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時間に間に合いませんでした!
「お父様は生きてたのですか?」
信じられないという表情をしてクラウスを見つめているライナルト。そのまま勢いよく近づくとクラウスと机越しに向かい合わせにすることになった。
「うわー!カミルに似てるわね」
ディアナは空気感をぶち破るように発言をした。どことなく漂っていた緊迫感がなくなってしまいライナルトは苦笑いをした。そして向かい合わせになっている席に座った。私もライナルトの隣にある席に座る。
「本当に久しぶりだね。元気そうで安心したよ。ノーラは……いや、テオは元気にしているか?」
「ええ、テオは元気にしてますよ。最近は好きな人ができて周りや相手の人に迷惑かけているのに気づかず走ってますよ」
親子なのにどこか遠く感じてしまう二人の距離にもどかしく感じてしまう。それを感じ取ったディアナは立ち上がった。
「よし、なんか距離感おかしいから一緒にご飯を食べなさい!そうしたら自然に話せるようになると思うから!ミユキとカミルも手伝って」
そのまま持ち上げられるようにして厨房に連れていかれる。久しぶりに会った親子の再会にはちょうどふさわしかった。
ーーー
「すごく美味しいですね」
机には豪勢な料理がたくさん並んでいた。その中の一つを食べるとライナルトは目をキラキラさせながら言った。
「それわね~確かミユキが作ったやつよね?」
「ライナルトの口に合って良かった」
私は言った後に新婚みたいなことを言ったなと感じると同時にライナルトが口を開いた。
「あ、それ新婚さんみたいだね」
カミル君はヒュー!と言ってはやし立てる。その言葉に照れてしまって顔を上げられなくなった。しばらくワイワイ言っていたが、それが終わるとライナルトが本題を話し始めた。
「お父様、俺と一緒に城に帰ってきてくれませんか?お祖父様にこの国の制度を廃止にしてもらうために直訴しようと思っていて。貴方が来てくれたらできる気がして」
「私が来ることで?それはこの制度を作らせた元凶の私を父さん……いや王様に会わせるってこと?怒らせる自信があるけど」
クラウスは困ったようにライナルトの顔を見ている。
「でも俺は好きな人が夜に行動できないから父さんが解決してくれたら助かるんだけど。それにあんたも何とかしないといけない一人なんでしょ?頼むよ父さん」
カミル君の彼女さんと会うには隠れて来てもらうしかないと何度も嘆いているのを見たことがある。前も隠れて来てもらっていて大変そうだった。ライナルトとカミル君の熱い視線に根負けしたクラウスはため息をつきつつ言った。
「わかった、じゃあ具体的に決まったら呼んでね。どうせあの抜け道使ってるんでしょ?」
「ありがとうございます!父さんが仲直りしてくれたら解決すると思うんです」
嬉しそうに話すライナルトを見て、本当に解決してほしいと思ってしまう。
「よく考えたら親子喧嘩に国民巻き込んでるの頭おかしいでしょ」
ド正論を呟いたカミル君の声は意外と部屋に響いて、クラウスは胃の辺りを黙っておさえていた。