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傭兵幼女~元傭兵は王女に転生したが、特に暗殺も他国を攻めたりしない件

作者: 山田 勝
掲載日:2026/05/16

「歩調―!数えるでしゅ!」


「歩調―!チョウチョウー数え!」


「「「1,2,3,4,5,6,7,8!」」」



 今、私は王女殿下のメイドの面接試験を受けに来たら行進の訓練を受けさせられた。

 王女殿下は4歳・・・女官の腕に抱っこされていながら命令を下すわ。


 私は・・サミア・ロン


「サミア!1で右足でしゅ!左で2でしゅ!」


「は、はい」

「足を~変えでしゅ!」

「はい・・」

「返事はよいでシュ!」


 お人形のように可愛いのにまるで鬼教官のようだ。


 次は、いすらえる体操だ。


「イスラエル体操でしゅ!」

「「「はい」」」


「三分間走るでしゅ!」


 短距離ダッシュを繰り返す。何故体操と名のついているか分からない。


 次は障害を乗り越える訓練。


 そして。


「綱登りでしゅ!このアルテシアが手本を見せるでしゅ!」

「「「はい」」」


「こうやって足で綱を挟むでしゅ!」

「王女殿下、王宮のカーテンに昇るのはお止め下さい」

「フシュー!」


 訓練は基本午前中は軽い運動、座学などだ。

 午後からは運動、体力錬成など・・・


 そして、訓練が終わったら。


「ドレスの洗濯と靴磨きでしゅ!」

「「「はい、王女殿下!」」」

 23時までみっちり仕事がある・・・

 自分のドレス、体力錬成用の服を洗濯し靴を磨くのだ。


「ポケットに何かあるかいつも確認するくせをつけるでしゅ!」

「「「はい、王女殿下!」」」


「王女殿下21時です。おねむの時間ですよ~」

「フシュ!」



 女官が呼びに来たわ。憤慨しているわ。可愛さを感じる。不謹慎かしら。

仲間と話しながら靴磨きをするわ。


「サミア様、靴磨き用のワックスあまっているかしら」

「はい、ローザ様、ございますわ」


 ローザ様も王女殿下のメイド志望の1人だ。


「サミア様、ローザ様、干し芋手に入れましたわ。食べませんか?」

「「まあ」」

「ミラー様、有難うございます」


 何だか同期と仲良くなったわ。


「ねえ。王女殿下は一体、どうしたのかしら・・やけに体系的な訓練じゃなくて・・」


「噂で聞いたわ。前世の記憶があるとか・・・それを王宮で試しているとも言うわ」

「まあ」



 転生者、数々の珍しい知識や未来が分かるという能力持ちかしら。私には関係ないわ。


 二週間が終わったら。



「基本訓練は終わったでしゅ!これよりサミア、ローザ、ミラーは不退転メイド候補生に認定するでしょ!」


「「「はい」」」


 それからは過酷を極めた。

 何事も急がせる。


「お茶会の仕方のレポートを書くでしゅ!」

「「「はい」」」


 マナーを書かせて次の日に実演させる。


「キャア!」


 お茶をこぼしてしまった。

 怒られる。


「サミア候補生、怪我はないでしゅか?」

「申訳ございません。王女殿下のお気に入りの熊さんのカップを・・・えっ?」

「カップはまた買えばいいでしゅ!」


 何だろう。厳しいときは厳しいが妙に優しい。

 仕事が終わったら、茶器の整備を行うようになった。


「メイドにとってお茶道具は命そのものだわ・・」

「そうね。殿方の剣かしら」

「商売道具かしらね・・」


 3人で会話しながら洗う・・・結構楽しいわ。



 そして、遂に二ヶ月半くらいに・・・



「これより。30キロ先のケルンの離宮でお茶会を始めるでしゅ!」

「「「はい」」」


「皆は歩いてくるでしょ!」



 お茶道具を背負って行進する。

 夜間だわ。時速四キロ計算で7時間半かしら。

 しかし、女騎士の方達が先導してくれる。

 護衛も付いているが・・・私達3人で歩かなければならない。



「サミア様、交代で先頭を歩きましょう」

「はい、ローザ様、では私から」


 およそ1人20キロの荷物を背負う。

 私は王女殿下のヌイグルミも背負っているわ・・・


 ただ歩く。退屈だわ。少しここに来た経緯を思い出したわ。




 ☆☆☆




『サミア、婚約を破棄だ』


『どうして・・・』


 理由は分かっていた。隣には義妹がいたわ。

 悔しいけど義妹のミミリーは可愛い。

 婚約者ロビンに寄り添っている。


『君は悪くない。ただ、真実の愛に目覚めてしまったのだ』

『お義姉様、ごめんなさい』


 お父様は後押しをする。


『うむ。サミア、許してあげなさい。それが淑女の嗜みだ』


『では、このロン家は・・・』

『それはサミアの気にすることではない。ロビン君は公爵家の令息と仲良しだ。何とかなる』

『それじゃ・・・』


 お義母様はもちろんミミリーの味方だわ。


『2人を祝福しなさい。貴女はお義姉様なんだから』




 ・・・・・・・・・



【祝福なんで出来るわけないわー!ふざけけろ!ババア!】




 しまった。つい、口にしてしまったわ。


 肩をとんと叩かれたわ。


「サミア様、皆、同じですわ」


「ローザ様・・・」

「次は私が先頭に立ちますね」

「ミラー様、お願いします」



 そうだ。高位貴族と知り合いだから得意なロビンに対抗して王女殿下のメイド募集に応募したのだわ。


 王女、アルテミス王女殿下、鬼幼女、3歳にして王宮に出没した蛇を退治した。

 王宮のカーテンをよじ登った。水堀に飛び込んだとの逸話がある王家の末っ子の姫・・・



「ケルンの離宮に到着―――!今!」


 やっとついた。7時間45分、時間は遅れている。


 私達は荷物を下ろしてお茶会の準備をする。


「ミラー様はテーブルクロスの準備!」

「はい、テーブルクロス!」

「私はお湯を沸かしますわ」


 こんな夜中に誰がお茶会を・・・



 その時、突然灯が付いたわ。

 そして、拍手が鳴り響いたわ。


 パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!


 あれは王宮執事長のセバス様・・・とメイド、執事達だわ。

「不退転メイド訓練終了でございます。湯浴みをされ。軽食を食べて就寝して下さいませ」

「用意は我ら先輩に任せなさいな」


「「「えっ」」」


 じゃあ、このテーブルで準備した物は・・・


「後は先輩達に任せなさい。おめでとう。君たちは仲間だ」

「「「はい」」」



 どうやら、無事王女殿下のメイドになれたようだ。


 次の日。王女殿下直々にバッチをもらった。

 熊さんのバッチだ。


「皆、頑張ったでしゅ!不退転メイドのバッチなのでしゅ!」

「「「はい」」」


 王女殿下直々にバッチをつけてくれたわ。

 女官に抱っこされなかがら、可愛いわね。


「やあ、アルテシア様、新しいメイドですか?」

「ウルリッヒ兄~、そうなの、手を出したらぬっころでしゅ!」

「ハハ、怖いな」


 あら、あれはペトリー公爵家のウルリッヒ様、確かロビンと同級生だった。



「君は、ロン伯爵家の総領娘のサミア様じゃないか?」

「はい、お世話になっていますわ」


「うむ・・・ロビンの隣が変わっていたが・・・」


 話を聞くと中央平原の名家の一つだった我が伯爵家に注目していたそうだ。


「サミアは不退転メイドでしゅ!ロビンをぬっころでしゅ!」

「なら、悪いけどロビン君の婚約式は欠席だな」

「まあ、・・・」




 結局、ペトリー公爵家の後押しで私は総領娘に復帰したわ。



 執行官と騎士と共にタウンハウスに赴いた。



「何だと、父を追い出すのか?」

「そんな。義姉様が王女殿下の側近になれるわけがないわ」

「これは何かの間違いよ!」



 3人が叫んでいるが、あの訓練を思えば怖くない。子犬が吠えているようだ。

 これからは退屈な処理だ。


「婿養子のお父様を実家にお返しして下さいませ」

「「「畏まりました」」」


「ヒィ、実家に帰っても居場所はないぞ!」


「ここにもございませんわ」



 今、私は王女殿下の側近としてお仕えしている。



「騎士団の幹部とお茶会でしゅ!」

「はい、手続きをしますわ」


「フンヌ-」


 だが、私は知っている。王女殿下は転生者だ。

 きっと名のある騎士に違いないわ。



「あの、もしかして、アルテシア王女殿下の前世は伝説の騎士様ですか?名のある武将とお見受けしますわ」





 ☆☆☆王女アルテシア視点



 はあ、伝説の傭兵(笑)と言うのか?


 そう言えばネットやラノベでありそうだな。

 サミアが輝く目で俺を見ている・・・


 俺は王女に転生した日本人、自衛隊から海外の民間軍事会社のキャリアがある。



 特殊部隊の兵士は現役で何十万人いるはずだ。

 大佐だって何千人単位だろう?


 つまり、伝説の傭兵なんていないのだ。

 出版されているようだが、それは戦争に自己実現を求める馬鹿相手のモンキービジネスだ。


 仮に元傭兵だったら、また戦場に戻るならベースキャンプに戻って最新の戦術ぐらい仕入れたいわ!


 それよりも、軍隊の真価は自己増殖にある。

 一人の下士官が10人教育すれば10倍になる。

 これは昔から変わっていない。


 これを異世界でやってみたぜ。


 だから、俺は正直に答える。




 ・・・・・・・・・・




「サミア、違うでしゅ!アルテシアの前世は平民だったでしゅ」

「まあ、それでも、王女殿下は・・・」


 何だ。タメを作りやがった。



「私の勇者ですわ」



 その笑顔に少しときめいた。

 まあ、もう少し、不幸そうな女性を採用してやろうと思う俺がいた。




最後までお読み頂き有難うございました。

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