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あたしはノートが嫌いである。
周りにも、ノートを取るのが苦手という子はいた。けれど、そういうのとは、ちょっと違う。ノート自体が嫌い、というか苦手なのだ。
別に紙自体に罪はない。破けようが、雨に濡れてしわしわになろう、インクが滲もうが、そういうことは問題でない。形に文句を言っているわけでもない。そもそも大きさはポケットサイズから、スケッチブックみたいのまで様々だ。
ちなみにスケッチブックは平気である。ノートという、言葉が駄目なのだ。
あたしはルーズリーフを使っているが、友達は普通に「勝浦さん、ノート買して」と、ノートという単語を考えもなしに使う。もっとも、この言い方なら、なんとかセーフである。
名称自体にも本来罪はないのだ。名前も同じ。あたしの名前、両親がどんな思いを込めて考えたかは知らないけれど、そんな変な名前ではないと思う。
ただこの二つがかみ合ったとき、どうしても、子供の頃の苦い思い出が、頭に浮かんでしまうのだ。
ちょっとしたからかいだったのは分かっている。けれど幼き日のあたしの心は傷つき、トラウマとなったのだ。
小学生の頃、クラスメイトの男子の言葉が蘇る。
「これ、ののののーと!」
あたしの名前は、勝浦野々と言う。
旅先で、とある地名を見て、思いついた話です。




