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ほとれとた

作者: 昼月キオリ


登場人物。

(きち)(28)

口は悪いが気前が良い


豆太(まめた)(28)

情に厚く涙脆い


女将さん(37)

姉さん気質な気立の良い人


(りょう)(24)

真面目で一途な青年


蓬子(ほうこ)(31)

優しく穏やかな性格


勘太(かんた)(33)

団子屋の店主

仕事熱心だが女の前ではてんでだめ


美月(みつき)(27)

団子屋のアルバイト

勘太のことが好きだが言えずにいる


(てつ)(38)

八百屋の旦那

浮気最中に家族を殺された哀れな男






茶屋。


吉「あの団子屋の店主(勘太)、美月ちゃんのこと絶対好きだと思わねえか?」


豆太「ああ、好きも好き、べた惚れだよ」


吉「あんだけ分かりやすかったら美月ちゃんだって気付いてるはずだろ?」


豆太「気付いてると思う、前に聞いたら照れながらそうみたいですって言ってた、

両思いなはずなんだけどなぁ、

あとは勘太さんが美月ちゃんに好きって言うだけなのにどうも上手くいかないみたいだよ」


吉「美月ちゃんも奥手だから自分からは言い出せないだろうに、

こういう時は男がバシッと決めなきゃいけねーよ」


豆太「そうだなぁ」


吉「なーんでほの字にれの字まで態度で言えて、最後のたの字が言えないかねぇ」




豆太「ところで八百屋の旦那はどうなったんだよ?」


吉「ありゃあ廃人だよ廃人」


豆太「そうだろうねぇ、何てったって浮気してる間に家族が強盗に襲われて自分以外全員殺されたんだから、

美人とヤッた後、ルンルン気分で帰ったら家の中は血だらけ・・・考えただけでぞっとするよ」


吉「そりゃやり切れねぇだろうなぁ、

自分が家にいれば守れたかもしれないのによ、

よりによって浮気してる間にってのがなぁ・・・周りの連中の冷めた目も追い討ちかけてるしな」


豆太「悪いことはするもんじゃないってことだな」


吉「しっかし浮気しない男なんていないだろーよ」


豆太「ばーか、俺はしねぇよ」


吉「お前の場合、そもそも相手がいねーんだから浮気しようがねーだろーが」


豆太「何ー!?」


女将「おやおや、そんな二人には花屋の涼さんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいねぇ」


吉「女将さん、涼さんだって男だ、美人が言い寄りゃイチコロよ」


豆太「違いない」


吉「歳上の大人しい女と付き合ってるんだ、

さすがの涼さんも若ぇ可愛い子に猫撫で声で囁かれたらひとたまりもねーってもんだ」


涼「バカだね、涼さんは蓬子(ほうこ)さんに一途なんだよ、この情報通の私でさえ聞いたことないよ、

涼さんが女の子について行ったなんて話はさ」


吉「まじかよ、あんなにモテるのにか?

女将さんでさえ知らねーってことはまじな話だな」


豆太「涼の奴、そんなに真面目野朗なのか」


吉「浮気は男の甲斐性だってのにな、真面目なだけなんてつまらねーよ」


豆太「ま、そう言う男が多いのも確かだな」


女将「そう言えば、鉄さんもあんた達と同じこと言ってたよ、まぁ、その二日後にあんなことがあったわけだけどね」


吉「(ぞぞっ・・・)、脅かすなよ女将さん!

こいつと違って俺ぁ最近結婚したばかりなんだからよ!」


豆太「そいつは一体全体どう意味だよ!」


吉「そのまんまの意味だろーが」


女将「バカだね、何だかんだ言って男はね、真面目で一途、それが一番さ」


吉「そうは言っても男ってのはなぁ・・・」

豆太「そうだよ女将さん」


女将「そうかい、なら気を付けることだね、犯人、まだ捕まってないって話だからさ」


吉「お、おう、気を付けるぜ・・・」


豆太「俺も気を付けなくちゃ」


吉「おめーは失うもんなんかねーだろーが」


豆太「うるさい!俺にだって好きな女の一人や二人・・・」


吉「なんだいるのか?」


豆太「い、いたら悪いかよ」


女将「おや?その反応は本当にいるんだね」


吉「何だおめー、そういうことは早く言えよ!女将さん、お茶代」


豆太「俺もはい」


女将「はいよ、ありがとうね、気を付けて帰るんだよ」


豆太「はーい」


吉「よし、豆太!二件目行くぞ二件目!

俺の奢りだ!」


豆太「え、いいの?」


吉「ったりめーよ、積もる話もあるだろうからな!」


豆太「恩に着るよ」





女将「全く、いつまでも子どもみたいなんだから」


去っていく二人の背中を見送ると女将は暖簾の中へと入っていった。


それからしばらくして勘太と美月が茶屋に来た。


女将「おや?二人揃って来てくれたんだね」


勘太「ああ、いや・・・休憩にと思ってさ、

美月ちゃんいつも頑張ってくれてるから」


美月「ありがとうございます」


女将「たを言うだけなのにねぇ・・・」


勘太「た?」

美月「た?」


女将「いや、こっちの話さ」



女将(全く、ほと、れと、たを繋げて言うだけなのにねぇ・・・)



二人は仲良さそうに話しながらお茶を飲んでいる。



女将(まぁ、この二人には二人のペースがあるだろうから二人が来たことは秘密にしとこうかしらね)

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