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今回はめっちゃ短いです
「お嬢さん迎えに来ましたよ」
リングから声が聞こえる。それと同時にエメリヒは部屋に入ってきた。
「よし、行こうか」
楽しみの余り抱き上げられた瞬間、自分自身もジャンプをして腕の中から抜け出すと、エメリヒの肩に乗る。そのままスリスリしていると、エメリヒは吹き出した。
「君、すっかり猫らしくなったね」
「それなりに猫やってますから」
エメリヒが他の人とすれ違うごとに羨ましがられている。暫く歩いていると、大きな図書館に着いた。しかし本を借りるのではなく、部屋の一番奥の本棚の前に立った。その隣には、関係者以外立ち入り禁止と書かれた看板のある部屋がある。
「ようこそ。ここが秘密の部屋だよ」
一番下の段にある赤い本を取り出し、そこに手を入れること数秒。カチッという音が鳴った。それと同時に、隣の部屋の扉が勝手に開いた。
「ここが僕の部屋だ。ゲストを呼んでくるから、少し待っててね~」
床に着地をすると、辺りを探索し始める。と言っても、本ばかりだし読めないものも多い。それにそろそろ変わる時間のようで、段々と眠くなってくる。
〈凄く殺風景な部屋だな……ソファを借りよう〉
部屋のソファで丸くなると、私はそのまま眠った。
次に目を覚ました時、同じタイミングで部屋の扉が開いた。起き上がると、自分が人間の姿に戻っていることを確認する。どうやらゲストの到着だ。一体誰だろうと思いながら見ていると。
「エメリヒこんなところに住んでたのね」
聞き覚えのある声に、思わず立ち上がってしまった。この声は……
「姫野先輩!」
「村上さん!」
相変わらずの美貌を兼ね備えた先輩が立っていた。




