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5

「アタシの名前はディアナ、アンタは?」


 部屋に着くと、着ていた服を脱がされて綺麗な服を渡された。お風呂にも入れさせてもらい一段落する。頭に巻いていた布をほどくと、露になった黒髪を見て驚かれた。


「美雪です。色々してもらって、本当にありがとうございます」


「良いのよそんな。それよりミユキって変わった名前ね……どこの国の言葉なのかしら?」


暫く考えたあと口を開く。


「うーん……まあいいわ。とりあえずどれだけ覚えてるか教えてちょうだい?例えばこの国」


首を横にふると、困った顔をされた。


「ほんとアンタに何があったのかしらねぇ?」


じゃあ……と言って、説明を始めた。


 この国には《昼の民》と《夜の民》がいる。昼の民とは、いわゆる商人や貴族の事だ。一方、夜の民とは、夜に開く店の人、もしくは第一次産業者の事を示しているそうだ。朝の六時から夕方の十八時までが朝の民の行動時間で、それ以降から朝の六時までが夜の民の時間だという。


「で、もう一つ朝と夜の大きな違いがあるのは、黒が含まれるかどうかという訳で……」


 髪や瞳などに黒がある場合は、確実に夜の民に割り当てられるという。実際に店の客もどこかに黒があったことを思い出す。つまり、私も夜の民というわけだ。


「アンタみたいに、髪も目も黒い子は滅多にいないわよ?だから、絶対に昼に外に出ちゃ駄目よ?」


コクリと頷く。


「でもまあ、それなりに黒を持つ人間もいるし、夜に騒いでも怒られることもないし、差別されてるわけでも無いからね~。今の王様が厳しい人だから仕方ないのよ」


「今までは違ったんですか?」


「そーよ?今の王様の息子が黒の瞳を持つ女の人と逃げたのよ。子供と奥さんをおいて。それに怒った王様が接触禁止にしちゃったの」


 王様はわがままで息子は悪い人だ。だがこの政策は余りにも厳しすぎる。人間関係が完全に分断されてしまっているではないか。


 ガチャ


「出来れば、その話はしないでくれ……」


入ってきたのは旦那さんだった。


「アタシの夫のクラウスよ。さっきの話の張本人ね」


「どうも」


 苦笑いをしながらクラウスは、器を渡してくれる。中には熱々のスープが入っていた。


「えっ!あなたが!」


「い、色々あったんだ……」


 アハハと豪快に笑うディアナ。今度ぜひ聞かせてもらおう。


「ところで、ミユキはこれからどうするの?良かったらここで働かない?お給料も出すわよ」


「ぜひお願いしたいです!」


 どれだけここで生きていかなければならないのか分からない以上、とても助かる。へまをしないように気を付けなければならない。


「よし、じゃあ決まり!これからよろしくね」


そう言ってディアナは、にっこり笑った。


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