短編 米食う人々(無駄に魔王っぽく)
昨今、日の本の国では米の消費量が減っているという。
しかし、転生、転移、憑依、とにかく元が日の本の国で暮らしていた者達の大半は、米飯を求めるのだ。
習慣も植生も違う異世界にて、無謀にもそれを求める愚か者どもだ。
それを彼方から見るたびに思う。
お前ら、繊細なふりして、ホームシック煩うほど、毎日米を食っておったのか?と。
知っておるぞ。
祖父母の時代ならともかく、そなた等の生きる今は、飽食の時代。
世には美味いものが多すぎると。
つまり、米なんぞ食わんでも、生きていけるであろう?と言いたいのだ。
ん?
米飯は日の本の魂?
日の本の心?
なぜお前等は、そこまで米飯食を求めるのだ?
無くてもいいではないか。
わざわざ飯盒なる鍋を使い、貴重な水を無駄にしてまで米飯を得る様は、不恰好の極み。
愚か者の所業なり。
無洗米?
そんな、文明発展の末に調達可能になった不自然な食材が、異世界にあると思うな。
カレーにはナンやチャバタをあわせろ。
牛丼は饅頭で包み、牛丼まんにしてしまえ。
カツはパンでサンドにしろ。
味噌汁だって、強引すぎるが、味噌煮込みうどんの様相にすればいい。
ハンバーグだって、バンズがあればいい。
ほら見ろ、米飯がなくても、困らぬであろう?
米を食わない若者への危機感?
そんなものはない。
種類は多々あれど、米飯文化は他の多くの地域でも古くから続いているし、日の本オンリーの特殊食材ではないのだぞ。
まあこの国に、無駄に研究者気質、職人魂の国民が多い結果、極所ガラパゴス化しているとは言えるだろうが。
結論として困るのは、オムライスや炒飯くらいか。
あれは、さすがにパンやパスタでは代用できない。
米粒サイズのパスタもあるが・・・何かが違う。
と、ご飯を炊き忘れ、今晩のリクエスト、子供大好きオムライス!がトマトソースのパスタになった言い訳を考えてみた。
大好きなお話風にして見たけれど。
我が子よ。
そんな可哀想なものを見る目で、親を見てはいけません。
・・・ごめんなさい!
トマト味がかぶるから、明日は無理だけど、来週オムライスにします!
え?先にサツマイモご飯を作れ?
ちらし寿司?
そぼろ丼?
パエリア?
親子丼?
シーフードピラフ?
ドリア?
それから鳥おこわ?
我が子よ、お前は何でそんなに米飯が好きなのだ?!
え?とりあえず鮭のおにぎり?
そこは梅干しじゃないのかねぇ?