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【自我スレ完結】イノセントはワイを守ってた【青紫のオーラ】

1:風吹けば名無し

【自我スレ完結】イノセントはワイを守ってた【青紫のオーラ】


前に、気絶中のワイを乗せたまま敵を全滅させて帰投したイノセントの話をした者や。


研究は打ち切られたのに、初期化だけは禁じられた。

しばらくして、出所不明の人格研究資料まで届いた。


あれの答えを、ワイは聞かされた。


全部は書けん。

説明された仕組みも、根拠になった記録も、今後の扱いも機密や。


ただ、一番大事なところだけは許可が出た。


ワイの機体は、操縦を奪おうとしてたんやない。

ワイを守ってた。


その結論に至った原因は、少し前の戦闘や。

時系列では、本国防衛戦より前。エルフィンへ新しい心臓が入った頃になる。


当時のパンドラ隊は、あるプラズマリアクターをアマツキへ輸送しとった。

今はエルフィンに搭載されたことまで公開されてる、あれや。


輸送中、ノヴァの特殊部隊に襲われた。

敵には機動要塞クラーケンもおった。


途中からワイの通信が切れた。

機体が青紫のオーラを出した。


次にまともな記憶が戻った時、敵は全滅しとった。


今日はその話をする。


2:風吹けば名無し

完結編来た


3:風吹けば名無し

お前、前にも敵が全滅してから起きてたよな


4:イッチ

今回は寝てない。


5:風吹けば名無し

じゃあ覚えとるん?


6:イッチ

途中までは。


7:風吹けば名無し

一番嫌な返事


8:工作隊長

旦那、書いていい範囲を先に読み上げるッスよ。


9:イッチ

彼女が横で監視しとる。


10:風吹けば名無し

工作隊長ネキもおるなら安心や


11:工作隊長

輸送経路、護衛数、リアクターの固定方法、敵の侵入手段、戦闘記録の生データは禁止ッス。


旦那の失態は公開可能ッス。


12:イッチ

最後いる?


13:風吹けば名無し

いる


14:管理人より

当該戦闘の発生、ノヴァ特殊部隊および機動要塞クラーケンの襲撃、パンドラ隊による輸送物の防衛成功は公開済みです。


プラズマリアクターの構造・搬送手順・警備体制に触れる投稿は禁止します。


15:風吹けば名無し

あのクラーケン撃破記録、パンドラ隊やったんか


16:パンドラ隊員

せや。

ずっと任務名ごと伏せられとった。


17:風吹けば名無し

リアクター狙い?


18:イッチ

敵の動きから見て、そう判断された。


輸送艦を沈める火力はあったのに、最初から推進部と通信設備ばかり狙ってきた。

壊すんやなく、止めて中身を持っていくつもりやったんやろな。


19:元ノヴァ兵

ノヴァがプラズマリアクターの実物を見逃すわけない。


機体一機より価値がある。

無傷で奪えるなら、機動要塞を出しても安いくらいや。


20:風吹けば名無し

そんな物を運んでたんか


21:イッチ

ワイらも中身の詳細は知らされてなかった。


「絶対に通せ」「失うくらいなら退路ごと焼け」だけや。

搬入が終わって、エルフィンの胸で赤く光ってるのを見て初めて察した。


22:風吹けば名無し

命令が重い


23:ガレット隊員

隊長は出発前から機嫌悪かったで。


「中身を教えず命だけ張れと言うのは嫌いです。ただし、任務を受けた以上は通します」


って、整備班へ二回確認に来た。


24:風吹けば名無し

ガレット隊長らしい


25:イッチ

襲撃は早かった。


先に通信が荒れて、周囲の識別表示がまとめて消えた。

その直後、輸送艦の前へクラーケンが浮上して、後ろから特殊部隊が来た。


26:風吹けば名無し

挟まれたんか


27:パンドラ隊員

前は機動要塞。

後ろは高機動機と強襲艇。


逃げ道を塞いだ上で、輸送艦へ取り付く部隊まで用意しとった。

最初からこっちの荷と航路を知っとった動きや。


28:管理人より

情報漏洩経路に関する推測は控えてください。


29:風吹けば名無し

早い


30:イッチ

ガレット隊長が前へ出た。


ワイは輸送艦の近くで、後ろから来る敵を止める役やった。

防衛隊長やからな。いつも通りや。


31:風吹けば名無し

いつも通りでクラーケン付き


32:ガレット隊員

隊長のイノセントFが、クラーケンの砲口を潰しに行った。


真正面からは抜けんから、外周を回って観測器と小砲塔を一つずつ壊す。

その間にゼロード隊が輸送艦へ寄る敵を押し返す作戦やった。


33:風吹けば名無し

最初は普通に戦えてた?


34:イッチ

戦えてた。


敵の先頭を二機落として、強襲艇を一隻止めた。

リジーのミリアポッドも輸送艦へ張りついて、粒子タンクと装甲で砲撃を受けとった。


35:工作隊長

ウチの機体は盾じゃないッス。


36:イッチ

あの時は盾やった。


37:工作隊長

否定できないッス。


38:風吹けば名無し

重火力工作隊長、毎回受け止めとるな


39:パンドラ隊員

問題は、敵が輸送艦を撃沈する気なかったことや。


ワイらが艦の近くへ集まるほど、クラーケンの制圧場と特殊部隊の包囲が狭くなる。

少しずつ動ける空間を削られた。


40:風吹けば名無し

生け捕りの方が厄介なんやな


41:イッチ

敵の一機がリジーの背後へ回った。


彼女は輸送艦の固定を支えながら砲撃しとったから、避ける余裕がなかった。

ワイが間へ入って受けた。


42:工作隊長

右肩、背部ジェットパック、スキャナー補助線が一度に死んだッス。


43:風吹けば名無し

重傷やん


44:イッチ

機体はな。

ワイは衝撃で舌を噛んだくらいや。


45:医療班

肋骨にもヒビ入っとったぞ。


46:イッチ

今は治った。


47:風吹けば名無し

隠すな


48:イッチ

その時、輸送艦の外装へ強襲艇が取りついた。


リジーの機体は固定具から動けん。

ガレット隊長はクラーケンに抑えられとる。

部下の二機は、敵の高機動機と交戦中。


ワイの機体だけが、輸送艦へ戻れる位置におった。


49:風吹けば名無し

詰みかけてる


50:イッチ

戻ろうとした。


でも右肩の入力が遅れた。

敵がもう一機、輸送艦との間へ入った。


そこで、何かが切れた。


51:風吹けば名無し

何が?


52:イッチ

分からん。


彼女が死ぬかもしれん。

部下が死ぬかもしれん。

あの荷が奪われたら、もっと大勢死ぬ。


その三つが頭へ浮かんだところまでは覚えとる。


53:風吹けば名無し

また全部背負ったんか


54:イッチ

次の記憶は途切れ途切れや。


敵の武器が見える。

射線が線みたいに浮く。

機体の損傷が自分の骨の位置みたいに分かる。


ワイが動かしたのか、動く前に機体が動いたのか、区別できんかった。


55:理論班ネキ

精神波入力が限界を越えた時の証言に似とるな。


56:イッチ

後から聞いた話では、ワイの機体の周りに青紫の光が出とったらしい。


57:風吹けば名無し

覚醒やん


58:ガレット隊長

その呼び方はやめなさい。


59:風吹けば名無し

本人来た


60:ガレット隊長

青紫のオーラが発生したことは事実です。


しかし、覚醒は都合のよい強化状態ではありません。

アニムスキャナーが通常の制御範囲を越え、過剰な精神波を機体へ流している危険な状態です。


出力が上がる代わりに、制御系と搭乗者の神経が壊れる可能性があります。

あの光を見て喜ばないでください。


61:風吹けば名無し

ガチ注意や


62:ガレット隊長

実際、ゼロード機との通信は直後に途絶しました。


呼びかけへ応答なし。

生体信号は乱れ、操縦入力の区分も読めなくなった。


私は撤退命令を出す準備をしていました。


63:イッチ

初耳や。


64:ガレット隊長

あなたが聞かなかったからです。


65:風吹けば名無し

隊長に怒られとる


66:パンドラ隊員

青紫になってからの隊長機、動きがおかしかった。


右肩が壊れとるのに、壊れた側を敵へ向けて射線を受ける。

その反動で機体を回して、左手のナイフを別の敵へ入れる。


損傷を欠点やなく、動くきっかけに使っとった。


67:風吹けば名無し

人間の動きちゃう


68:工作隊長

旦那が普段からやる動きの延長ではあるッス。


ただ、判断と判断の間がなかった。

壊れたジェットパックの残圧まで使い切ってたッス。


69:イッチ

ワイはそこ覚えてない。


70:パンドラ隊員

最初に輸送艦へ取りついた強襲艇を切り離した。


次に、艦の外装へ出ていた敵兵を機銃で撃たず、作業アームだけ壊した。

中の兵士は退避艇へ戻っとる。


71:風吹けば名無し

暴走中でも殺してない?


72:パンドラ隊員

少なくとも、ワイが見えた範囲ではな。


敵機は一機もコックピットを撃たずに止めとった。

機動要塞には容赦なかったけど。


73:風吹けば名無し

敵味方どころか中身まで判別しとる


74:ガレット隊員

隊長機がクラーケンへ向きを変えた時、ガレット隊長はまだ外周装甲の近くにおった。


ワイらは止めようとした。

通信が切れたまま突っ込んだら、隊長ごと撃つと思ったからや。


75:風吹けば名無し

撃ったん?


76:ガレット隊員

撃たなかった。


青紫の機体は隊長機の真横を抜けて、クラーケンの砲撃だけを肩で受けた。

そのまま隊長を背へ隠すように入り、外装の裂け目へ潜った。


77:ガレット隊長

あの瞬間、ゼロードに私が見えていたとは思えません。


それでも機体は、私の退路を塞がない角度を選びました。


78:風吹けば名無し

機体が味方を見てた?


79:ガレット隊長

公式には、搭載識別装置と学習済みの僚機情報が正常に機能した、とされています。


80:風吹けば名無し

公式には


81:イッチ

クラーケンの中は断片だけ覚えとる。


狭い。

砲塔が近い。

装甲の向こうに、でかい振動がある。


それを止めなきゃいけない、と思った。


82:風吹けば名無し

どう止めたん


83:イッチ

機密で書けん部分もある。


結果だけ言うと、主砲の制御と推進部を壊した。

最後はクラーケンが自分の重量を支えられなくなって、海面へ落ちた。


84:風吹けば名無し

イノセント一機で機動要塞を落としたんか


85:イッチ

一人やない。


ガレット隊長が先に観測器と砲塔を潰してた。

部下が護衛を引き離した。

リジーが輸送艦を守った。


ワイは開いた穴へ入っただけや。


86:風吹けば名無し

その穴へ通信断の青紫イノセントで入れる奴がおらん


87:ガレット隊長

美談にしないでください。


成功したから記録になっただけです。

あと数秒遅ければ、彼の脳か機体の制御系が先に壊れていました。


88:工作隊長

戦闘後、スキャナーの受信値が計測上限に張りついてたッス。


焼けた回路が四枚。

学習領域だけ、異常なく残ってたッス。


89:風吹けば名無し

学習領域だけ?


90:工作隊長

そうッス。


旦那の癖と、自我疑惑の記録が入ってたところッス。


91:風吹けば名無し

守ったんか


92:イッチ

クラーケンが落ちた後も、ワイは止まらんかったらしい。


残った特殊部隊へ向かった。

通信には返事なし。


93:パンドラ隊員

敵は撤退を始めとった。


でも隊長機は追いついて、武器、脚、スラスターの順で潰した。

逃げ切った戦闘機もおらん。


最終的に、敵の戦闘能力は全部なくなった。


94:風吹けば名無し

普通に全滅させとる


95:パンドラ隊員

ほんまに「なんか普通に全滅させた」としか言えん。


ワイらが追いついた時には、青紫の光が消えて、隊長機が輸送艦の横で止まっとった。


96:イッチ

そこで記憶がはっきり戻った。


右手にナイフ。

左腕に敵機の砲身。

目の前に、動かん敵が並んどった。


通信を入れたら、ガレット隊長の怒鳴り声が来た。


97:風吹けば名無し

なんて?


98:イッチ

「直ちに停止! スキャナーを切って両手を見える位置へ!」


99:風吹けば名無し

完全に危険人物扱い


100:ガレット隊長

敵味方の判別が維持されている保証がなかったからです。


101:イッチ

正しい判断や。


ワイ自身、どこまで自分で動かしたか分からんかった。


102:医療班

帰投後はコックピットから出るなと言われたのに、自分で歩こうとして倒れた。


発熱、神経反射の乱れ、短期記憶の欠落。

脳へ不可逆な損傷がなかったのは、本当に運が良かった。


103:イッチ

運やないと、後で聞かされた。


104:風吹けば名無し

ここで答えか


105:イッチ

上は、あの時の記録を、その後に起きた気絶中の自律戦闘と照合したらしい。


研究を止めた資料や、初期化を禁じられた学習領域も同じ調査へ入った。


106:風吹けば名無し

何が分かった?


107:イッチ

詳細は書けん。


ただ、ワイの機体にあった自我らしきものは、パイロットを守るために動いていた。


暴走させたのは機体やない。

過剰な精神波を流したワイや。


機体は、その中でワイを生かした。


108:風吹けば名無し

生かしたって、どうやって


109:イッチ

それは書けん。


110:研究補助

一般論としてなら話せる。


アニムスキャナーは、パイロットの精神波を受け取って機体制御へ変換する。

もし機体側に自我があり、それ自体が精神波を受信・送信できるなら、一方通行ではなくなる。


111:風吹けば名無し

機体からパイロットへ返せる?


112:研究補助

仮説上はな。


過剰入力をそのまま脳へ逆流させず、機体側で受ける。

必要な制御だけを整えて返す。


精神波の緩衝材みたいに働く可能性がある。


113:風吹けば名無し

それが自我の役目やった?


114:イッチ

ノーコメント。


115:風吹けば名無し

答えやん


116:管理人より

特定機体における精神波の送受信方式、保護機構の有無、解析結果は機密です。


一般理論を越えた推測は控えてください。


117:研究補助

一般理論や。


118:風吹けば名無し

怒られてて草


119:理論班ネキ

もう一つある。


暴走状態では、パイロットの意識的な敵味方判断が期待できない。

それでも味方を避け、敵だけを止めたなら、何かが識別を代行したことになる。


通常のIFFと制御AIでも一部はできる。

ただ、戦闘中にガレット隊長を庇い、敵コックピットを避け続けた判断まで説明できるかは別や。


120:風吹けば名無し

自我が敵味方を見分けたんか


121:イッチ

そこも書けん。


ただ、暴走中に味方を撃たなかったのは偶然やない、とだけ言われた。


122:風吹けば名無し

ほぼ答えやんけ


123:イッチ

許可された言い方がそこまでなんや。


124:プロメテウス古参

昔、似た状態を見たことがある。


リープランドで、烈火ニキのブレイズが赤いオーラを出した時や。

通信が切れ、呼びかけへ返事がないまま、シグマの部隊を圧倒した。


125:風吹けば名無し

リープランドの赤いブレイズか


126:プロメテウス古参

当時は試験回路が精神波を無制限に受けて、烈火ニキの脳が焼き切れる寸前やった。


それでも味方は撃たず、敵機のコックピットボールを外して止めた。

最後は機能停止したけど、烈火ニキは生きとった。


127:風吹けば名無し

同じやん


128:ガレット隊長

戦闘記録上、同種の異常状態に分類されています。


オーラの色や機体性能は違っても、通信断、過剰精神波、制御限界の超過、敵味方識別の維持が共通しています。


129:風吹けば名無し

ブレイズにも自我があったから烈火ニキが助かった?


130:ガレット隊長

その質問には答えられません。


131:風吹けば名無し

全員答えないところが答え


132:工作隊長

旦那の機体を初期化するなと言われた理由も、ウチは説明を受けたッス。


133:風吹けば名無し

やっぱ保存したかったん?


134:工作隊長

言えないッス。


ただ、初期化しなくて良かったッス。


135:イッチ

研究を止めた理由も聞いた。


136:風吹けば名無し

何やった?


137:イッチ

言えん。


138:風吹けば名無し

このスレ言えんばっかりや


139:イッチ

機密なんやから仕方ないやろ。


140:元研究班

前に来た出所不明の資料は、どこかの完成済み研究を現場へ流したものやった?


141:イッチ

ノーコメント。


142:元研究班

初期化禁止は、故障データ保存やなく保護能力を消さないためやった?


143:イッチ

ノーコメント。


144:元研究班

自我を兵器として研究するんやなく、搭乗者保護の事例として扱うことになった?


145:イッチ

お前、わざと聞いとるやろ。


146:元研究班

答えなくてええ。

顔が見えん掲示板でも、返事の間で分かる。


147:工作隊長

旦那、端末の前で全部顔に出てるッス。


148:風吹けば名無し

匿名掲示板に向いてない


149:イッチ

うるさい。


150:風吹けば名無し

機体の自我って、結局ほんまにあったん?


151:イッチ

ワイが説明された言葉は「自我に類する自己維持・他者保護性を持つ精神波応答」や。


人間と同じ心かは分からん。

人格があると断言もされてない。


でも、ただの故障やとはもう思ってない。


152:風吹けば名無し

完結したな


153:イッチ

せやな。


ワイが知りたかったのは、こいつが危険かどうかやった。

答えは逆やった。


一番危険だったのは、機体を壊れるまで動かしたワイや。

こいつは最後まで、ワイと味方を守っとった。


154:工作隊長

旦那は反省するッス。


155:イッチ

しとる。


156:医療班

暴走後三日で訓練へ戻ろうとした。


157:イッチ

却下されたから戻ってない。


158:風吹けば名無し

反省とは


159:ガレット隊長

覚醒を再現しようとする訓練は禁止しました。


オーラは勲章ではありません。

次に同じ状態へ入れば、機体が守れても搭乗者が耐えられる保証はありません。


160:風吹けば名無し

了解


161:イッチ

あれから、機体は普通や。


話しかけても返事なし。

頭部センサーも動かん。

勝手に武器を片付けることもなくなった。


162:風吹けば名無し

自我、消えた?


163:イッチ

分からん。


ワイを守るために力を使い切ったのかもしれん。

単に返事する気がないだけかもしれん。

最初から、ワイが返事と思い込んでただけかもしれん。


164:工作隊長

学習領域は残ってるッス。


異常な欠損もない。

精神波を出しているかは、通常の検査では分からないッス。


165:風吹けば名無し

リエンちゃんに聞いた?


166:イッチ

聞いた。


格納庫でワイの機体へ手を当てて、しばらく黙っとった。


167:風吹けば名無し

なんて?


168:イッチ

「……つかれた。ねてる」


それだけや。


169:風吹けば名無し

おるやん


170:イッチ

寝てるのが機体か、ワイのことか聞いたら、リエンちゃんは帰った。


171:風吹けば名無し

要領を得ない


172:工作隊長

旦那、その時まだ医療班のベッドから抜け出してきた直後ッス。


173:医療班

寝てるべきなのは旦那や。


174:風吹けば名無し

そっちか


175:イッチ

ただ、たまに攻撃を先に防いでくれる気はする。


176:風吹けば名無し

最近も?


177:イッチ

哨戒で、死角から小口径弾を撃たれた。


気づいた時には左腕が上がって、装甲で弾いてた。

ワイが反応したのか、機体が先やったのか分からん。


178:工作隊長

記録上は、スキャナー入力と制御補正がほぼ同時ッス。


旦那の無意識でも、機体の学習補正でも説明できるッス。


179:風吹けば名無し

まだ曖昧なんか


180:イッチ

別の日は、訓練弾が右後ろから来た。


ワイは前の標的を見てたのに、機体が半歩ずれて肩で受けた。

終わってから聞いたら、僚機の警告より先に動いてたらしい。


181:研究補助

危険予測AIの範囲でも説明できる。


182:イッチ

せやな。


183:風吹けば名無し

前なら食い下がってたやろ


184:イッチ

もう証明せんでええと思っとる。


返事が欲しくて乗ってるわけやない。

勝手に動くところを見たいわけでもない。


ワイが操縦して、こいつが補って、二人で帰れればそれでええ。


185:風吹けば名無し

完全に相棒やん


186:イッチ

人間と同じかは知らん。


名前も付けてない。

何が好きかも分からん。


でも、二回ワイを帰してくれた。


187:工作隊長

三回目がないよう、旦那は無茶しないッス。


188:イッチ

善処する。


189:工作隊長

禁止ッス。


190:風吹けば名無し

夫婦の結論が一番厳しい


191:ガレット隊長

機体を信頼することと、安全規定を無視することは別です。


ゼロード。次に通信を切って青紫になったら、私が先に撃墜します。


192:イッチ

味方が一番怖い。


193:ガレット隊長

褒め言葉として受け取ります。


194:風吹けば名無し

生真面目天然隊長つよい


195:イッチ

昨日、格納庫で機体に言った。


「あの時、止めてくれてありがとな。敵を倒したことやない。ワイがワイのまま帰れるようにしてくれたことや」


196:風吹けば名無し

返事は?


197:イッチ

なかった。


待機灯も、頭も、固定アームも動かん。


198:風吹けば名無し

寝てるんやろ


199:イッチ

かもしれんな。


200:工作隊長

その後の起動試験では全項目正常ッス。


201:風吹けば名無し

夢がない報告


202:工作隊長

正常に動くのが一番ッス。


203:イッチ

これで自我スレは終わりや。


機体に心があるか、という問いへ、軍はまだ断言してない。

ワイも、人間と同じやとは言わん。


ただ、こいつは守る相手を選んだ。

ワイを受け止めて、味方を避けて、敵だけを止めた。


それを心と呼ぶかは、もうどうでもええ。


204:風吹けば名無し

ええ終わり方や


205:イッチ

次の出撃は明日。


今度は通信を切らん。

青紫にもならん。

普通に戦って、普通に帰る。


206:ガレット隊長

当然です。


207:工作隊長

帰ったら検査と飯ッス。


208:イッチ

了解。


209:風吹けば名無し

イッチも機体も無事に帰ってこい


210:イッチ

おう。


返事はなくても、聞いとるやろ。

帰るぞ、相棒。


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