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第七話 飯井山地方

「仲間になります。是非、助けてください」


 男の返答は先の行動から予想された事であった。


「なっ、なんじゃと! この男を助けること、本気ですか?」

「はい、私は本気ですよ。

 この方の家族を助けようと考えています」


 勘三郎は仁太の考えが分からず、困惑を隠せない様子である。

 それを見た仁太は勘三郎を元山賊の男から離れた場所まで連れて行き、勘三郎にのみ聞こえるように話す。


「この男を助ける目的が分から無いんですよね?」

「あぁ、その通りだ。

 ここで元山賊の男を助ける理由はあるのかね、綾様を護るのには必要が無いように思うのじゃが?」

「ここに来る前にしずさんからこの世界の状況を教えて貰いました。

 それによると此処は元佐津国の領土であったにも関わらず、実質は山賊達が治めていたような地域で在ったと聞きました。

 うまくいけば此処の山賊を一掃出来ます。そして新しい国の拠点を作ることが出来ると思います」


 仁太の発言を聞いた勘三郎は心底驚いた風であった。

 それも無理は無いだろう、山賊一掃という目的だけであれば仁太は正義感に駆られて助けようと言ったのだろうと思えるが、仁太は"新しい国の拠点"と言ってのけたのだ。

 これは隠れ家を作るのではなく、綾の為に護る器を一から作り直そうと云うとんでもない発言であった。


「なっ、とんでもない事を言い出すな!

 綾様を護る為に国を作ると言い出すとは……。

 しかしワシら三人だけで何とか出来るのであろうな、ワシには考えがあっても不可能な様に感じるのじゃが」

「このまま綾さんを逃がし続けるのは難しいと思います。しかし国が出来て協力者が増えれば私の知識を使えば護ることが可能になるでしょう。

 あと山賊達をどうするかですが、計略で何とかなると思います」

「う~む、ワシにはその方法が分からんが仁太殿の言葉を信じるぞ、確かに綾様がこのまま逃げるのは難しいのは事実じゃからな」


 勘三郎は一応の納得を見せ、仁太に協力をすると申し出てきた。



 仁太は一つ頷くと山賊の元頭へ近づき、家族を助けることに協力することに決まった事を伝えた。

 それを聞いた山賊の元頭は「お願いします」と深々と頭を下げる。 


「ところでこの男が仲間になったのは良いが、名前を教えて貰えんかのう。

 さすがに名前も知らないままでは、共同で事を成すのは難しいと思うのでな」

「それは失礼しました、私は茂吉と申します。

 この飯井山地方で山賊の頭領をやっておりました」


 自己紹介をしながらこちらを見上げてくる茂吉の顔には安堵の表情が見える。

 勘三郎から名前を聞かれ、仲間として一応は認められた事に対する安堵なのであろう。



 ここで飯井山地方について説明をしよう。

 飯井山地方は南にあった佐津国の領土ではあったが、佐津国が川津国に侵略された事により治める者の居ない浮いた地である。

 これといった資源もない山の中の辺境のため川津国は今のところ特に関心を持っておらず、実際には山賊がこの地方を治めていると言っても良い。

 周囲を高い山々に囲まれ、中央には霧川という結構大きな川が流れており南には旧佐津国があり、北には水泊みずどまりという医学先進国がある。

 南と北の狭い場所意外からの進入は難しく、陸の孤島と云うのが相応しいような場所である。



「よろしく茂吉さん。

 それでは作戦を考えなければなりませんので、この飯井山地方について詳細を教えてもらいましょうか」

「分かりました、私に何をお尋ねになりたいのでしょうか?」

「確かこの飯井山地方は治める領主が居無いんですよね?」

「はい、その通りです。

 そのかわり私の父や私が頭領の時には、仲間達が食べていけるだけの作物を納めて貰っていました」

「現在はどうなのですか?」


 仁太の質問に茂吉は苦虫を噛んでいる時のような渋面を作りながら話し出した。


「今は盗賊になった者達が村々を周り、年貢と称して有る物を根こそぎに奪っていっているようです。

 さすがに始まってからそんなに日が経っていない為に餓死者は出ていないようですが、このままの状況が続けば確実に村人の中に餓死者が出てくるでしょう……」

「やっぱりそうですか……、ところで飯井山地方に在る村の人口は何人ぐらいですか?」

「この地方の村の人口か? そうだな、大体で五百人程だな」

「では今現在、盗賊として動いているものの人数は?」

「三十人程だが」


 茂吉の言葉を聞き仁太は少し考え込む、そして顔を上げると不敵な笑みを浮かべて呟いた。


「では、ねずみ退治と参りましょうかね」


 この時仁太の顔を見た勘三郎と茂吉は後に「あの時の仁太(さん)の顔を見たときは背筋が寒くなった」と話していた。

 

更新が大変遅くなりました。

なかなか文書がスムーズに書けず、こんなに間隔があいてしまいました。

これも私の腕が未熟な証拠ですね……||||


次は仁太がねずみ退治を行います。

これからも駄文ですが宜しくお願いします。


厚かましいお願いではございますが、評価等を戴ければ幸いでございます。


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