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4抄 〜親友に余命を隠したまま亡くなった少女の百合〜
淡い想いは、嘘を辞さず。
〜親友に余命を隠したまま亡くなった少女の百合〜
胸を切り裂く「真」の事を、
誰かを想って「偽」とするのは、まちがっているだろうか。
どうしてもいえなかったことを、
いまになってつたえるのは、まちがっているだろうか。
もうすでに私の命が、
明日を迎えられないと知っていたこと、伝えるべきだったでしょうか。
もうすでに私の体が、
冷たく無口に笑ったまま動かないこと、先に謝るべきだったでしょうか。
あなたの後ろ、
もうきづかないでしょうね。
わたしの眼前、振り向いたつらそうな笑顔。
ゆるしてね。もうおそいけど。
ありがとう。ほんとうにあえてよかった。
まっすぐすぎるあなたの視線。
みえているの?
最期にあふれるわたしの笑顔。
しってたんだ。
どうしても伝えたかった想いを、
いまになってつたえるのは、まちがっているだろうか。