表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

第八話 盗賊の里

風邪をひいて家から一歩も出なかったので思いのほか早く八話が書けました。

本当はこれぐらいの頻度でUP出来ればいいのですが・・・。

 ねずみ退治宣言をした仁太は、元山賊であった盗賊達の情報を集めるために行動を開始する。

 茂吉から盗賊達の隠れ里の場所を聞いた仁太は一人でその場所へと向かった、茂吉と勘三郎は着いて行くといったのだが忍者である自分の隠密性が失われるので丁重に断ったのである。



 隠れ里傍の木の上に陣取った仁太は、気配を殺しながら里の中を観察し始めた。

 仁太の現在の服装はこの世界に迷い込んだ時の忍び装束を裏返して着ている、裏側は迷彩柄になっており明るいうちはこの格好の方が目立たずに行動できるからである。

 盗賊達の隠れ里は切り開かれた林の中にあり、粗末な小屋が15軒程建っているだけの小さな集落であった。

 人口も30人弱程しか居らず女性と子供は居ない様に見受けられた。


 そういえば「山賊をやっていたから嫁が来なかった」って茂吉が言ってたっけ、でも頭である自分には近くの村に嫁に来たいという娘が居たため山賊の中では珍しい夫婦であったとか。

 でもその娘を護るはずの茂吉が居なくなった現在、その娘がどんな扱いを受けているかを考えると背中に冷たいものが流れる。


 「明るい内はこの里の盗賊の動きを観察して、夜になったら人質達の捕まっている場所を探すかな…」


 聞くものは居ないが自分の行動の確認を取る意味で小さく声に出す仁太。

 その行為は元の世界で修行中にお頭(父親)から「隠密性を損なうから止めるように」ときつく言われていたが、癖になっているらしくなかなか直らないのである。

 


 木の上で里を観察していた仁太の耳に盗賊達の会話が聞こえてきた。

 

 「前の頭の女だけどよ、一緒に放り込んである前の頭の側近達に護られていて、まったく手出しできないらしいぜ」

 「奴等も頑張るな、食事を与えてないって話だったからもう観念したと思っていたのだけどよ。俺はここは女がいねえから結構楽しみにしてたんだ、今度盗みに入った所で若い娘でも手篭めにするか」

 「そうだな」


 盗賊達は気持ち悪い笑いを出しつつ、仁太が隠れて居る木から離れていく。

 


 茂吉さんの奥さんはまだ無事みたいで良かった、でも次は盗みに入った先の娘を襲うと言ってるし害獣と変わんない連中だな。

 まあ、これぐらい分かり易いぐらいに悪人であるならば、退治をしても罪悪感に悩まされる事も少ないだろう。



 しばらく木の上での観察を続けていた仁太であったが、辺りが夕闇に包まれて来たために忍者服を表(赤黒い色)に着替えた。

 これで暗闇の中を動き回っても目立たないはずだ。

 夜は忍者のゴールデンタイムだと云われるが、仁太が元居た世界では夜になっても人工の光が普及しているために完全な闇になる事は無く、この赤黒い布で作った忍者服の効果は期待出来なかった。しかし、この世界には明かりといえば松明や灯明、良くても蝋燭ロウソクの明かりだけであり、この忍者服も最大限に効果を期待できるだろう。

 

 「さてと、周りも暗くなってきたし行動を開始しましょうかね」


 やはり聞くものが居ないなか小さく独り言を呟いた仁太は、夕刻より潜伏していた木から地面に降り立ち漆黒の中へと自らを同化させた。

 


 闇夜に同化しながら盗賊の里を移動していた仁太は、里の中心に在る小屋の近くの物陰に隠れている。

 その小屋には盗賊と思われる人相の悪い男達が二人、欠伸あくびをしながら見張りのような事をしていた。


 しかし奴等やる気が無いね~、まあ盗賊にやる気や統率などを期待するのが馬鹿らしいんだけど……。

 さて、木の上で得た情報だとあの中に茂吉さんの家族と茂吉さん同調派が居るわけだな。

 今日のところは様子見だけにしようと思っていたけど、昼間の盗賊達の会話から判断すると時間も無いみたいだしついでに助け出して置くのが得策かな。

 うまくいけば自分達が何者かに狙われていると感じて下手な行動を取れなくなるだろうし、一丁派手にやろうかな……。

 

 そう考えると懐から細長い棒を取り出した。

 それは棒手裏剣に見えるが素材は竹で出来ており、現代人が見れば百人中百人が見れば”お箸”と答えることであろう。これは鉄製の手裏剣が当分手に入らなさそうだと感じた仁太が、代用できるように近くの竹から作り出したものである。

 鉄の様に骨を貫通するとまでは行かないが、皮膚を破るくらいは仁太の腕を持ってしてみれば造作も無い事なので問題ない。

 

 仁太は見張りの一人に狙いを定め、軽く竹製の棒手裏剣を投げた。

 それは傍から見れば本当に軽く放ったように見えるであろうが、幼少から厳しい修行を耐え抜いた仁太が投げると途轍もない威力がある。

 その手裏剣は見張りの男の首に刺さり違和感を感じて手を首筋に持っていったが、男が自分の現状を理解する間も無く前のめりに倒れこんだ。

 仁太はそれを確認することも無く二本目の手裏剣を投げる。

 二本目の手裏剣ももう一人の見張りに見事命中し、男が自分の状態を理解する事も無く倒れこんだ。

 

 普通に手裏剣が当たっただけでは大人の男が倒れるなんて事はありえないが、先ほどの竹製の手裏剣には致死性の毒が塗ってあり、皮膚の中に入っただけで効果がある。


 二人の男が地面に倒れ伏したのを確認した仁太は、周囲に人が居ないことを確認し小屋へと近づいていくのであった。

 

やっと仁太が忍者らしい動きを見せてくれました。


戦闘を期待されていた方々には申し訳ありません。

忍者は影に生きる者だと思っており、仁太が直接戦うことはこれからもあまり多くならなさそうです。


まあ、このお話は作者の妄想が主成分の為にこれからどうなっていくか分かりませんがw


厚かましいお願いだとは思いますが、評価を戴ければ嬉しいです。


2011/2/5 女性と子供はほとんど居ない→女性と子供は居ない と訂正

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ