表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/42

番外編(2)美雪とライナルト

「ち、ちょっと待ってよ!先に行かないで!」


「ここがミユキの言っていたショッピングモールという建物か!」


手を繋いだまま勢い良く歩いて行ってしまうライナルトを必死に止めようとするが、私の声など全く聞こえていないのか先に先にと進んでしまう。入る前から既に疲れていたが、こうなった原因が私にあったので何も言えなかった。


数日前、鏡を使って戻ってくると熱烈な歓迎をされた。私より前に美月先輩も帰ってきてテオ君から熱烈に歓迎されたと言っていたのを思い出す。ライナルトの部屋に強制的に連れ込まれると、エメリヒとクラウス一家が部屋にいて団欒をしていた。そして私の顔を見ると集まってきて強制的に座らされる。次々と私が帰ってからの話を質問攻めされた。お土産にお菓子を買っていたが秒で無くなった。


「これ美味しいね!?それよりミユキの住んでいるところではどんな生活をしているの?」


ディアナはモグモグと食べながら私の生活について聞いてくる。仕事のことや休日に美月先輩と服を買いに行ったことを話しているとショッピングモールという単語に皆が食いついてきた。雑貨から服、食事も摂れる最強の建物であると説明したところ目をキラキラさせて行きたいと言いだした。


「じゃあデートとして俺が一緒にそのショッピングモールに行くのはどうかな?」


ライナルトは人数分の珈琲を準備してちゃっかり私の横を陣取ると、これまでにない嬉しそうな表情で私に話しかけてくれる。付き合ってから二人は何もできていなかった事に気づいて周りの皆も全員で行くのを諦めてくれた。そしてデートとしてショッピングモールに行くことが決まったのだ。それから慌てて家に戻ってネットで男性の服を買ったり自分の着ていく服を選んで当日の今に至る。とりあえずで買ったシンプルなコーデを完璧なまでに着こなしたライナルトは注目の的になるのは当然だった。まず脚が長い。そして目の色や髪色も珍しいので余計に目に入ってくるのだろう。そして目に入った高身長の男性の顔面が美しすぎたら視線を逸らすことができないのは当たり前だろう。


「一つの建物に沢山の店が入っているなんて斬新だな。でも補強ができるなら俺の方でも建てられるだろうか…」


次期王子としての役割もしっかりと果している。今回はデート兼自分の国の発展に使えるものを探すと言っていたのでお手伝いできるのは彼女として嬉しいことだった。


「じゃあ行こうか」


歩幅を合わせてゆっくりと歩いてくれる。繋いだ手を嬉しそうに左右に振るとこっちを見てニコニコしてくれる。ライナルトは明らかに浮かれていた。ふとポケットに財布が入っているのに気づいた。それについて聞くと、財布を見せてくれる。その中には諭吉さんが大量発生していた。どこから錬金したお金なのか慌てて問いただすと不思議そうな顔をして教えてくれる。


「この前、エメリヒにダイヤモンドを持たせてこの国で換金してもらったんだ。小さいので良いと言うから渡したがまさかここまで高額になると俺も思ってなかったよ。これで買いたいものがたくさん買えるな!」


純粋に笑っているライナルトに人前で財布の中身を迂闊に確認しないように何度もお願いしておいた。それからのライナルトの行動力は半端なかった。まず最初に入ったのは誰もが知っている服を売っている店だ。服の形があちらとは違うので興味津々で店内を歩き回っている。気になったものを試着できると言うと、早速何着か選んで試着をしていた。結論から言おう、余りにも格好良すぎた。奇抜なカラーをしている服でさえ着こなしている高身長モンスターが目の前に立っていた。自分の身長を基準にしてズボンを買っていたのに踝が出ているのもあったので思わず笑ってしまった。近くにいた店員さんが私に向かって話しかけてくる。


「彼氏さん何でも着こなされてますね」


「そうですね、私もびっくりしました」


「ねえ、ミユキはこれどう思う?」


結局試しに着てみようと言っていた服を全部購入してとんでもない金額になっていて目をひん剥いたが、本人は何も気にすることなく購入していて改めて坊ちゃんであると実感した。ついでに買った商品を鏡から自室に入れていたのでどれだけ買ったも重たいなどの問題はない。それは助かる。


次にご飯を食べることになって歩いていると、見覚えがある集団がいた。会社の同僚が数人で遊びに来ていたらしくバッチリ目が合ってしまった。普段なら私のことなど気にすることなく無視して横を通り過ぎていただろう。だけど今回はライナルトが隣にいて状況が違う。それに最近私の薬指に指輪がはめられていることが職場で噂になってることも知っている。咄嗟に逃げようとしたが間に合わなかったのだった。


もう少しだけ続きます!

では一週間後

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ