割引 原価 弁当 惣菜
昔の勤め先の関係でちょっと飲食・食品関係に詳しいと自負しております。
今時のスーパーマーケットをGMSと呼んだりします。コンビニはCVSです。
個人経営レベルのスーパー(1~3店舗位だと解りやすい)だと、賞味期限切れ間近の生鮮品を総菜や弁当に加工して売るのは当たり前です。
むしろ総菜の成り立ちの一つとして廃棄するより加熱して売ってまえ! が挙げられます。勿論、高度経済成長期からの食文化の多様性や核家族化、共働き等々様々な社会要因が関わってきますが廃棄ロスの受け皿を作る、という活路であったのも事実です。
さて、そんなことより一般的な弁当・お総菜の原価ってどんなもんだと思いますか?
まず、総菜・お弁当でも仕入れ商品という物が有ります。
要は内容表示ラベル(原材料とか書かれてるシール)の製造者欄にそのスーパーではない名前が書いてたら仕入れでアウトパック商品(外で製造・パックされてる商品)という物です。
ではそのスーパーの名前が書いて有ればそのスーパー手作りかというとそうとも限りません。真空パックされた大袋に入ったサラダを小分けすればそのスーパーが製造者として表記されます。
これは法律の絡みで、Aメーカーの真空パックされたポテトサラダをBスーパーが小分け→空気に触れる→状態変化が始まる→表示責任者はBスーパーになる、のです(温度変更者とかも有りますが、毎年毎年食品表示の決まり事は変わるので割愛)。
つまりは『奥さんや恋人がデパ地下やスーパーで買った総菜を家で開封、皿に盛りつけしてあたかも自作のように出すのは食品表示法の観点からすればあながち間違いではない。買った総菜=買った人の手作り』という事である。
妙に食費高くない?手作りじゃないんじゃない?てかこれデパ地下の味ぽいよね? と私が疑っていた元彼女に色々な兼ね合いで喧嘩した際に逆ギレで上記の屁理屈をほざかれました。
その時は呆れてしまい
『お、おう。そうだな。美味しいよな、買った総菜』
と流そうとしたのに
『何、私の料理が不味いって言いたいの?』
と追撃されたので
『言わないよ。思ってるけど喧嘩になるから絶対に言わない。我慢する』
と若気の至りで嫌味を言った事があります。でも適当調理で不味いんだもん。不味いっていうか、一回食中毒起こしたもん。俺悪くねぇもん。何度教えても覚えないで独自レシピ展開するんだもん!
はい。
若い子は私みたいなアホな大人になってはいけません。
『男は黙ってサンドバッグ』が円満な彼氏彼女の関係を維持するのです。理屈じゃない。考えるな、感じるんだ! 異臭や違和感を感じたら『ちょっとコンビニ行って来る』と言って病院へGOだ!
さて。
マカロニサラダやポテトサラダ、ごぼうサラダなどのマヨネーズな練り物サラダ系が多いです。
あれは意外と仕入が高いため売値もそれ相応になるため売れ難い、そしてちょっと賞味期限が長いので中々値引きされない、という「死に筋商品」の一つと言えます。ただ並べない訳にもいかないアイテムでも作るのは特別に目玉商品として育てないと割に合わないので大抵のスーパーは高い高いと思いつつも外部から仕入れるのです。
最近アウトパックが業界的に増えているそうですがこれはスーパー側の人手不足が影響しているそうです。ただ急に工場も出荷を増やせる訳ではない&工場だって人手不足、なため思うようにはいかないようですが各店でパートを集めるより工場で集める方がアドバンテージが有るのは当然でしょう(その理由はそんな難しい話ではないのですがちょっと話が逸れるので違う機会に)。
消費者として見たとき、百g(1~2人分)のマカロニサラダ、198、238円で買うのは不思議でもないですが、そのとなりで350円、398円とかでお弁当やどんぶり物が売ってたりすればちょっと考えてしまうアイテムですよね。酒飲みだと「うーん、ご飯は要らないんだけど、でもなぁ」と長考してしまう瞬間な筈です。その筈です。絶対にそうです。そうじゃなければ人間じゃないです。酒は人類の友です。
198、298はお高いスーパーでなければ揚げ物で言えばコロッケとメンチカツが買えたり、とんかつ一枚買えたりする価格です。
高いとは言えない、けど安いとも言えない、それが練り物サラダ。勿論保管温度の違いも有りますので他のお弁当お総菜と同じく語るのはフェアじゃないですけど。
なかなか値引きされないとしたらそれは仕入の可能性が高いです。自社製品だと大抵が毎日作るものですし値引きされた商品を一緒に並べると売場に鮮度感が出なくなってしまい売れ行きがかえって鈍ります。つまり捨てた方がマシ、という状況にも成りかねないのです。作ったその日に売り切る、が手作り品の原則なのです。
さて、原価についてですが。
みなさん、半額引き以上って見たことあります?
あまり無いですよね。有っても値段修正はシールじゃなくて手書きだと思います。割引シールを作ってるメーカーのカタログを見たこと有りますが、一割~五割しか有りません。せいぜい%か割引表示かの違いだけです。
つまりそれが大まかではありますが答えです。
その店舗やスーパーの自社工場で製造している場合、絶対ではありませんが大凡原価率(人件費・光熱費を除く)は五割が目安だと思って良いです。
勿論、自社で米からご飯を炊いているか、総菜をどこから加工(冷凍か手作りか)しているか、どんな怪しい業者から食材や資材を買っているか、などで全然変わってきます。
食材も資材も仕入価格決定がオークション形式とか、共同購入とかボランタリーチェーンとか色々な要素が有ります。
私の知っている激安スーパーですと、
大盛りご飯300g
でかい唐揚げ4つ(ほか弁のを一回り大きくした位)
ポテサラちょっと
スパゲッティ数本(唐揚げの台座)
で店頭価格が250円というのが有ります。毎日売ってます。
ご飯は自社で炊いて、唐揚げは生肉から自社で加工、ポテサラは仕入、スパゲッティは自社茹です。
手作りで人件費を原価に入れていない&スーパーなのでドリンクや他の商品のついで買いを狙ってるからこそ出来る商売です。
まぁコンビニもついで買い要素は同じですが弁当だけ見るとコンセプトや見た目はともかく材料という意味では割高感が有ると個人的には思います。
つまり、前述のスーパーは弁当だけ見ると商売になっていません。
安い物には理由が有ります。ちょっと前に某カレーチェーンの未廃棄とんかつ流出事件が有りました。あのような後ろ向きな理由からの安さもあれば、前述のように企業努力としての安さも有ります。
まぁ某イ○ン系スーパーはおにぎりが凄まじく安く(六十五円~九十円?)販売されてますが、あれは総菜弁当工場からの仕入な筈です。
あれを始めて見た時「えぇ? 本当に? セールでもやってんの?」と思いましたが通常価格でした。そしてその工場に勤めている人と話したことがあるのですがほぼ工場出荷価格だそうです。
おにぎりって意外と高いんですよ。数を捌きやすいからおにぎり・サンドイッチは工場としては是非欲しいアイテムだそうです。
戦略商品かどうか、どういう製造・加工・流通過程を経ているかが割引率に大きく関わるのです。
本当にお得なのか、それとも値段相応なのか、企業努力なのか、きな臭い何かがあるのか、妙に安い商品が有ったら安さの理由を消費者として意識すると面白いかもしれません。