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 動けない。このままここにずっといなきゃいけないのかしら?

 それは困ります。

「大丈夫かい」

 声がした。旦那様の声だ。

 老人は本の山を一冊ずつ取り上げて、元の場所に納めていく。

「やっぱり、旦那様ならきてくれると思ってました」

 と嬉しそうな声がくぐもって本の山の下から聞こえてくる。

「たまたまだな」

 老人は最後の一冊を戻した。

「いえ、旦那様は私のピンチにいつでも駆けつけてくれるんです」

「そんな期待をされても困るんだがな」

 シャーリーは老人の話など聞いていないかのように、本棚の上を見上げて周囲をぐるりと歩いていた。

「全然、話を聞いておらんな」

「旦那様、この本たちには何が書かれているのですか?」

「魔法の実験と研究について書かれてるんだよ、長い時間をかけて世界を回ってこの本達を集めたんだ」

「なんのためにですか?」

「道楽だよ」

「道楽ですか?」

「ただ、自分の楽しみのために何かをする。好きなモノをコレクションする。私はそうゆう生き方をしているんだ」

「この本は全て読んだのですか?」

「読んどらん」

「読んでない……」

「べつにな、本は全部読まなくてもいいんだよ、自分の読みたいとこだけを読めればそれでよい、一切読んでない本が本棚にあってもいいし、本棚の本を全部読んでしまったら、楽しみがないじゃないか」

「ふーん、良くわかりません」

 シャーリーは本を見上げていった。

 本達は瞬いている。

 目を開けると朝だった。

 隣で老人が寝ている。

 龍のモチーフの揺りかごのベッドで二人は揺られていた。

「おはようございます、旦那様」

 老人は寝息を立てている。

 シャーリーは寝床から抜けだし、めくれ上がった毛布を老人にかけ直した。

 揺りかごからトンと降りて、静かに扉を閉めた。

 ガガガガガガガガ

「できました!」


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