さんに、この街でお勧めの鍛冶屋さんとか調理器具を扱っているお店などを教えて貰った。
まずは調理器具から買おうかな。受付のお姉さんに聞いたら、ギルドを出て右に行くと6軒目にあるらしい。
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ」
お店の中に入るとドワーフの女性が店員さんをしている。ヴァイスも一緒に入って大丈夫だそうなので、お店の中をゆっくり見せて貰う。
「ヴァイス。調理器具が沢山だよ!」
『沢山買って置いたらどうだ?』
「それも良いね」
お鍋とか色々買い込んだけど、欲しかった包丁が見当たらない。
「すみません。包丁が欲しいのですが、ありますか?」
「包丁だったら出て右にある鍛冶屋さんで作って貰えますよ」
「そうなのですね、ありがとうございます」
お鍋の大きさだけでも色々なサイズがあって、凄く楽しかった。私が持っている一番大きなお鍋よりもさらに大きいお鍋があったので、思わず買ってしまった。
子供達と食べるにはこのサイズがあっても良いと思うんだよね。
調理器具を売っているお店を出て、右にあるお店に入ってみる。中にはドワーフの男性が作業をしている。
「こんにちは。あの、包丁を作って欲しいのですが、大丈夫ですか?」
「すまねぇ。悪いが、当分作れねぇんだ」
「えっ!?」
なんだかドワーフさんはしょんぼりしているみたいに見える。何かあったのかな?
「何かあったんですか?」
「いやいや。客に言える事ではないんだ……」
そう言われても、こっちも包丁が欲しいんだよね。せっかく来たのに当分作れないと言われてもしょんぼりすぎる。
『カノン。ミスリルを出してみろ』
「う、うん。こんなのもあるんですが?」
そういうとコトンとテーブルにミスリルを置いた。そうするとドワーフさんの目がキラン! と光った。だけど、次の瞬間にはしょんぼりした顔になった。
『ふむ、これでもダメなのか。次はオリハルコンだ!』
ゴトンとオリハルコンを取り出す。
「な、なんだって!? これをどこで手に入れたんだっ!?」
「鉱山ダンジョンで手に入れたんですけど、これでもダメ……ですか?」
ドワーフさんは物凄く葛藤している。10分程難しい顔で考え込んだ後、口を開いた。
「それがなぁ……儂の大事な酒がなくなってしまったんだ」
(お酒?)
「しかも、その酒が次に入るのが1カ月後でな。儂は酒がないと仕事は出来んのだ!」
思わずずっこけそうになったよ。まさかお酒がないからってお仕事を断られるとは思わなかった。私の包丁が……。
『カノン。あれを出せ』
「あれって何?」
『あの度数の高い酒だ!』
「えっ、あれはダメでしょう!?」
「どうしたんだ?」
そういえばヴァイスの声が聞こえないんだった。ヴァイスが声を聞こえるように魔法を使ったみたいだ。
『カノンがうまい酒を沢山持っているんだが、飲みたくはないか?』
「何っ!? うまい酒だとっ!!」
2人の圧が凄いな。そんな目で見られたら出さない訳にはいかないね。アイテムボックスから色々な種類のお酒を取り出す。
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