図書館の知識と怒り
激怒したパチュリーって怖そうですよね…。いつも通り、行き当たりばったりで書きました。この小説は、上海アリス幻楽団様制作の東方プロジェクトの二次創作です。
思わず顔を背けたくなる魔理沙を見て、私は絶句した。この状態から、果たして彼女を救うことができるのだろうか。でも、今私ができることは、惚れ薬を探すことくらいしか無い。私たちは、無言で紅魔館へ飛び立った。
少女移動中ーーー
今日も紅魔館の門番、美鈴は眠っている。私たちは、厄介なことにならないように、静かに門、庭、ホールを突っ切った。いつもならナイフを投げてくる咲夜も、今日は見当たらない。小さく聞こえてくる声からすると、ここから少し離れた、レミリアの部屋にいるらしい。そんなことを考えながら、私は魔理沙の手を引いて地下の大図書館へ向かった。
少女移動中ーーー
カビ臭い地下で、パチュリーは一人で本を読んでいた。小悪魔は、彼女の後ろでパタパタ働いている。パチュリーは、私たちに気づいて、低い声で尋ねた。
「何をしにきたの」
私はパチュリーが読書の邪魔をされて不機嫌になっているのを肌で感じながら答えた。
「あんた、惚れ薬の作り方を知ってる?」
パチュリーは目を細めた。
「知ってるわよ。でも、ただで教えるわけにはいかない。誰のために作るの?」
私は返答に困った。パチュリーは魔理沙のことを愛している。霖之助さんのことを魔理沙が好きだから、と言うべきだろうか?…はっきりとそう伝えてはいけない。私はわかっていた。
「魔理沙が…想っている方がいるのよ」
パチュリーの目つきが変わった。病弱なイメージの彼女に力がみなぎってくる様だった。
「魔理沙が?想っている人?私に相談してくるということは、その人は私ではないわね…。そんな魔理沙、私の図書館にはいらない。もちろん、霊夢。あなたも。帰りなさいっ!」
今までうつむいていた魔理沙が私の袖をひいて走りだした。
「魔理沙!?」
「今は黙って逃げろ!」
私たちの後ろで爆発音がした。パチュリーのスペルカードが発動したのだ。
金符 メタルファティーグ
危ういところで弾幕を避けて紅魔館の外に出ると、魔理沙がまた泣きだした。
「ごめん、霊夢…怪我させちゃって…私の都合で…えぐっ」
腕を見ると、赤い線が肘から手の甲に向かって伸びていた。血が流れているし、一見すると重症に見えるが、魔理沙に言われるまで気づかなかったのだから、それほどでもない。私は魔理沙を気づかった。
「魔理沙…私の後ろにいたでしょう?怪我がひどいんじゃない?」
魔理沙は無言でボロボロの人形を取り出した。
「アリスの身代わり人形ね」
私は人形を魔理沙に返した。
「また今度、直してもらうといいわ」
魔理沙が無傷で良かった。だけど、心の傷は癒えていないのだろう。魔理沙が傷ついている限り、私の心の傷も治らない。
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