動くゴミ。動かない虫
これは、どちらだ。
ゴミか、虫か。
虫は苦手だから、拾えない。
ゴミも苦手だが、拾うことは出来る。
15秒経っても動かなかったら、それはゴミだと思え。
1ミリでも動いたら、それは虫だと思え。
そんな基準で生きてきた。
しかし、例外も少なからずある。
ゴミだって、風を受ければ虫と化す。
虫だって、生き絶えていればゴミと化す。
これは、どちらだ。
いったい、どっちなんだ。
考えているうちに、その点のような黒は無くなっていた。
ゴミのようで、虫のようでもあった物体は、突然消滅した。
それは、僕の脳が作り出した偽物だった。
虫ではなかった。
ゴミでもなかった。
ゴミなのは、僕の方だった。