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第三話 魂から体へ

どうも、CIPHERです!らくださんの代わりに『牧野さん』をたくさん使っちゃいました!

「まあ、そんなに固くなりなさんなって。」

 絶句している二人に、牧野が言う。

手に持っている物騒な物とは対象的に、やけに楽しそうな余裕の笑みだ。 

「と、申されますが……」

 胸にポッカリと大穴を空けた小次郎が、眉をしかめながら答える。 

「確かに、こいつは使っちゃいけねぇ。」

 小次郎の胸に空いた穴を見ながら、武蔵は言う。 

「そうだろう。こんなもんを不用意にぶっ放しちゃいけないよ、実際。」

 牧野は、先程とは打って変わって真剣な表情だ。 

「貴方って……。」

「お前って……。」

 小次郎と武蔵は同時に呟く。 『変わり者』 

「はっはっはっ、良く言われる。」

 

「だろうな。」

 武蔵は率直に言う。 

「……」

牧野は無言で、武蔵に筒の先端を向ける。 

「お、おい!一寸待て!」

 幾ら死なないと頭で理解していても、小次郎の胸を見ると、流石の武蔵も怯んだ。 

「冗談だ。」

 牧野はニカッと歯を見せて笑い、懐に筒を仕舞った。武蔵はほっと胸を撫で下ろす。 

「楽しそうデースネ!」

 突然背後から、明るい女の声がした。もちろんマリアだ。 

「よお、やっと来たな。」

 牧野は片手を少し上げ、マリアに話しかける。 

「お前さんが居ないと、話が進まねえ。」

 

「良く言う。話を進めなかったのは、お前じゃねえか。」

 武蔵が牧野に食ってかかった。 

「武蔵、懲りないですね。」

 と、小次郎は半ば呆れ顔で武蔵を一瞥すると、マリアに向き直り、

「所で、貴女は?」

と訊いた。 

「……」

 しかしマリアは、小次郎の顔を見つめたまま動かない。 

「どうしました……?」

「コジロー?」

 マリアはうめく様に呟いた。 

「そうですが、何か?」

「アハハッ!コジロー、コジロー!」

 小次郎の名を叫びながら、小次郎の体をペタペタと触りまくる。 

「また妙なのが……。」

 小次郎は頭を抱えた。 武蔵はと言えば、牧野に良い様に遊ばれている。 

「WHAT?コレは?」

 マリアはようやく、小次郎の胸に空いた大穴に気付いた。 

「あぁ、そいつはな」

 牧野は武蔵を放って置いて、マリアに説明する。 

「コイツ等に未来の素晴らしさを教えてやったんだ。」

 

「スバラシさデスか。」

 マリアは、小次郎の胸の穴をマジマジと見る。 

「そろそろ、話を聴かせて頂けませんか?」

 牧野に対し、真剣な顔で小次郎は言った。 

「そうだな。手っとり早く行こうか。」

 牧野はにやけた顔を引き締めた。 

「マリア、こっちに座ってくれないか。」

 牧野はマリアを手招きして、自分の近くに座らせた。

 マリアが今度は、武蔵に興味を示していたからだ。 

「ハイ、解りマシタ。」

 マリアは仕方無さそうに、牧野の隣に座った。

小次郎もそれに習う様に、武蔵の隣に座る。

 マリアはニコニコ笑いながら、自分の向かいに座る武蔵と小次郎を見比べ、時折

「うんうん」

と頷いている。 

「二人にエージェントになって貰うに当たって、一人巡視員が付く事になっている。その巡視員から、その時々の指示を受けるわけだ。」

 牧野が仕事の詳細を説明する。 

「それで、だな。その巡視員って言うのがこのマリアなんだ。」

 牧野はちらりと、マリアに目をやる。 

「マリアと言いマース!よろしくお願いしマスッ!」

 明るく笑いながらマリアが二人に挨拶をする。 

「なぁ、その、まりあ……だっけか。お前さん何者だい?」

 武蔵は眉をしかめながら、ストレートにマリアに訊いた。 

「“ナニモノ”?」

 小次郎が少し考えて

「髪の色と瞳の色が我々とは異なる様ですが、一体どう言う事なのかと。」

と説明する。 

「ハイ。ワタシは“The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland”から来マシタ!」

 捲し立てる様にマリアが言った。 

「ざゆな……、何だって?」

 武蔵は堪らず小次郎に訊いた。 

「さっぱり解りません。」

 小次郎も首を振る。 

「だぁ!混乱するだろ、マリア!」

 牧野は一度マリアを叱って、武蔵と小次郎に向き直り

「イギリスだ、“英吉利”。要は日本以外の国だ。そこの人間は髪の色や瞳の色、肌の色がマリアの様な奴ばかりなんだ。」

と、二人に説明した。 

「日本は小さな国の一つでな、外国には他にも色々な、髪の色や瞳の色、肌の色があるのだよ。」

 牧野は考えながら説明の補足をする。 


「他に質問はあるか?」



「何故我々がエージェントに?」


 小次郎が訊いた。


「ハーイ!ワタシ ムサシ、コジロー大好きデース!会えてとっても嬉しいデース!」


 


「と、言う訳だ。エージェントになるに当たって、このマリアの下で働いて貰う。生き返る前にマリアとの顔合わせをしたんだ。」


 牧野は二人を見回し


「他に何か質問は?」


と続けた。 


「……。」


 二人は黙ったままだ。


「無い様だな。それでは、二人に本物の肉体を与える。」


牧野は立ち上がり


「付いて来い。」


そう言って光りの中に消えていった。 

「付いて来い、とは言うが……」

 武蔵と小次郎は、一応ソファから立ち上がりはしたが、突然目の前から消えた人間に、どう付いて行こうか迷った。 

「ハーイ!こっちデス。」

 マリアが武蔵の右手と小次郎の左手を掴んで、グイグイと引っ張る。 

「意外と力が強いな。」

と、武蔵が、誰にも聞こえない位の声で呟いた。

 しかし、武蔵も小次郎も、逆らおうとはせずに、マリアに引っ張られるまま後に付いて行く。

 真っ白な空間を少し歩くと、突然視界が変わった。

ただ、長い廊下が続いている。

少し前で、牧野が三人を待っていた。

 マリアと武蔵小次郎の三人を確認すると、ニヤリと笑い、 

「もう打ち解けているじゃないか。」

と呟いて前を向き歩き出した。 

「待ってくだサーイ!」

 マリア達が後に付く。

そのまま四人は暫く歩いた。

 武蔵も小次郎も、何もない廊下を物珍しげに見物している。 

「木では無いな。」

「はい。こんなに大きな一枚岩を削り出したのでしょうか?」

 などと言った会話までしていた。 

「おい、こっちだ。」

 牧野が何もない壁に入っていく。 

「もう、何が起ころうと驚きませんよ。」

 小次郎が言ったが、お構い無しに、マリアがグイグイと手を引っ張って、三人も壁に入っていった。

「こいつぁ……。」

 入るなり武蔵が驚きの声を上げた。

壁の中は広い部屋になっていたが、武蔵が驚いたのは、このことではない。

部屋の中には、人間より一回り大きいガラスケース四つ置いてある。その中に、自分が居るではないか! 

「此が、我々の本物の肉体。」

 小次郎は、穴の空いた己の胸に手をやりながら言った。 

「しかし、何故四つも。」

 小次郎が疑問を口にする。

 四つのガラスケースは、真ん中に大きな機械を挟んで、左右に二つずつ。

右の二つには、それぞれ武蔵と小次郎の肉体が入ってる。 

「簡単なことさ。」

 牧野は真ん中の機械に近づき

「空いた方のケース……、つまり箱にだな。」

機械をいじりだした。すると中身の無いケースがウィーンと音を立てながら空く。 

「入れば、それで良い。」

 牧野は武蔵と小次郎を見る。 

「ササ、入って下サーイ!」

 武蔵と小次郎は、いつの間にか後ろに回っていたマリアに押され、中に入った。 

「真に大丈夫であろうな!?」

 武蔵が不安になって訊いた。 

「大丈夫だよ……」

 牧野がまたもや機械をいじりだす。 

「多分な。」

 言いながら何かのスイッチを入れた。

この機械はもちろん安全である。

機械はヴィィン……と音を立てて動き出す。

 途端に武蔵と小次郎は、気が遠くなった……。

「これで、彼等が目覚めた時には、生身の剣豪と対面ってわけだ。」

 牧野が言う。 

「ハイ!楽しみデース!」

 マリアが、本当に嬉しそうに笑っている。

遊びすぎたかな?真面目な話は『らくださん』任せました!

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