土下座は危険デス
~5分後~
「ハァ....ハァ....ハァ....」
少年は息を切らし片ひざをつく。
「くそ~、なんなんだ、この鉄人間は....」
そんなことを言っている、少年を見て、青年は何だかめんどくさい奴を助けてしまったのだなと思いながら、手を差し出した。
少年は鉄人間から差し出された手を見て。
「鉄人間....無口だけど....お前実はいいやつなのか....早く言ってよ!」
そう言って手を取り、立つ。
青年はあることに気が付く。
(さっきから俺の声が届いていない、言語の壁とかでなく、俺の声、いや音が出てないのか。)
そう考えているうちに少年は自己紹介を始めた。
「叩いてごめんね、僕の名前は・・って言うんだ。よろしく鉄人間!」
そう言った少年は右手に木の枝そして髪はモジャモジャ、服はボロめで、肩掛けバッグという外見だった。
そう言って少年は満面の笑みを浮かべこっちをじっと見ている。
青年は少年の勢いについていけず、呆れながらも、声がでないなら、何かしらアクションを起こさないといけないと思い、手でグッドマークをした。
青年は関わるとめんどくさそうと思い、その場を離れようとしたが....
「ちょっと!!コレ要らないの!?」
そう言って少年は大きな声でさっき飛び膝蹴りをしたモンスターを指差す。
(?)
青年は状況を理解できず棒立ちの状態でいる。
「な~んだ、鉄人間知らないんだ~、へ~、そうなんだ~」
少年は少しバカにしたような態度でいる。
(なんか、イラつくな....助けない方が良かったかもな)
青年は少し後悔した。
「まぁ、見てなって!」
少年はそう言い、肩掛けのバッグから、ナイフを取り出し、モンスターの脇腹近くを切り裂き、腕を突っ込む。
(うわー、グロすぎる)
そう青年が思っていると....
「あった! よいしょ!!」
少年は勢いよく手を引き抜く、その手にはキラキラと輝く宝石のような物が握られていた、大きさは5センチほどである。
「特別に教えてやるよ! 助けてくれたしな!これは、魔法石って言うんだ。 魔法を楽に使えるし、需要があるから高く売れるだ、大体このサイズだと、500ンエぐらいかな。」
少年は自信満々にそう解説し、その魔法石を渡してきた。
青年は半分以上理解できなかったが、その魔法石を受け取った。
(!?)
受け取った魔法石は粉々に砕けた。
決して潰したわけではない、一瞬で粉になったのだ。
「お、おい、なにしてんだよ!」
少年は何が起きたのか解らず、困惑している。
だが、青年は何が起きたのか解っていた。
魔法石が砕けた瞬間、バッテリーが充電された気がしたのだ。
(バッテリーが充電された気がしたが、雀の涙ほどか、この方法の充電は効率が悪すぎるな....)
そう考えていると....
「おい! やってくれたな! 俺の500ンエを! 見せるために渡したのであって、壊すために渡したんじゃない!」
少年は激怒し、棒を振り回している。
少年の怒りを見て青年はどうすれば良いか分からないのか、おどおどしている。
そんな青年を見てさらに少年は激怒する!まるで、楽しみにしていた三時のおやつを誰かに食べられた時のように....
ズサー
青年は何故か土下座をした。
土下座をするほどでもないように思えたが土下座をした、青年は、人と今までの関わってこなかったことにより、年下だろうが、怒っている人が怖かったのだろう。
「!? お、お前」
少年は先ほどまでの怒りは演技だったのかと思うほど、今はキョトンとした顔をしている。
「別に、服従の儀式をするほど怒ってた訳じゃないよ!」
土下座をした青年に向かい少年はそう言った。
(?? 服従の儀式??)
青年は土下座をしただけだと思っていたが、この世界では日本の土下座の分化は無いらしい。
後から知ったのだが、土下座は服従のポーズというらしく、語源は動物などがする、ふせの姿勢から来ており、今後その者に忠誠を誓うという意味のものだった。
キラーン
青年の胸が光り、謎の紋章が現れる。
どうやら儀式が完了してしまったようだ。
「うーーむ、従者にするつもりは無かったが、なってしまったものは、仕方ない鉄人間を従者にしてやろう!」
少年は仕方なさそうな事を言っているが、顔からはにやけが漏れ出ていた。
(ちょっ、そんなつもりじゃな........)
「よし! と言うことで出発だ! ついてこい!!」
青年は弁解しようとしたが、少年は慌てる青年を気にすることもなく、森の中へと進むのだった........
この世界の通貨単位は"ンエ"と言います。
100ンエで大体パン一つ買える感じです。