表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

1、はじまりはじまり


「おっ目が覚めた?おはよう。」


「ふわーあ、おはよう。」


「うん、おはよう。今日は晴れやで!」


「へぇー。」


頭が覚醒してくるとおかしい事に気が付いた。私は一人暮らしだぞ。なんだこの関西人(男)の声は。私はキョロキョロと辺りを見回す。


「こっちこっち!」


近い場所から声がするのに部屋には私しかいない。


「誰?幽霊?」


「ちゃうちゃう。スマホ見てや!」


「スマホ?」


ふとベッドの枕元に置いてあるスマホを見ると、見た事ない男が画面に表示されている。誰?ベージュのスーツに身を包んだ、ショートボブ、前髪七三分けで髪色は焦げ茶のイケメン…じゃなくて!


「誰?!」


「ああー良かった。やっと目が合ったわ。全然起きひんしどうしたもんかなって思っててん。はー。」


とスマホの中で話し始める。なんなんだ。


「私の話は無視か?なんだ?」


「まあまあ、聞いてや。君のお名前は英怜、怜ちゃんやんね?」


首を傾げて私の答えを促す。


「そうだけど。」


「僕はね朔太朗って言うねん。朔君で良いから。」


めちゃくちゃいい笑顔で言う。ぱっちり二重の目が笑うと垂れ目になるのが可愛い。ってそんな事を言っている場合じゃない。


「朔君?」


「そう、いいね。仲良くなったらさっきゅんやね。単刀直入に聞くとアンダーグラウンドっていう格闘ゲーム知ってる?」


「アンダーグラウンド?ってゲーセンとかにある?」


もう10年前位、高校生の時にプリクラ撮りに行ったりした時にチラッと見た事があるような。って急に何?


「うん、そうそう。テレビゲームでも出てる1番有名な格闘ゲームやねん。で君さ昨日の夜、流れ星に明日、素敵な日になりますようにって言うたやん?」


祈る体勢になって目を閉じてスマホの中の男が言う。シスターか!じゃなくて!


「えっ!…ああ、うん。」


そういえば我ながら26にもなって…。恥ずかしいって何故それを?


「神様がそれを叶えてあげるって決めはって、じゃあ誰がやる?ってなって僕と目が合って彼女の夢叶えてあげてって言われたんよ。」


「うん。」


「それで怜ちゃんを調べたら乙女ゲームが大好きって分かったから、乙女成分を増やす薬を手に持って、さあ世界に垂らすぞーってなった時にふと普通じゃおもんないなぁって思ってん。」


相槌を促すようにうるうるとした瞳で言う。仕方なく相槌をうつ。


「はあ、それで?」


「その時にね、ふとアンダーグラウンドのパッケージが見えてこの世界観とキャラクターを盛り込んで乙女成分を垂らせばおもろいやんけってなって。怜ちゃんの元の世界にアンダーグラウンドの世界を融合させて乙女成分を10滴垂らしたった。おめでとう乙女ゲームの主人公でーす!」


「待て待て待て待て!意味が分からん!ちょっと朝から追い付かない!」


なんなんだ!なんの話だ?全くわけわかめ。


「ふははは。ほんで僕は怜ちゃんのお助けキャラクターの朔君。覚えて帰ってや。」


「ちょっと待って整理しよう。とりあえず私は流れ星に明日素敵な日になりますようにって願った。そしてそれを叶える仕事を朔君が受けた。」


「うん、そお。」


意味が分からんがとりあえずそこまでは良しとしよう。


「ほんで私が乙女ゲームが好きだからそういう世界に変えてくれた?」


「関西弁やん、そうか怜ちゃんのおかんが関西人やったな。そうそう。他の世界なら5滴で良いところ奮発して10滴入れたからモテまくりやで。」


そ、それはどうなんだろうか。嬉しくないし、その情報はどこから?後1番重要な事。


「で、アンダーグラウンドとは?」


「地下闘技場で素手で闘い相手が立てなくなるまでやり合う。観客はどちらが勝つか賭ける違法な賭場で優勝者にはとんでもない優勝賞品が贈られ裏社会で恐れられ崇められる。主人公が、闘技場アンダーグラウンドで拳ひとつでのし上がっていく格闘ゲームやで。」


「そこよ!なんで急にハードボイルディじゃない?乙女ゲームなんでしょ?」


「怜ちゃんおもろいなぁ。ハードボイルディって。だって普通の乙女ゲームやと怜ちゃんはほとんどやってるやん。恋にはスリルも必要やろ?ちゃう?」


「えっ?な、えっ?」


「普通の乙女ゲームじゃ経験できないような、心をぐちゃぐちゃにされて振り回されて社会生活、全部壊されて息もたえだえになるような恋したいやろ?」


「したくない。」


「ええー。なんでなん!なーんて分かってました!朔君賢いからね。」


「じゃ、アンダーグラウンドは入れてない?」


「入れてます!そこで僕やん、助けさせていただきますぅ!」


「朔君?役に立つん?」


「たちます!情報バンバン流しますやん!」


「ああ?それ以前に世界を戻せよ。どうせそこから出れねーんだろうが。」


「あーはん、それは無理です。」


「はあ?」


「世界は戻せないっすね。まあええやん楽しもうや姉ちゃん。とりあえず茶しばくか。ほら今日は休みやろちょっとお茶でも入れて聞いてや。」


何故、我が威圧されなければならないのか?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ