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本当の恋心はここに  作者: 梨
3/3

助言と操れる時間

この小説は、上海アリス幻楽団様制作の東方プロジェクトの二次創作です。

ゆっくりと時は流れて行く。私と魔理沙は霧の湖のそばに座り込んでいた。無言の中で、私は考える。

(永遠亭の医者も、パチュリーもダメだった。あと、薬を扱っていそうな人といえば、アリスくらいしかいないわね…でも、さっきのパチュリーの反応をみると、アリスのところに行くのも気が引けるし…)

不意に後ろで声がした。

「あら?そんな暗い顔をして、二人ともどうしたの?」

振り返ると、買い物かごを持った咲夜がいた。しばらく間をおいて、私はきいた。

「あんたこそ、どうしてここにいるの?さっきレミリアと話していたのが聞こえたのだけれど、いつの間に外ヘ出たの」

咲夜は買い物かごを両手で抱えながら言った。

「お嬢様が、今すぐに私手作りのケーキを食べたいと言い出してね。時間を止めてお店に行ってたの。今は帰り道よ」

「そうだったの…じゃあ、私たちはもう行k」

魔理沙が口をはさんだ。必死に嗚咽を我慢している。

「ちょっと…待ってくれ…相談があるんだが…時間…いいか?」

咲夜は考え込んだ。

「そうね。それって、私だけに話したいこと?そうでなければ、一緒にケーキを食べながらお話しましょうか。お嬢様もきっと、相談に乗ってくれるわ」

今度は魔理沙が考え込んだ。

「いや、レミリアには聞かれない方がいいんだが」

咲夜はそれを聞いて私と魔理沙の間にしゃがんだ。

「それなら、少し便利な術を使うわね。私たちがいるここら辺だけ時を動かすわ。ちょっと待って…」

桃色の空気が私たちを覆った。咲夜が魔理沙の話を促す。魔理沙は、霖之助さんに言われたことから惚れ薬を求めて永遠亭や紅魔館に来たことまでをそっくり話した。


少女相談中ーーー


魔理沙の話が終わると、咲夜は呆れたように首を振った。

「魔理沙…霖之助さんに惚れ薬を使って、あなたのことを好きになってくれたとしても、あなたは心から霖之助さんのことを愛することが出来るの?」

「…え?」

「惚れ薬で実った恋なんて、本物じゃないわ。ありがたみっていうのかしら。そういうものが足りない恋っていうのは、いつか壊れるわ。告白して断られたら、そんなくだらない手法を考えるのではなくて、なぜ断られたか、自分には何が足りないのかを、はっきりさせなくちゃいけない。魔理沙の場合は、霖之助さんとは親しい間柄だし、ズバリ聞いちゃうのもアリよ」

魔理沙は真っ赤になって首を振った。

「そそそそんなこと…できるわけないんだぜ…」

咲夜はさりげなくウインクをしてみせた。

「私にいい考えがあるの。霊夢、ちょっとこの人借りていくわね」

「ん?え?ああ、どうぞ」

「な…何する気なんだぜ…」

咲夜が指を鳴らすと、魔理沙の姿が消えた。ずっと止めていた周りの時間も動き始める。

「時間を止めて、魔理沙を抱いていったの。今ごろ、香霖堂にいるわよ」

私は少しだけ宙に浮かび、咲夜の手を引いた。

「魔理沙だけが向こうに行くなんて、ずるいと思わない?」


少女移動中ーーー


香霖堂についた。営業中だったので、何も知らない客を装って店内に入る。霖之助さんは、魔理沙と並んで椅子に座り、本を読んでいた。彼がこちらを向くと、その後ろから魔理沙が微笑みかけた。

「…ああ、いらっしゃい。今はこの通り魔理沙がいるんだけど…何か用かい?」

霖之助さんのその言葉を聞いて、魔理沙は彼の服を引っ張った。

「あ、あの、香霖…さっき私がもう一度告白したけど…それ、この二人が手伝ってくれたんだ…たぶん、そのことで来たんだと思う」

「え?どういうことだい、魔理沙?」

咲夜が言った。

「魔理沙ったら霖之助さんのことを好き過ぎて、霊夢と一緒に惚れ薬まで探していたのよ。それを私が見つけて、告白を断られた理由を聞きなさいって言って、時間を止めてここに連れてきたの」

「そういうことだったのか…魔理沙がいきなり目の前に現れたときは、さすがに驚いたよ」

「同じくだぜ…」

私は、ずっと気になっていたことを聞こうと思い、言った。

「それで…魔理沙を断った理由はなんだったの?」

霖之助さんは、真っ赤になって顔を背けた。

「僕は半妖だから…魔理沙みたいな人間よりもずっと長く生きる。魔理沙のことは大好きで、愛してるけど、一緒にいる間に離れ離れになったら嫌だと思って…」

魔理沙も言った。

「私は前々から香霖と一緒にいられるなら、できる限り長生きしよう、年をとったら、持っている魔力を全部使ってでも若返ろうって思っていて、そういう対策をしてもいつか訪れる運命(さだめ)ヘの覚悟はしてきていた。これを聞いたら、香霖も覚悟を決めてくれたって…」

二人は見つめあって微笑んだ。

「ずっと魔理沙のそばにいる。これは約束するよ」

「私も…絶対に香霖のそばから離れない。約束だぜ」

咲夜がカウンターに頬杖をついた。

「幸せそうね…いっそのこと、店外の時間だけ止めて、中で好きなだけ幸せになってもらいましょうか?」

「ずっと時間を止めてると、結界がゆがんでくるのよ。直すの面倒臭いから、やめてよね」

それから数時間後。紅魔館の辺り一帯に、レミリアと咲夜の声が響き渡った。

「咲夜ぁぁぁぁぁ!ケーキ遅いぃぃぃぃぃ!」

「すみませんお嬢様ぁぁぁぁぁ!つい寄り道を…ええ、ちょっと、それは冗談になりませんよグングニルなんて…ふええ、妹様まで!?え、本当にレーヴァテインとか死んじゃいますから、あああああぁぁぁぁぁ美鈴でも誰でもいいから助けt」


神槍 スピア・ザ・グングニル


禁忌 レーヴァテイン



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