現金商売 錬金術に見せかけた
現金商売、特に個人商店や小規模スーパーは潰れにくい業態です。まぁ度合いによりますが。
というのも在庫、店の陳列商品を減らせば一時的とは言えキャッシュフローに余裕が生まれるからです。
馴染みの無い方にも解りやすく書きますと
商品の流れ
1 メーカー・問屋から仕入れる
2 お店に並べる
3 一般のお客さんに売る
お金の流れ
1 お客さんが店に 現金 で払う
2 お店がメーカー・問屋に 掛け(ツケ) にする(要は買掛金)
3 メーカー・問屋は後日お店からお金を貰う
となります。
掛け売りという信用取引が2と3の間、お店とメーカー・問屋の間で行われます。
これはお店側に信用がないと出来ませんしメーカー・問屋にその間持ちこたえるだけの余力が無いと成立しません。まぁメーカー・問屋も原料仕入先などに同じように買掛金で仕入れている場合が普通ですが。
つまりこの流れで見ると、お店は現金で物を売る分、一~数ヶ月の支払い猶予が有るのです。
もしお店でお金が少ない(売り上げが少ない)! となった場合でも、全く売れない訳でもないと仮定して仕入れる量を抑えれば一時的な苦境ならば意外と乗り越えられたりするのです。
それまで1ケース30個入りの商品を在庫が15個まで減ったらまた1ケース仕入れていたとしてます。
それが極端な話在庫0になってから発注入れればMAX45個だった在庫が30個となります。
支払いも仕入れのタイミングにもよりますが理屈としては減る、というよりも15個分現金が手元に残る訳です。だってちゃんと現金で販売して在庫が減れば残る現金も増えて支払いも減りますから。
元々適正在庫で回していれば逆にこんな事も出来ないと言えば出来ないのですが小売店の場合は在庫を0にしても「いやぁメーカー欠品中でねぇ」と品切れ扱いに出来ます。チャンスロスにはなりますが回転率の低い商品であればギリギリで回すのが資金効率としては良いのです。
まぁやってることは在庫整理であってタコが己の足食ってるようなもんですけどね。
ちなみに最終奥義も有ります。
そのお店独自の商品券です。割り増し商品券という奴ですね。
これは未使用残高(発行された額面金額でまだ商品と交換していない分)が700万円を越える場合は財務局に届け出を、1000万円越える場合は法務局に供託(倒産に備えて預けるお金のこと。倒産した場合その供託金を債権者、つまり商品券を買った人に分配して補填する)しなくてはいけません。届け出せず勝手なことすりゃ罰せられます。
知るか! というところも過去にいくらでも有りましたし今でも有ります。
5割増し商品券とか銘打ってそのお店でしか使えない商品券を大量に売りさばきある日突然とんずらこく会社など未だに有ります。
一般消費者が知らなくても不思議ではない盲点であり天に唾するようなことをする会社経営者は単なる詐欺師です死すべし死すべし恥を知れ恥を知れ。
中学生のころ、レンタルビデオの回数券で私は騙されました。10本分の料金を払うと15本借りれる、期限は無い、と言われ喜々と買ったのです。その数日後には倒産、というか夜逃げしてました。子供のお小遣いにとっては大打撃です。こういう詐欺は未だに許せませんし思わずカッとしちゃいます。
勿論その手の商品券すべてが悪い訳じゃありませんからね?
ただ、急に猛プッシュしてきたり妙に安い特売が増えてたりしたら怪しいです。かなり怪しいです。
メーカーや問屋の場合ですが最終奥技が有る場合も。これは資金繰りが怪しい会社でよくあるパターンなのですが手形で支払いを受けとっている場合、その手形を割り引いてですが売ってすぐに現金化する場合が有ります。勿論合法な業者に売れば合法です。
これはリスクや手数料が加味されていて、割引きされますが銀行や業者で期日前に現金化することが出来ます。売るほうにとっては金額的には損してますけどね。でもその位お金が無い、経営がやばい、ということにもなり、ある意味で断末魔とも言えます。
ちなみに手形とは「何日後(○月○日)にお支払いしますよ券」で銀行に持って行くとその指定日から現金化出来ます。その間は銀行では額面通りには現金化出来ません。小切手は発行日からすぐに現金化出来ます。
正規の手続きで手形を現金化=その手形を発行した会社の銀行口座から引き落としされる訳です。
で、口座のお金が足らないとその手形(小切手も同じ理屈)で不渡りとなり、それが二度発生すると銀行取引が出来なくなるなど実質首が締まる訳です。
まぁこのあたりは個人のクレジットカードにも通じるものがあるのでまた別の回でそのあたりにふれてみたいと思います。